R社

 経営者は売上が大好きです。売上を上げるためなら頑張ってしまいます。
そして、その売上は、それだけのお金をお客様が支払う「その会社の価値」であり、経営者が多くのリスクを抱えて起業し、営業活動を行い、従業員を雇用して給料を支払い、資金繰りに奔走しながら得た大切な売上です。
しかし売上を上げるのは簡単ではありません。

 ところが、売上が大好きな経営者なのに、経理や試算表を見ていない方も多い。奥様に「資金繰りが厳しい」と言われて初めてお金がないのに気がつくケースがよくあります。
また、売上を上げるには人を採用すればいい、機械を購入すればいい、とおっしゃる経営者も・・・。
本当に大丈夫なのでしょうか?

 空調設備事業のR社は営業利益が赤字の状態で先行経営を受けることになりました。
「人を採用すれば、もっと売上が上がります」という社長の言葉からのスタートでした。
社長は気がついていなかったのですが、今の状態で人を採用して売上を上げても、利益は出ない構造になっていたのです。

 社長の夢を壊したくはありませんが、私たちはリスクをお見せすることが出来ます。
「労働分配率」を使えば、人が足りているのかは即座に分かりますので、「社長、今の人員でなんとかこれだけの利益を出すよう考えましょう」とお伝えできますし、「投資をして借入をしたら、これだけの利益がないと返済ができません」と危機感を持ってもらえます。
また投資を回収できなかった時の損失がどうなるのかまで分かります。

 そして投資で一番大きいのは、実は人件費なのです。
人が足りないから採用する、という話をよくお聞きしますが、採用する前にできることは沢山あります。先ずは利益率でしょう。売上は単に売上数を増やすだけではありません。
次に無駄をなくすことを考えます。不要な外注費はないか、人件費の高い人が付加価値の低い業務に携わっていないか、パートさんでもできる業務ではないか等。
採用したときの利益とキャッシュを見てから採用を決めても遅くありません。

 R社は、現場が細かく多数あるため、現場ごとの利益を算出するのが難しい。そこで人件費も経費に入れた「毎日の利益額」を追いかけることにしました。当初は利益が出ない日が殆どでした。
どうすれば毎日の利益が出るのかを考えたとき、先ずは一番大きな人件費から手をつけました。小さな売上の現場に社長が行っていないか、二人で行っている現場に一人で行けないか等。

 不思議なことに、数字をご覧になった社長は動き出します。元々売上を作ることのできる経営者ですから、動けば何かが変わっていきます。変わりたくなかった社長ですら、数字を見れば動かざるをえません。

 先行経営スタート時には52.1%だったR社の売上総利益率は63.9%にまで改善しました。
売上高の10%近く営業利益も残せるようになっています。

 こうした一連の流れをしっかり見ることが出来るのが「先行経営」であり、頭で分かっていてもなかなか実行できない行動に期日を入れることができるのも「先行経営」です。

 R社の益々の成長を心より応援しています!