1.現金支出が先行するのが商売
会社が商売をするときは商品を仕入れるために現金が出ていきます。その次に商品を販売することで現金が入ってきます。商品がなくなればその分、商品をお店に用意するためにまたお金が出ていきます。このように、商品を手に入れればお金が出ていき、それを売ればお金が入っていくことになります。これを損益計算書で見ると商売のために会社が使ったお金が費用となり、商売により会社に入ってきたお金が収益となります。


商品のように販売されたらすぐに現金(又は売上債権となり回収されたら現金)となりますが、建物、土地、器具備品、起債などの固定資産の場合は販売せず長期間にわたって使用されていきますから、いつになったら現金に戻るのか(というよりもめったに現金にならないものです。)が気になるところです。この減価償却資産がいつ費用になるのかといいますと、減価償却という手続きを経て、耐用期間(使用期間)にわたって費用計上されていきます。

2.固定資産の資金回収
人件費や家賃などの費用の計上には必ず支出を伴いますが、減価償却費の計上には支出を伴いません。したがって、減価償却費を計上することにより利益が減りますが、会社の資金は減らないのです。
減価償却費分、資金が残ることになります。減価償却費を通じての取得のために支出した資金を回収することができます。
法人税法では、資産の種類に応じて償却方法が定められています(法令48①、48の2①)。
平成19年4月1日以降に取得をされた建物は定額法のみですが、定額法や定率法といった複数の償却方法が認められている資産があります。ここで、定額法と定率法の償却費を比較してみます。
例えば、取得価額5,000円の機械装置を耐用年数5年で定額法により償却費を計算すると
取得価額5,000円÷耐用年数5年=償却費1,000円となり毎期同額が費用に計上されることになります。これに対して定率法により計算すると(計算過程は省略します。)
1年目の償却費=2,000円、2年目1,200円、3年目540円及び4年目539円(備忘価価額1円)
となります。定額法と比較すると最初は定率法により計算した償却費のほうが回収すべき金額は大きくなり、期間が進むにつれ定額法により少なくなっていくのが特徴です。


定額法ですと計上される費用は毎期一定額である1,000円となりますので、耐用年数の期間中売上が安定しているときは定額の利益を確保することができます。
これに対して、定率法は計上される費用が毎期異なりますので、売上が安定している場合でも各期に異なる利益が算出されます。
その反面、定額法よりも前倒しで使った資金の回収ができることになります。
どちらの方法を採用するかは会社の判断で決めることができます。例えば今は商品の販売は順調だけど将来は不安だと予想し、早期に使ったお金を回収したいと考えるのであれば定率法を採用するという判断もできることになります。

3.償却方法の選定及び届出・変更
定額法又は定率法のいずれかの償却方法を選択した場合には、原則として申告期限まで(決算日の翌日から2か月以内)に税務署長にその償却方法を届け出なければなりません(法令51②)。
その届出をしなかった場合には定率法により償却費を計算することとなっています(法令53)。
したがって、定率法を採用するのならば届出は省略することができることになります。
また、採用した償却方法を変更する場合には、税務署長の承認が必要です(法令52)。

4.本日のまとめ
使ったお金を長期に渡って回収していく減価償却資産はその資金の回収期間を考えて償却方法を選びましょう。また、償却方法を選んだら申告期限までに税務署に届出ることを忘れないようにしましょう。