決算を迎えると決算整理仕訳の一つとして「減価償却費」の計上を行うのは当然のことと思っている方が多いと思いますが、法人税法は任意償却だということをご存知ですか?
記念すべき第一回はこの償却費の計上について説明します。

1.減価償却費の計上
(1) 企業会計原則、会社法(会社計算規則)の減価償却
企業会計原則では「有形固定資産は、当該資産の耐用期間にわたり、…一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分し、…」(貸借対照表原則五)とあります。
会社法でも「償却すべき資産については、事業年度の末日において、相当の償却をしなければならない。」(会社計算規5-2)と定められています。これらは適正な期間損益の計算の観点から資産の取得原価を一定期間に配分するいわゆる費用配分こそが重要であることから償却費の計上を定めているのです。
(2) 法人税法に定める減価償却費の取り扱い
法人税法では、決算時に所有する減価償却資産について償却費として認める金額は、決算で償却費として費用計上した金額のうち、償却限度額に達するまでの金額とされています(法31-1)。
お気づきですか、決算で償却費として費用計上が前提となっています。つまり、法人税の計算では決算で減価償却費を計上していないとその費用性は認められないのです。したがって、償却限度額に満たない償却費であってもその計上した償却費の額だけ損金の額(費用)に計上でき、償却費ゼロでも認められるということです。法人税法は、任意償却を認めているということですね。

これを具体的に示すと次のようになります。
1. 決算で計上した償却費の額(100)=償却限度額の場合(100)
∴決算で計上した償却費の額(100)の全額が費用として認められます。
2. 決算で計上した償却費の額(120)>償却限度額の場合(100)
∴償却限度額までの金額(100)は費用として認められ、超過部分(120-100=20)は費用として認められません。
3. 決算で計上した償却費の額(70)≦償却限度額の場合(100)
∴償却限度額までの金額(70)は費用と認められ、不足部分(100-70=30)は切り捨てられることとなります。

2.まとめ
法人税の計算上、費用として認められる金額は、1)決算で計上した償却費の額と2)償却限度額のいずれか少ない金額となります。