前回は、建設業の経営計画を立てる1つ目のポイントとして、売上計画は「平均単価 × 受注件数」で計画する。
について、お話ししました。
今回は2つ目のポイントについて見ていきましょう。

限界利益にこだわる!

ポイント①で売上計画が決まれば、次は限界利益の設定です。

限界利益 = 売上 - 変動費(材料仕入 + 外注費 + 期首未成工事支出金 - 期末未成工事支出金)

売上から材料仕入と外注費を差し引いた限界利益を、売上で割った限界利益率。
この限界利益率を何%まで引き上げるか。これが最大のポイントです。

建設業においては、工事ごとの「工事台帳」を付けていると思います。
工事台帳には、材料仕入・外注費・人件費・その他間接経費などが記入され、どれだけ利益が出たかを確認できます。工事毎の正確な結果を確認する上でとても重要な台帳です。

しかし経営計画作成の際は、この台帳で計算された利益を使うのではなく、「限界利益」を使います。

工事ごとの利益は、変動費と合わせて、人件費やその他の経費も計上して利益を算出します。
ところが会社の計画となると、人件費やその他経費は、売上が下がっても会社の固定費として必要となる経費です。売上が下がったからといって従業員の給料を下げることは少ないでしょうし、リストラで解雇することもなかなかできません。

一方、材料仕入・外注費等の変動費は、売上高の増減で変わります。
このため経営計画では、限界利益(売上-変動費)を売上高で割った限界利益率の改善を考えます。

それでは、何%ぐらいを目標とすれば良いのでしょう。
建設業の限界利益率の目標の目安は30%程ですが、1%の限界利益の向上で、最終利益に大きく関わってきます。


まずは、自社の分析をしてみて下さい。
過去10年分の
①売上高
②変動費(材料費、外注費)
③限界利益(①-②)
④限界利益率(③÷①)
⑤人件費(給与、賃金、賞与。社会保険・福利厚生費は含まない)
⑥給与分配率(⑤÷③)
を表にしてみましょう。

過去10年分を分析しても、限界利益率や給与分配率は大きく変わっていないはずです。
限界利益率と給与分配率が減少している場合は、社員で行っていた工事を、外注に出すことにした等、会社の方針の変更があった場合が考えられます。

このように過去を分析した後に、限界利益率を計画してみましょう。
限界利益率のあまりにも大幅な改善は、絵に描いた餅になってします。できる範囲での改善を計画に盛り込みましょう。

5年間の限界利益まで計画できれば、あとは、受注件数に応じた人の採用を計画に盛り込んでいき、その他の経費を計画すれば、計画はひとまず完成です。

さて、5ヵ年計画の各年の経常利益はどれくらいになりましたか?
以下のチェックをしてみて下さい。

経常利益のチェック


①売上高経常利益率(経常利益÷売上高)5%以上(目指すは10%以上)
②経常利益 1,000万以上
③当期利益(税金差引後)+減価償却費>一年以内返済長期借入金

5ヵ年計画の各年において、上記①②③を全てクリアしていれば、数値計画はOKです。
一つでも達成していない場合は、
①受注件数の見直し
②限界利益率の見直し
③採用計画の見直し
④その他、経費・投資などの見直し
を行い、①②③の全てをクリアするような計画に修正しましょう。

今回は、建設業に絞った経営計画についてお話ししました。
しっかり計画を立て、利益を出してキャッシュを増やし、100年企業を目指して下さいね。

投稿者プロフィール

浅田 和利
浅田 和利
SMCグループ (株)会計ファクトリー 代表取締役
1968年大阪府生まれのB型
東京・千葉の会計事務所を経て、2008年SMCグループに入社。
先行経営(MAS監査)を通じてお客様の経営支援を行っている。

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