経営計画の作り方をいざ調べてみても、「具体的に書け」とか「表に数字を入なさい」とか…よく分からない事ばかりですよね。

「経営計画に必要な情報が多すぎて調べていられない!」
「作り方のテンプレートに出てくる用語がよく分からない!」
「ウチの会社は受注金額がバラバラで経営計画作成とか無理です!」

今回は、はじめての方でも簡単にできるよう、まとめて分かりやすく解説しました。
ワクワクするような経営計画書を作りましょう!

まず、経営計画作成時のポイントは大きく分けると5つあります。

経営計画作成時のポイント①売上分類


まず、直近の決算書から、売上を分類してみましょう。

分類の方法は、
①商品別
②取引先別
③ルート別

など、5年後を考えた時、この売上を意識して伸ばしていこう、この売上は縮小でいこう、とイメージできる分類が良いでしょう。

例えば、直前期決算の売上を「商品別」で分類してみます。

<直前期売上>
A商品  4,000万円
B商品  1,000万円
C商品  3,000万円
D商品  2,000万円
売上合計  1億円

分類数に上限はありませんが、あまり多いと計画を立てにくくなります。4~8分類ぐらいが良いでしょう。

分類が終わりましたら、5年後、どの商品をどのくらい伸ばすのか、または減らすのかをイメージします。

A商品は、メイン商品ですが、市場は飽和状態なのでこれ以上を伸ばせない。
B商品は、売上規模は少ないが、今後伸ばせる可能性が高いのでメイン商品に成長させていきたい。
D商品は、今後力を入れない。

など、商品ごとに5年後の売上を計画します。

ここで大事なのが、最初に5年後の数字を計画するということです。
直前期から10%ずつアップ・・・。これでは、良い計画にはなりません。

× B商品 ダメな計画

1年目 1,000万円×1.1倍=1,100万円
2年目 1,100万円×1.1倍=1,210万円
3年目 1,210万円×1.1倍=1,331万円
4年目 1,331万円×1.1倍=1,464万円
5年目 1,464万円×1.1倍=1,610万円

〇 B商品 良い計画

5年後 2,000万円・・・先に決める
5年後 2,000万円の売上を達成するために、どのような手段や方法があるのかを考え、逆算して1年目の計画を立てる。

ポイントは、「5年後の売上を先にイメージする!」です。

経営計画作成時のポイント②限界利益

売上を分類し、どの売上を伸ばしていくのかを判断するために、「限界利益」を使います。

限界利益の計算式は、

「限界利益 = 売上 - 変動費」

ここでいう変動費は、売上の増減に直接影響する経費で、

①仕入(材料)
②外注費
の2つを指します。

運送業においては燃料費を変動費にする場合がありますが、まずは仕入(材料)と外注費の2つを変動費としましょう。

ただし、在庫の増減は変動費に影響しますので、仕入(材料)と外注費に在庫の増減を加味したものを変動費として下さい。

計算式


「売上-(仕入又は材料費+外注費+期首在庫-期末在庫)=限界利益」

※期首在庫=期首商品・期首材料・期首仕掛・期首未成工事支出金
※期末在庫=期末商品・期末材料・期末仕掛・期末未成工事支出金

企業において、この限界利益をいかに増やしていくかが鍵であり、5ヵ年計画においても重要なポイントになります。

また、限界利益を売上で割った率が、限界利益率です。
「限界利益率(%) = 限界利益 ÷ 売上高」

ここで前回の売上分類にもどりましょう。

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<直前期売上>
A商品 4,000万円(限界利益率10%)・・・市場は飽和状態
B商品 1,000万円(限界利益率30%)・・・今後成長市場
C商品 3,000万円(限界利益率20%)
D商品 2,000万円(限界利益率20%)

前期の売上高を分類し、限界利益率を算出すると、上記のようになりました。

次に、売上高ではなく「限界利益」で分析してみます。

<前期限界利益>
A商品 400万円(限界利益率10%)
B商品 300万円(限界利益率30%)
C商品 600万円(限界利益率20%)
D商品 400万円(限界利益率20%)

A商品の売上高は最も大きいですが、限界利益でみるとC商品の方が儲かっていることが分かります。

しかもA商品の市場は飽和状態で、今後売上を伸ばしていくのは難しい。

となると、5年後のA商品は縮小方向、そしてB・C・D商品を伸ばしていく、という計画になります。

特にB商品は、現在の売上高は少ないが、限界利益率も高く成長市場です。

したがってB商品をメイン商品にするように計画を立てる。

こんな風に考え、売上計画を作ってみては如何でしょうか。

①売上を分類する
②分類毎の限界利益を算出
③市場などを調査
④どの売上を5年後に向けて伸ばしていくのか、又は縮小していくのかを決める。

という手順で、売上計画を立てると良いでしょう。

経営計画作成時のポイント③単価×件数

売上を分類し、限界利益を算出し、どの売上を伸ばしていくのか、が見えてきました。
次に具体的な売上金額を算出します。この時ポイントになるのが「単価」です。

売上は、「単価 × 件数(個数)」で計算されます。

建築業の経営者からは、「受注金額がバラバラなので単価の算出はできない。
だから「単価×件数」の計算はできない。」という声を多く聞きます。
本当にできないのでしょうか。

例えば、1戸建てを中心に建築するA工務店。
大規模な公共工事から民間の工事までを請負う建築業で、受注物件は数十万円から数億円まであります。
単価はどのように計算すれば良いでしょう。

このような場合、単価は平均単価を使用します。
受注金額がバラバラな建築業であっても、商品販売であっても、分類毎の売上と総件数が集計できれば、平均単価は算出できます。
売上計画は、「平均単価 × 件数 = 売上高」で作るのです。

出来上がった売上計画は金額で表示されますが、その元となる件数を必ず押さえておきましょう。

前年は平均単価3000万円の1戸建住宅を20棟完成させているが、5年後は40棟完成を目標にしよう。

40棟完成させるために、
1年目は、見込み客を徹底的増やす。
2年目は人の採用と教育に力を入れる。・・・・
目標件数を受注するためにする事は何か。
目標件数をこなすために必要な資源は何か。

金額ではなく件数を目標にするとイメージしやすく、また達成管理も容易になります。

①売上分類
②限界利益
③単価×件数

この3つのポイントを押さえて売上計画を立ててみて下さい。

経営計画作成時のポイント④人件費計画

売上計画により、5年後のワクワクするような売上となり、商品構成や取引先も具体的にイメージできるようになりました。
このイメージを実現するために必要なのは「人」です。

みなさんはどのように人件費計画を立てていますか?

今の従業員だけでは人数が足りないので、5年後には10人増やそう。
10人という採用に根拠はないけれど、今までの経験から、このぐらい増やせば人は足りるかな。
みんな忙しそうなので、少し人を増やして、残業もなくして・・・。

このようなことを考えながら計画を作っていませんか?

今、従業員が忙しそうにしているのには理由があります。

①「人が足りないから忙しい」
②「人は足りているが、生産性が悪いので忙しい」

この2つには大きな違いがあります。

生産性が悪くて忙しいのに、人が足りていないと勘違いし、増員するケースを本当に良く見ます。
こうなると利益を圧縮し、赤字経営に陥ってしまいます。
或いは人は足りているのに、一人辞めたから一人採用する、という採用も多いように思います。

ではどうすれば、現在の従業員数が適正であるかどうかを見ることができるでしょうか

それでは、適正人員の考え方について見ていきましょう。

適正人員は

①限界利益
②給与分配率
③平均給与

の3つを使って計算します。

前回の記事で限界利益の解説をしました。

「売上」から「変動費(仕入+外注)」を差し引いたものが「限界利益」です。
この限界利益のうち給料の占める割合、これが「給与分配率」です。

「給料÷限界利益=給与分配率」

この場合の給料とは、役員報酬・給料・賞与、および製造原価がある場合は賃金・工員賞与をいい、社会保険料や福利厚生費は含みません。

(1)給与分配率

給与分配率は、目安として40%~50%の間に収まるようにコントロールすると良いでしょう。

給与分配率が40%以下だと給料が安すぎて従業員が定着しない傾向があり、また50%を超えると会社の利益が出にくくなります。ただし業種や会社の方針によってこの率の目安は変わります。

それでは自社の給与分配率はどのくらいが適正なのでしょうか。

まずは過去の決算書から10年分の給与分配率を算出してみましょう。
そして並んだ給与分配率をもとに10年間の業績や社員の採用等を思い出してみて下さい。

①残業続きで従業員に苦労をかけた年・・・38%
②仕事が減って、従業員が暇そうだった年・・・55%
③比較的残業も少なく、会社の利益も出た年・・・45%

③に当てはまる年の給与分配率が45%だったとすると、この会社にとって適正な給与分配率は45%です。

直近の決算書の給与分配率が48%なら、
「45%に収まるよう人件費をコントロールしよう」という計画を立てることができますし、
「新卒から採用して育てていく経営方針にしたので、来期も48%で良い」という意思決定もできます。

このように給与分配率を知ることで、人件費に関わる経営の判断をすることが出来るようになります。

(2)平均給与

次に、直近の決算書から平均給与を計算してみましょう。
決算書の給与を期末の人員で割れば、平均給与が計算できます。

いかがですか?あなたの会社の平均給与はいくらになりましたか?

思っていた金額よりも低いと感じた方は、将来いくら給料を払ってあげたいかを考えて下さい。
希望する平均給与と限界利益、そして給与分配率が分かれば、あなたの会社の適性人員をはじき出せます。
今いる人数で足りているのか、多すぎるのか、採用しなくてはいけないのかの判断をすることが出来るようになるのです。

経営計画作成時のポイント⑤適正人員

「給与分配率」と「平均給与」、この2つを使って適正人員を算出し、5年後の従業員数を計算しようと思います。

例えば以下のような決算書があったとします。

売上 1億2000万円
変動費 4000万円
限界利益 8000万円(限界利益率66.7%)
給与 3600万円 (給与分配率45%)
従業員数 12人
平均給与 300万円

この決算書を元に、未来の給与や従業員数をはじき出します。

まず「平均給与が300万円では少ないので、将来400万円払えるようにしたい。」という目標を立てます。

そして、過去、給与分配率が50%の時が残業も少なく会社の利益もあるという最も良い状況だったので、
「給与分配率を50%にしたい」とします。

限界利益のうち給与に50%を配布し、平均給与を400万円にしたいということですから、
400万円 ÷ 50% = 800万円 

上記の計算で、一人当たりいくらの限界利益を出せばよいのかが計算できます。
これを「一人当たり限界利益」といいます。

目標平均給与 ÷ 給与分配率 = 目標一人当たり限界利益

この会社の限界利益は年間8000万円ですので、目標である一人当たり限界利益800万円で割ると

8000万円÷800万円=10人

つまり10人で現状の限界利益を出せば、平均給与400万円を出してあげられることが分かります。

この人数が「適正人員」なのです。

現在12人の従業員がいますので、適正人員と比較すると2人多いことになります。

ただし2人を解雇するわけにはいきませんので、経営者は12人で平均給与400万円を出せる限界利益を目標とすることが必須となるのです。
こちらの計算もカンタンに出せます。

目標限界利益 = 目標一人当たり限界利益 × 人数
       = 800万円 × 12人
       = 9600万円

限界利益率も分かっていますので、上記に必要な売上高も算出できます。

目標売上高 = 目標限界利益 ÷ 限界利益率
      = 9600万円 ÷ 66.7%
      = 1億4392万円

つまり1億4392万円の売上があれば、従業員12人に平均給与400万円を出してあげられるのです。

経営者が売上を上げる理由の一つは、従業員の給与を上げたいからですね。

この計算を行い適正人員が分かれば、採用の要否も分かります。
適正人員より現在の従業員数が多い場合、残業が多く忙しそうにしている原因は、人員不足にあるのではなく生産性が悪いからだと気づきます。
そうすると、人を増やすのではなく生産性を上げる対策をとる、という意思決定ができるようになります。

5年後の従業員数

さて、経営計画にもどりましょう。
5年後何人の従業員が必要なのか。この計算に今まで解説してきました適正人員を使います。

①5年後の平均給与は〇〇円にしたい。
②5年後の給与分配率は〇〇%にコントルールする

この2点が決まると、「目標一人当たり限界利益」が決まります。
先ほどの例で言いますと、平均給与400万円÷給与分配率50%=800万円 です。

例えば、売上計画をたて、5年後の限界利益が算出できたなら、

【例:5年後】
売上 3億円
変動費 1億円
限界利益 2億円

限界利益を目標一人当たり限界利益800万円で割ってみて下さい。
2億円÷800万円=25人

これが5年後の売上が達成できた際の適正従業員数です。

5年後をイメージしたとき、この従業員数では足りないということであれば、再度売上計画に戻り、もっと限界利益をアップする計画、または、売上そのものをアップする計画に修正する必要があるかもしれません。

25人も必要なければ、平均給与をもっとアップし、採用計画を減らしても良いかもしれません。

このように人件費計画は「毎年2人ずつ採用する」といった計画ではなく、「何人が適正な人数なのか」を意識して計画を作成すると、実行可能なワクワクする計画になります。

今回は、人件費計画を作成する上でのポイントとして、適正人員の考え方を解説しました。
一度みなさんの会社の適性人員をはじき出してみてはいかがでしょう。

最後に

計画した経営計画にワクワクできましたら完成です。
ワクワクできなければ再度見直しです。

じっくり考え納得がいくまで考え抜きましょう。
きっとワクワクする計画ができますよ。