0120-459-964 営業時間:9:00~18:00【土、日、祝日除く】

本社建物を建てたらその会社は要注意。本当に必要なのはキャッシュです。

本社建物を建てたらその会社は要注意。本当に必要なのはキャッシュです。

投稿日:2019年03月03日

更新日:2022年12月28日

経営者が知っておくべき「利益とキャッシュの最大化」セミナー

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

キャッシュが減少する支出「資産の増加」について見ていきます。

資産の増加でキャッシュが減少する

「資産の増加」と聞いて一番に頭に浮かぶのは設備投資ですね。

設備投資は、投資することによって収益を上げるか経費を削減できるような、何らかの投資効果が出ることを期待して行うものです。例えば「製造するための機械装置を購入する」「倉庫を建設する」「建物の内装をする」「ソフトウェアを開発する」「車を購入する」「パソコン(器具備品)を購入する」等です。

資産の増加は設備投資だけではありません。受取手形や売掛金の回収サイトが長くなれば資産が増加します。さらに在庫(棚卸資産)の増加、株式や投資信託の購入、ゴルフ会員権やリゾート会員権の購入、保険料の支払いで資産計上しなければならないもの、貸付金(社員や役員への貸付、関係会社への貸付、取引先への貸付など)なども資産の増加です。

資産の増加と聞くと、企業にとって財産が増えるのだから良い事象のように聞こえます。
ところが資産が増加しても、一概に企業にとって良い事象とは言えないのです。
キャッシュの視点から見れば、資産が増加するということは、購入するためのキャッシュが必要だということです。

裏を返せばキャッシュが減るのです。

キャッシュは企業の命です。
キャッシュが大きく減少したうえで設備投資の成果が出ないことで、企業が倒産に追い込まれることがあります。
多くの企業の倒産原因が設備投資の失敗だったと言っても過言ではありません。

設備投資の代表格は土地・建物の購入、建設ですね。
土地を購入したり、建物を購入・建築したりすると金額も高額になるので、大きくキャッシュが減少するか、借入金が大きく増加することになります。
いずれにしても設備投資の成果がでなければ倒産の危機となることもあります。

資金繰りと減価償却費の関係について

本社建物の設立は危険

土地や建物購入が工場や店舗であれば、新たな収益を確保するための設備投資でしょうから必要に応じて行うべきでしょう。しかし、本社建物の建設のための設備投資だとすると注意が必要です。

よく言われることですが「本社を建てた時がその企業のピークで、その後その企業は衰退する」ということです。

本社建物は基本的には新たな収益を生むことはありません。

それにもかかわらず、何故本社建物を建てるのでしょうか?

それは、現在の会社の業績が良いので、本社建物が収益を生まなくても何とかなりそうという安易な心、あるいは業績が良いので立派な会社に見せたいという見苦しい見栄から建てさせるのです。

本社建物を建てたらその会社は要注意ですよ。
本社建物など賃借すれば良いのです。
当然SMCグループの本社は、テナントビルで家賃を支払っていますよ。

製造業で要注意な機械装置

製造業にとって機械装置の購入は、最も大切で必要不可欠な設備投資です。
機械装置を購入して新たな収益計上を狙う、製造業では当然ですよね。
しかし、機械装置も高額になるものもあり、更にその機械装置で新たな収益が確保できなければ、キャッシュが減少して苦しくなることもあります。

京セラの稲盛和夫氏が著書の中で書かれているように、キャッシュが潤沢でない創業間もない頃には、中古の機械で我慢することです。
中古機械が新品の半額で購入でき生産性が新品の80%であれば、見方を変えれば中古の方が生産性は高いことになります。
私も中古が大好きなので、自家用車は当然中古車です。

社長や役員の車は収益を圧迫するだけ

次は車の購入です。
トラックやダンプのように業務で使用する車は、新たな収益を得るために設備投資しますが、社長や役員の乗用車は、どんなに性能が良くて高額でも新たな収益を生むことは決してありません。
収益を生むどころか多額のガソリン代や自動車税がかかり、収益を圧迫するだけです。

三流アホ経営者ほど高価な車に乗りたがります。本社建物を建てる見栄っ張りのアホ経営者と同じです。
中身がない人間ほど外見を飾って見栄を張るものなのです。

売掛金・受取手形の増加は綱渡り

売掛金や受取手形が増えるということは、売上増加の証なので良いことではないかと思われるかもしれません。この見方は一面では正しいのですが、別の角度から見てみると危険です。売上の代金回収方法として、理想は現金で回収することです。
さらに良いのは前受金、つまり販売前にキャッシュをいただくことです。

しかし実際には、取引先との力関係で売掛金の回収サイトや手形の期日の長さが決まります。
力関係が弱いほど期間が長くなり、強いほど短くなります。この回収サイトや手形期日が長くなればキャッシュになるのに時間がかかり、資金繰りが苦しくなります。
更にその期間が長いほど、得意先が倒産した時の貸倒損失額が大きくなってしまいます。

このような観点から見てくると、売上をドンドン増加させる一方で、売掛金の回収サイトや受取手形の期日は短くしていく努力が必要ですね。

コロナで浮彫になった財務戦略、緊急時の資金繰り点検方法

在庫金額は適正在庫を設定するべき

在庫金額も少ない方が良いですね。
しかし、在庫は少なければ良いというものではありません。

あまりにも在庫が少ないと在庫切れを起こして、売上自体が上がらなくなってしまう恐れがあります。この売上の機会損失を起こさないためには、やはりそれなりの在庫が必要です。
営業の立場からすると、少しでも在庫を多くして在庫切れを防ぎたいと思っています。

しかし営業社員の言うとおりにしていると、在庫はドンドン増えていってしまいます。
在庫が多くなりすぎると、売れ残った不良在庫が発生するリスクが増えます。
一般的には適正在庫を持つと良いと言われています。

例えば、売れ筋商品は月商の4カ月分とか、通常の在庫は月商の2カ月分とかの水準を決めますが、実際の適正在庫を決めることは本当に難しいことです。

保険積立金の選択

保険料のうち資産計上しなければならない部分を保険積立金と言います。
資産計上しなければならない保険料は、基本的に解約返戻金が多くあるからです。
言い換えれば、万が一の時に備えて支払うものが保険料ですが、その「万が一」が起こらなくて解約すると、キャッシュが戻ってくるものです。

ですから、キャッシュが減るからと言って、一概に保険積立金の増加が良くないのではありません。
やはり企業は、社長や社員が病気で亡くなるリスクなどに備える必要があります。
ですから必要最低限の保険には入っておく必要があります。更に節税の効果がある保険商品もあります。

万が一の時に備えることができ、解約すればキャッシュが戻ってくるという保険は、有効に活用した方が良いでしょう。

貸付金は金融機関から借りるべき

貸付金が増えればキャッシュが減ってしまうというデメリットに加え、回収不能になるリスクもあります。
貸付には社長に対する貸付、従業員への貸付、関係会社への貸付、取引先への貸付などがあります。

絶対にやってはいけないのが、社長や役員への貸付と取引先への貸付です。

まずは社長や役員への貸付です。

社長や役員は、キャッシュが欲しいのであれば金融機関から借りるべきです。
会社からお金を借りる経営者は、会社の資金を自分のお金と勘違いしている三流アホ経営者です。

公私混同も甚だしいです。

取引先への貸付も同様です。
通常、企業は金融機関からお金を借りるべきです。
ところが取引先からお金を借りなければならないということは、金融機関から借りられないからです。

つまり、業績が悪化して金融機関が貸さないほど悪くなっている取引先に貸付をしてしまったら、貸倒れのリスクがかなり高いということになります。
たとえ重要な取引先からの依頼であっても、キッパリとキャッシュは貸せないと断るべきです。

一方、関係会社への貸付は、グループ会社の戦略上、貸付金が発生することはやむを得ない場合もあります。
しかしその貸付には合理的な理由が必要です。
従業員への貸付も福利厚生の一環としての貸付もありますので、悪いだけではありません。

いずれにしても関係会社への貸付、従業員への貸付は、契約をきちんと結び、約定通りに返済してもらわなければなりません。

資産の増加についての解説はいかがだったでしょうか?

資産の増加にもさまざまなものがあり、増加しなければならない資産がある一方、増やしてはいけない資産もあります。

株式や投資信託などの有価証券への投資よりも本業を

昨今の低金利時代、キャッシュで持っていても金利も殆どつかないので、株式などで運用したくなることは理解できます。

しかし株式や投資信託などは、儲かるときもあれば損をするときもあります。
株式などで儲けようとして、汗水たらして苦労して稼いだ貴重なお金を投資することに、私は反対します。
儲けようとするのであれば、そのキャッシュをもっと本業に投資して、新たな収益を得るべきだと考えています。

株式や投資信託で運用しようと考える経営者は、本業で稼ぐ能力がない三流アホ経営者です。
どうせ設備投資をして稼ぐ能力がないのであれば、キャッシュのまま持っていた方が良いでしょう。
設備投資で稼ぐことができないような無能な経営者は、恐らく株式投資でも損をすることでしょう。

ゴルフ会員権とリゾート会員権です。

現在ゴルフ会員権はとても安くなっています。バブルの頃を知る私には、会員権の価格がとても安く感じます。恐らくこの金額が普通の価格なのでしょう。
しかし会員権相場が適正でも、名義書換料があまりにも高すぎます。
名義書換の手数料が50万円、高いところでは200万円、300万円もします。

この名義書換料だけはバブルの時のままです。
ゴルフ場が儲けるために、むしろ高くなっているような気がします。
名義書換料に何十万円、何百万円も支払うなんてばかばかしいです。

それでも会員権を欲しさに高い名義書換料を支払うアホ経営者が後を絶ちません。
最近のゴルフなんて会員でなくても安くプレイできます。
あえて会員になるメリットなんて殆どありません。

強いて言うならば、ゴルフが大好きでゴルフを営業や接待の手段にしたい、あるいは一人でもメンバータイムで行きたい、などのニーズがあるのであれば、好みのゴルフ場の会員権を一つだけ持てば良いのです。
借金をしてまで複数の会員権を持っている三流アホ経営者がまだまだいますね。

リゾート会員権は、社員がリゾートで宿泊できるようにと福利厚生目的で購入します。
本当は経営者自身が利用したいにもかかわらず、ですね。

リゾ-ト会員権を購入している多くの経営者を見てみると、少し儲けて立派な経営者になった気になり、業者におだてられて購入しています。

アホ丸出しの三流アホ経営者です。高級外車に乗るのと同じですね。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 経営改善 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

経営者が知っておくべき「利益とキャッシュの最大化」セミナー
    経営
アバター画像

このコラムの著者 : 曽根 康正

SMCグループ顧問、1959年(昭和34年6月8日)に岐阜県多治見市で生まれる。 「社外重役の立場から専門能力を発揮し中小企業を支援する」 というグループ経営目標のもと、東海エリアにおいてNo.1の会計事務所を目指す。

無申告はこちら