今回は、単年度計画についてお話しします。

5年後のワクワクする目標を達成するため、計画1年目は何をしなければいけないのか。
前期と比較して、売上10%アップや経費5%カットの計画ではなく、5年後を達成するための計画1年目。
こんな観点で、中期計画を作成された(または作成しようと考えている)と思います。

何度も申し上げますが、単年度の目標を立てる前に「中期の目標を先に決める」ことです。

詳しくは、過去の記事を参考にして下さい。

夢を叶える経営計画の作り方。中期経営計画編。

その計画1年目を分解して、毎月の計画に作り直す。これが単年度計画です。
年間の売上・人件費・経費・投資・借入計画は、すでにあることを前提にお話しします。
それでは早速、売上計画からみていきましょう。

(1)売上計画

売上計画を作る上で最も重要なのは、売上分類です。
分類の方法は、「商品別「取引先別」「ルート別」など、毎月、目標が達成されたか検証しやすいよう、自社で把握しやすい売上分類が良いでしょう。
中期経営計画を作成した際に売上分類は作成していると思いますので、その分類を使っても良いと思います。

売上計画のポイントは2つ

ポイント一つ目は、各売上に対する「単価」と「数量(件数)」の把握です。
単価というと、いろんな単価があって決められないと思われる方も多いですが、売上分類毎の過去数年の平均単価・前期の平均単価を参考にすると良いでしょう。

ポイントは、平均であるということです。
あくまでも、売上分類毎の平均単価ですので、実際の単価との違いがあってもかまいません。

売上分類毎の単価が把握できれば、単価に数量(件数)を掛けて、実際の売上計画を作っていきます。
中期計画で売上分類毎の年間売上は決めていると思いますので、先ほどの「平均単価」で割って年間の数量(件数)を計算してみて下さい。
金額ではなく、数量(件数)にすると、各売上のイメージが付きやすくなると思います。

年間の数量(件数)が把握できれば、この数量(件数)を月別に分解していきます。

前期の売上推移・季節変動・人の採用などを参考に、年間の数量(件数)を各月に配布して下さい。
数量(件数)計画ができれば、単価を掛けて、金額ベースに直したものが、売上分類毎の月別計画になります。

なぜ、ここまで、数量(件数)と単価に拘っているか?

経営計画は、将来の目標を達成するためのビジョンを明確にし、計画と実績との差を把握し、ズレが生じた場合には、そのズレを速やかに修正していくという、PDCAサイクルを効果的に回していく道具として使うことが目的です。

大切なのは、「計画と実績のズレを明確にする」ということです。
計画と実績がズレたことに気がつき、修正しやすい数字は、実際の売上金額ではなく、売上分類毎の数量(件数)と単価です。

売上金額を数値目標にすると、頑張って売上を上げようという努力目標になり、具体性に欠けることで行動が取りづらくなります。
一方、件数や単価でズレを見ることで、「数量(件数)が足りないので、数量を上げる対策をしよう」

「数量には限界があるので、単価を上げる対策をしよう」という行動につながります。
このため、数量(件数)と単価に拘った計画をつくることをお勧めします。

売上計画のポイント二つ目は、各売上に対する限界利益の把握です。
限界利益とは、売上から変動費を差し引いたものです。
変動費とは、売上が増減すればそれに応じて増減する費用で、仕入(材料)・外注の2つが該当します。

厳密には、運送業の燃料費や、商品販売の荷造運賃も変動費とすることがありますが、ここでは、仕入(材料)・外注の2つとします。

過去数年の平均限界利益・前期の限界利益・中期経営計画で作った1年目の限界利益など、これらをもとに、今期の目標限界利益を決めましょう。

限界利益の改善は、並大抵の努力では達成できません。限界利益を改善するための具体的なアクションプランをたて、今期の大きな柱にすべき内容となります。

人件費計画

中期計画で、年間の予算は決めていると思います。この金額をもとに毎月の計画を作成します。
人件費計画を作成する際は、横行に従業員の名前、縦列に月(期首から期末の12列)の一覧表を作って計画します。
今いる従業員については昇給・賞与の計画を立て、新しく人を採用する場合は、いつ入社し、いくら給料を支払うのか。賞与はいつから支給するのか、等の計画を立てます。

また退職する人がいる場合、いつ退職するのか、いくら退職金を支払うのか等も計画に必要でしょう。

単年度計画で、売上計画・人件費計画は大きな柱です。特に昨今は採用が厳しく、計画が立てづらいところではありますが、「人を採る」という計画があって初めて採用ができるのだと思います。

また人件費は経費に一番インパクトを与えるため、最終利益も大きく変わってくることもあります。
人が足らないから採用するのではなく、まず計画することから始めましょう。

今回は、経費計画からお話しします。

経費計画

売上計画をはじめ、人件費計画、その他今期のイベントなどを考慮して経費計画を作成します。
科目ごとの年間計画は中期計画でできていると思いますが、意識して増やす経費と減らす経費を確認しながら作成していきます。
計画を立てる時には、前期の元帳を用意しておくと良いでしょう。

例えば、広告宣伝費の計画を作成する際、前期の元帳を良く確認し、今期減らすことができる項目がないか探していきます。前年はホームページの作成を行ったが、今期はなし。その代わり秋には展示会に出展する、といった要領です。

経費削減の計画と、今期のアクションに対して必要な追加経費の計画を同時に行っていきます。
その結果、広告宣伝費の年間合計が中期計画の金額より多くなった場合は、もう少し展示会を安く抑えられないか、また他に削れる項目はないか、などを検討しましょう。

中期計画の金額より少なく収まったのであれば、次の項目にすすんでいきます。
この手順を繰り返し、すべての経費科目について月毎の計画を作成します。

投資計画

機械・車の購入や建物の建設などの計画があれば、計画に入れていきます。
機械・車・建物などの設備投資は、支払う金額をそのまま単年度計画に表示することはできません。
設備投資の費用は、損益計算書において減価償却費という科目で少しずつ経費化されますので、設備投資による減価償却費がいくらになるかは税理士に確認て計画しましょう。

また、建物を建てると、引越し代金・机やパソコンなどの備品・その他付随して多くの費用がかかります。この追加経費も各科目計画にプラスして計画しましょう。

最終確認


売上計画→人件費計画→経費計画→投資計画
この手順で作成した、単年度計画の経常利益を確認します。

最終確認のポイントを2つお話しします。

①売上高経常利益率

売上高に対して経常利益が何%あるか。
という指標です。売上高経常利益率は10%以上を目指します。
なんとか「売上高の10%以上は利益を残す!」という計画を作り、次に計画を達成する方法を考えましょう。

10%以上残らなければ、もう一度売上計画から検討します。

売上高の10%以下の利益しか残らない計画にすると、それが目標となるため、作った計画以下になる事はあっても、計画を上回る利益が残るということはまずありません。
ぜひ高い目標設定をしましょう。

②税引前当期利益 1,000万円以上

2つ目のポイントである「当期利益を1,000千円以上にする」という目標は、会社の規模により当期利益が1,000万円ではまったく足りない会社もあれば、そもそも売上が2,000万円程しかない会社もあるので、すべての会社に同じ指標を当てはめることは出来ません。

しかし「1,000万以上の利益を出すと税金が大変なので・・・」など、利益を出すことに慣れていない中小企業の経営者が多くいます。
経営計画をつくる目的は、会社にとって最も大切なキャッシュを増やし、潰れない強い会社になり、ワクワクする目標を達成することです。
利益を出し続けることが、キャッシュを増やす最も健全な方法です。

中小企業にとって1,000万円以下の利益は、採用の失敗、得意先の撤退など、すぐに赤字に転じてしまいかねない利益です。
したがって単年度計画を作成する際は「何があっても必ず黒字にする」という覚悟を持ち、税引前当期利益が1,000万以上になるような計画を作って下さい。

中期計画が「夢目標」である一方、単年度計画は必ず達成しなければならない「実現目標」です。
作った計画は、必ず達成する覚悟をもって強い会社になって頂きたいと思います。

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