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今月は「任せる」について考えてみたいと思います。
 経営とは「人を通して事を成す」ことです。経営者一人ですべてを行えるわけではありません。また、経営者一人で出来ることなどたかが知れています。多くの人を動かすことが出来ればできるほど経営の成果も大きくなります。また、如何に多くの人に動いてもらうかが経営者のリーダシップの強さの目安にもなります。
 そこで、社員に自分の代わりに動いてもらうためには社員に任せなければならなくなります。ここで、重要なことは「何を任せる」かです。例えば、上司が「この仕事は君に任せた」と言った時、何を任せたのでしょうか?これは仕事の権限を任かせただけ、すなわち委譲しただけで、決して責任まで移譲したわけではありません。
下の言葉は経営者として私が最も尊敬する日本電産の永守社長のものです。

日本電産の永守重信社長の言葉
経営者は「権限移譲」と「責任委譲」を勘違いするな!!


 仕事を任せた場合、仕事を進めていくのは当然任された人間ですが、結果に対する責任はあくまでも仕事を任せた人間、つまり経営者や上司にあります。権限は委譲できたとしても結果の責任は移譲できないのです。従って、経営者は仕事を多くの人に任せていますが、結果の責任はすべて経営者自身にあるのです。
 経営者あるいは上司は権限を委譲したとしても常に進捗状況の報告を受け、その内容を常にチェックする必要があります。内容に問題がなければ良いのですが、もし問題があるのであれば部下に助言や指導をして任せた仕事が完璧にできるように導かなければなりません。
 さて、多くの経営者は社員に仕事を任せておいて途中の進捗状況のチェックもアドバイスもせず、結果が出ないと「あいつは無責任で能力がない」とか「部下を信頼していたのに期待を裏切られた」などと言います。経営者が権限も責任も移譲したつもりで、丸投げして放置しているだけでは経営者の責任を果たせません。もし権限も責任も移譲して、その社員が成果を出すのであれば誰でも経営ができ、その経営者は不必要と言わざるを得ません。
 逆に部下である社員は適時に報告を経営者や上司に行い、適切な指示を仰いだり、障害がある場合にはアドバイスを受ける必要があります。それは仕事を任された社員がすべての責任を負うことが出来ないからです。
 以上の通り、経営者は権限を移譲できても決して責任は移譲できないことを肝に銘じておく必要があります。逆に言えば、経営とは如何に多くの人に権限を委譲して、如何に多くの責任を経営者自らとるかと言えます。