仕事柄、多くの会社の決算書を拝見する機会があります。
決算書の貸借対照表は、その年度の最終日における資産や負債が記載されています。
したがって会計事務所は残高の根拠を確認して貸借対照表を作ります。

一方損益計算書は、その年度1年間の売上や原価、経費をまとめます。
過年度や翌年度の売上や経費が混在していないかどうかをチェックして、正しい数字を整えます。

税務署に申告する書類は、この決算書の数字があれば作成できますから、年に一度の会計処理でかまいません。税務署に提出するだけなら、です。

しかし経営者は、年に一度の会計処理では経営が出来ません。売上が減っている、キャッシュが減っているのは、毎日の営業活動や通帳残高で把握できますが、減っている原因が分かりません。
なんとなくこれくらいの資金が必要、という資金繰りをしていないでしょうか。

ここで必要になってくるのが、「月次決算」です。
月次決算とは、文字通り毎月の損益を正しく把握することなのです。

ところが、正しい月次決算をしていない会計事務所の試算表が殆どなのです。
一番経営に役に立たないのが、現金主義で会計処理をしている試算表です。
実例をみていきましょう。

1月に120万円の仕入をして2月に支払をしました。
2月にその商品のうち100万円分を200万円で売上げ、3月に入金されました。

正しい月次決算では、

となります。
売上と売上原価がひもついた正しい取引が見えます。

ところが現金主義だとどうなるでしょう?

2月は大赤字、3月は大黒字という経営です。
こんな試算表では経営判断ができません。

また「黒字だと思って節税対策をしたのに、決算をしたら赤字だった」「赤字だと思っていたら、決算で黒字だと分かり、税金の工面が大変だった」という経験はありませんか?

年次の決算では、売掛金、買掛金、未払金、棚卸資産の洗い替えや減価償却費の計上をします。

特に影響が大きいのは棚卸資産と減価償却費です。

決算まで減価償却費を計上していないために最後に大きな経費となったり、前期の棚卸金額が多かったのに当期が少なくなって利益が減少してしまったりと、最終利益が大きく変わってしまいます。

これを避けるために、毎月月次決算をします。
具体的には、売掛金や買掛金は発生した時に計上します。在庫も可能な限り毎月洗い替えます。毎月の棚卸が難しいようであれば、仕入が多かったときの大よその在庫金額を把握します。減価償却費は月次で引き当てておきます。
最終決算では正確な数字にするために、端数を調整する程度ですみます。

なにより月次決算で有効なのは、正しい試算表を経営判断の材料にすることが出来る、ということです。

御社の試算表は、経営の役に立つものになっていますか?
 

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