前回は「給与分配率」と「平均給与」について解説しました。
今回はこの2つを使って適正人員を算出し、5年後の従業員数を計算しようと思います。

適正人員

例えば以下のような決算書があったとします。

売上 1億2000万円
変動費 4000万円
限界利益 8000万円(限界利益率66.7%)
給与 3600万円 (給与分配率45%)
従業員数 12人
平均給与 300万円

この決算書を元に、未来の給与や従業員数をはじき出します。

まず「平均給与が300万円では少ないので、将来400万円払えるようにしたい。」という目標を立てます。

そして、過去、給与分配率が50%の時が残業も少なく会社の利益もあるという最も良い状況だったので、
「給与分配率を50%にしたい」とします。

限界利益のうち給与に50%を配布し、平均給与を400万円にしたいということですから、
400万円 ÷ 50% = 800万円 

上記の計算で、一人当たりいくらの限界利益を出せばよいのかが計算できます。
これを「一人当たり限界利益」といいます。

目標平均給与 ÷ 給与分配率 = 目標一人当たり限界利益

この会社の限界利益は年間8000万円ですので、目標である一人当たり限界利益800万円で割ると

8000万円÷800万円=10人

つまり10人で現状の限界利益を出せば、平均給与400万円を出してあげられることが分かります。

この人数が「適正人員」なのです。

現在12人の従業員がいますので、適正人員と比較すると2人多いことになります。

ただし2人を解雇するわけにはいきませんので、経営者は12人で平均給与400万円を出せる限界利益を目標とすることが必須となるのです。
こちらの計算もカンタンに出せます。

目標限界利益 = 目標一人当たり限界利益 × 人数
       = 800万円 × 12人
       = 9600万円

限界利益率も分かっていますので、上記に必要な売上高も算出できます。

目標売上高 = 目標限界利益 ÷ 限界利益率
      = 9600万円 ÷ 66.7%
      = 1億4392万円

つまり1億4392万円の売上があれば、従業員12人に平均給与400万円を出してあげられるのです。

経営者が売上を上げる理由の一つは、従業員の給与を上げたいからですね。

この計算を行い適正人員が分かれば、採用の要否も分かります。
適正人員より現在の従業員数が多い場合、残業が多く忙しそうにしている原因は、人員不足にあるのではなく生産性が悪いからだと気づきます。
そうすると、人を増やすのではなく生産性を上げる対策をとる、という意思決定ができるようになります。

5年後の従業員数

さて、経営計画にもどりましょう。
5年後何人の従業員が必要なのか。この計算に今まで解説してきました適正人員を使います。

①5年後の平均給与は〇〇円にしたい。
②5年後の給与分配率は〇〇%にコントルールする

この2点が決まると、「目標一人当たり限界利益」が決まります。
先ほどの例で言いますと、平均給与400万円÷給与分配率50%=800万円 です。

例えば、売上計画をたて、5年後の限界利益が算出できたなら、

【例:5年後】
売上 3億円
変動費 1億円
限界利益 2億円

限界利益を目標一人当たり限界利益800万円で割ってみて下さい。
2億円÷800万円=25人

これが5年後の売上が達成できた際の適正従業員数です。

5年後をイメージしたとき、この従業員数では足りないということであれば、再度売上計画に戻り、もっと限界利益をアップする計画、または、売上そのものをアップする計画に修正する必要があるかもしれません。

25人も必要なければ、平均給与をもっとアップし、採用計画を減らしても良いかもしれません。

このように人件費計画は「毎年2人ずつ採用する」といった計画ではなく、「何人が適正な人数なのか」を意識して計画を作成すると、実行可能なワクワクする計画になります。

今回は、人件費計画を作成する上でのポイントとして、適正人員の考え方を解説しました。
一度みなさんの会社の適性人員をはじき出してみてはいかがでしょう。

投稿者プロフィール

浅田 和利
浅田 和利
SMCグループ (株)会計ファクトリー 代表取締役
1968年大阪府生まれのB型
東京・千葉の会計事務所を経て、2008年SMCグループに入社。
先行経営(MAS監査)を通じてお客様の経営支援を行っている。

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