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経営計画を作る目的と作り方、その重要性を解説

経営計画を作る目的と作り方、その重要性を解説

投稿日:2018年03月26日

更新日:2023年12月04日

経営者が知っておくべき「利益とキャッシュの最大化」セミナー

この記事を読むのに必要な時間は約 14 分です。

なぜ経営計画書が必要なのでしょう。
経営計画書には2つの目的があるのです。

経営計画の目的は2つ

経営計画を作成する一つ目の目的は、会社のキャッシュを増やし、100年企業になり、会社を未来永劫永遠に発展させるためです。
そして二つ目は、「経営理念」と「経営目標」を実現するためです。

一人親方になるためには

会社の発展と利益UPは違う

「会社のキャッシュを増やし、100年企業になり、会社を未来永劫永遠に発展させる」ことを「今以上に利益を出すため」「利益を出し続けるため」と思われている経営者が案外多くいるように思います。

会社経営において利益を出し続けることは非常に重要です。赤字経営が3年続けば、おそらくその会社のビジネスモデルが成り立っておらず、そこから再構築していくか、早めに会社をたたむ準備をした方が良いでしょう。この意思決定をするひとつの基準が利益であることは間違いありません。

しかし中小企業の場合、上場企業のように「新商品への投資も大きいが資金は潤沢にあり、3年間は市場に受け入れられる準備期間なので、大きな赤字も計画通り」というわけにはいきません。毎年利益を出し続ける経営をしなければ、存続すること自体が困難なのです。このため経営計画を作る目的が「利益を出すこと、利益を出し続けること」になってしまうようです。

利益って見たことある?

みなさんは利益というものを実際に見たことがありますか?
現金は見たことがあっても、利益を実際に見たことがある人はいないと思います。なぜなら現金は実在しても利益は実在しないからです。この実在しない利益を出すことを経営計画の目的にしているので、実感がなく絵に描いた餅になってしまうのです。

利益を出し、キャッシュを増やすことが目的

経営計画を作成する目的は、利益を出すことではありません。「利益を出し、キャッシュを増やすこと」。これが経営計画の目的なのです。
さらに言えば、キャッシュを増やし、増やしたキャッシュを投資し、投資したことにより、さらに大きなキャッシュを生む。このサイクルを数値化したものが経営計画なのです。

キャッシュを増やす手段

キャッシュを増やす手段は3つあります。
一つ目は借入です。借金によってキャッシュを増やすことはできます。しかし、無限に借りることはできませんし、もちろん返済も必要です。
二つ目は出資です。ところが上場企業と違い、中小企業の場合、出資するのは経営者自身か親族ぐらいでしょう。返済の必要はありませんが、やはり無限にキャッシュを増やすことはできません。
そして、三つ目が利益です。経営によって生みだされた利益であれば、無限にキャッシュを増やすことができ、もちろん返済の必要もありません。

上記3つの資金調達方法のうち最も優れているのは、間違いなく利益を出すことなのです。

企業が利益を出し続けなければいけないのは、キャッシュを増やす最もすぐれた手段が利益を出すことだからです。

利益を出すことは手段であって目的ではないことをしっかり意識して、未来永劫続いていく企業に成長して下さい。

経営理念を実現する

みなさんの会社にも「経営理念」と「経営目標」があると思います。
しかし「経営理念」と「経営目標」の違いは?と聞かれると、明確に答えられる方は少ないのではないでしょうか。

有名な「経営理念」として、

京セラ:「全従業員の物心両面の幸福(しあわせ)を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」
デンソー:「世界と未来をみつめ新しい価値の創造を通じて人々の幸せに貢献する」

などがあります。
どちらもすばらしい経営理念ですね。やはり「幸福」というキーワードは重要そうです。

それでは、「経営理念」と「経営目標」の違いは何でしょう?

「経営理念とは、追い続けるものであり、達成すべき目標とは違うものである。」

このように考えると分かりやすいと思います。

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経営目標を実現する

一方「経営目標」は達成すべきもの。
先程の京セラの「経営理念」は達成すべきものではなく、追い続けるものですね。

「経営理念」はずっと追い続けるものであるため、経営者にとっては腹に落ちているものであり、経営の意思決定に困ったとき、悩んだとき、そして新たに何かを始めようと思った時に、必ず振り返る必要があるものなのです。
稲盛和夫さんが、JAL再生の際、JALの全従業員に対して「全従業員の物心両面の幸福を追求します。」と宣言された話は有名です。
京セラではなくJALであっても、稲盛和夫さんの根底にあったのは、一つの「経営理念」であったのだと思います。

すべての意思決定の根底にあるもの、ゆるぐことなく永遠に追い続けるもの、これが「経営理念」です。

これに対して、「経営目標」は、達成すべきものです。
達成すべきものですので、具体的であり、客観的に測定できるものである必要があります。

売上目標100億円、 売上高経常利益率10%必達、 全国に100店舗オープン

など、具体的で数値化されており、達成できたか測定しやすいものを考えてみましょう。

如何でしょうか。

経営計画において、「経営理念」と「経営目標」は、計画の根本を支える基本方針です。
じっくり考えて、ワクワクする経営計画書を作成してみて下さい。

経営者が経営計画書を作らない理由

経営計画書といっても、5~10年後を描いた中期経営計画書、当期の具体的計画を描いた単年度経営計画などがあります。

経営計画書を実際に作成されている中小企業の経営者は、全体の20%以下です。
「作った方が良いと分かってはいるけれど、なかなか作ることができない」というのが多くの経営者ではないでしょうか。

では、なぜ作らないのでしょうか。

「計画を作っても、どうせ絵に描いた餅になり実現できないので無駄」
これが、もっとも多い理由だと思います。

苦労して作っても、従業員は誰も理解してくれず実行できない・・・。
計画を実行できない要因が次々と発生する・・・。
計画とズレすぎて計画を実行する気になれない・・・。

経営者の中には、何度か経営計画作成にチャレンジし、計画通りに経営する!と決心された経験がある方もいらっしゃるでしょう。

しかし、なんらかの理由で計画を途中で断念し、経営計画など意味がないと自分に言い聞かせた過去の失敗体験から、「どうせ計画なんて作っても無駄。」「全く意味がない」と思われたのではないかと思います。
実際に、ほとんどの経営者がこの苦い経験されているようです。

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経営計画は、ズレるから良い

毎年150件以上の経営計画作成サポートを行う中で、経営計画作成のポイントとして最初に申し上げることがあります。
それは「経営計画は、ズレるから良いのです。」の一言です。
なぜズレるから良いのでしょう?

経営計画の解説に良く出てくる「ロケット理論」を例にして考えていきましょう。

地球からロケットで月に行くという経営計画があったとします。
綿密に計画を立て、5年後に月に到着する計画です。
1年目の目標は、大気圏突破に耐えうるメインエンジンの完成です。

研究者全員で総力をあげ1年間開発しましたが、今のコストでは大気圏突破に耐えうるエンジンを作ることができないと分かりました。
計画と実績に大きなズレが生じた訳です。
これがとても重要なのです。

もし計画がなく、「月に行きたい」という願望だけがあったとします。

この場合、研究者全員で総力を挙げて頑張っているから必ず月に行けるはず・・。
計画がないのでズレていることにさえ気づかない。分かるのは頑張ったか頑張ってないか、だけです。
これでは、いつまでたっても月にはいけないと思いませんか。

1年目の計画は、大気圏突破に耐えうるメインエンジンを完成させることでしたので、完成できていなければ、計画と大きくズレたことが分かります。

計画とズレたことが分かれば、どうすればコストを下げ、エンジンを完成させられるかという、修正行動をとることができます。
「ズレに気づき、早い段階で修正行動を取ることができる」
これが経営計画を作る最大のメリットです。

そして「経営計画は、ズレるから良い。」とはこのことを意味しています。

経営計画の作り方

  • どんぶり勘定、放漫経営を辞めたい
  • ワクワクして経営をしたい(従業員にワクワクさせてあげたい)
  • 設備投資をしたい、店舗を増やしたい、事業を拡大したい

そう思われている中小企業の経営者の方、実は多いのではないでしょうか。
ワクワクする夢を実現するために経営計画の作り方を学びましょう。

経営計画を作るのは、難しいと思われがちですが、意外と簡単です。

  1. 社長が目標を示す
  2. 方法論を具体化する
  3. 達成管理を徹底する

この3つを行うだけでいいのです。

まず社長の信念・方向性が無いと、事業は継続できません。
事業を継続するためにも、経営目標を明確化しなくてはいけません。

経営目標の明確化は、社長にしか出来ません。
明確化するための4つの手順を紹介します。

1.経営理念の明確化

社長のもっとも重要な役割が、「経営理念」の明確化です。

経営理念・経営目標を明確化することを難しく考えられる方も多いかと思いますが、
「社長が自分の会社を通して、従業員と何を実現したいのか」ということを言葉にしましょう。

ただ、思いを込めすぎて長くなりすぎてしまったり、ごちゃごちゃしたものになったりしないように注意が必要です。
社長の満足のいくものが出来上がるかもしれませんが、自己満足ではいけません。

なるべく全従業員に浸透しやすい、覚えやすい簡潔なものを作成して下さい。
箇条書きなど出来るだけ短く分かりやすい表現だと浸透しやすく覚えやすいです。
また、すべての話題の切り口になるようなものにすると良いでしょう。

少し例を挙げますと、

  • 未来工業株式会社 「日本で一番大切にしたい会社」大賞 第一回経済産業大臣賞
    「常に考える」
  • 株式会社日本レーザー「日本で一番大切にしたい会社」大賞 第一回中小企業長官賞
    「私たちは、世界の光技術を通じて、お客様やパートナーと共存共栄を実現し、科学技術と産業の発展に貢献します。」
  • 株式会社柳月
    「私たちはお菓子を通じて家族の絆を結び人と人との心を結びます」

私たちSMCの経営理念は「貢献・感謝・信頼」です。

  • 家族仲間お客様及び地域社会に貢献します。
  • 家族仲間お客様及び地域社会に感謝します。
  • 家族仲間お客様及び地域社会から信頼を得ます。

2.中期目標を示す

中期目標を示すとは5年後の目標を示すことです。
具体的には、事業領域(ドメイン・業態)と事業規模(年商・店舗数・従業員数)をイメージ化することです。

1~2年は現状の延長線、3~5年は社長の夢をおりこむと良いです。

社長が漠然とやりたいなと思っていることを実際に数値化する(1人あたりの付加価値××円、支店数××店舗、社員数☓☓人)ことで、より明確化されます。
また、中期目標を達成するためのプロセスを年度別・ジャンル別(売上、商品、組織・・・など)に作成するとより分かりやすくなります。

中期目標を示すことにより、従業員は「こういう会社になるんだ」と将来の企業イメージを抱くことが出来るようになります。

将来の企業イメージを抱けると、従業員の中から、会社の中でこういう仕事をしたい!こういう分野で貢献したい!こういう勉強が必要だ!と意欲を示す人が出てくるでしょう。

5カ年計画を策定する

さあ、いよいよ数値シミュレーションです。

  • 売上・原価・変動費計画
  • 在庫・仕入・生産計画
  • 回収・支払計画
  • 昇給・採用計画
  • 設備投資計画
  • 借入返済計画
  • 販売及び製造固定費計画

などを数値化して、5年間の「売上分類別売上高」「貸借対照表」「損益計算書」などを作ります。

利益率や原価率を変更したり、在庫日数や回収条件を変更したり、借り入れの返済条件を変更したりしてシミュレーションし、実現可能であり最も可能性のある経営計画を作ります。

また、資産を購入する、借り入れをするというシミュレーションも行い最適解を探ります。

この中の1つの意思を変更すると関連するすべての数値に影響するため、手作業ではとてつもない時間がかかってしまいますので、弊社では計画を作る専用ソフトを使用しております。

このソフトウェアによりシミュレーションが早く正確に出来るため、社長は意思決定と戦略策定に集中していただくことが出来ます。

3.当期目標を確定する

5カ年の経営計画が完成したら、まずは1年目の目標を確定します。また、確定したら各部署に対する目標を作成します。

1年目の数値目標は、「売上高」「原価率」「経常利益」「販売台数」「顧客数」「単価」「人件費」など、より具体的に表します。

また、人件費のところで「☓月頃に1人正社員採用する」という計画があれば、どういう媒体で、いくらのお金をかけて採用するのか・・・というところまで具体的に落とし込んでいきます。

また、部署別要求定義に対し提示し、各部署単位の具体的な戦術を検討構築するための指針とします。

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将来の企業イメージの作り方

5ヵ年計画を立てる際に最も重要なのは、立てた5ヵ年計画が経営者にとってワクワクする計画になっているかどうかです。
ワクワクする将来が具体的にイメージされており、そのイメージが数値化されている状態が重要なのです。
ワクワクする5年後は、次のようにイメージしてみましょう。

5年後の従業員

  • 従業員数が、〇〇人になったオフィスをイメージする。
  • 従業員や幹部が、それぞれ自分の目標を持ち生き生きと働いている姿をイメージする。
  • 従業員や幹部が、それぞれの役割を果たし、日々成長している姿をイメージする。
  • 笑顔と活気であふれたオフィスをイメージする。

5年後のオフィス

  • 〇〇人まで増えた従業員が働くオフィスや工場は、どのくらいの規模であるかイメージする。
  • オフィスや工場などの拠点がどこにあるのかをイメージする。
  • 大阪?名古屋?東京?海外?をイメージする。

5年後の売上

5年後の拠点も変わり、大きくなったオフィスで働いている活気溢れた従業員が、どのくらいの売上が達成できそうかイメージする。

これらのイメージは、具体的にイメージすればするほど達成の確率があがります。
通常モノクロであることが多いですが、そこに色をつけ、音と匂いまでにイメージできれば完璧です!
そのイメージにワクワクしてきませんか?

そんな5年後にしてみたいと心から思いませんか。
そして、このイメージを従業員全員と共有することができた時、全員が同じ方向に向いた時、経営は一気に加速し始めます。
将来のイメージを全社員と共有するツール。これが5ヵ年計画なのです。

5年後のイメージが先

現在の立ち位置から5年後は想像がつかないかもしれませんが、最初に5年後の売上や従業員の増加、新しいオフィスをイメージすることが重要です。
毎年、前年比で10%ずつ売上を増やしていく・・・。これでは現在の延長であり、数字を作っただけの計画になってしまいます。

まずはワクワクする5年後をイメージしましょう。そしてそれを達成するために、

計画1年目はどのような取り組みをして、売上をいくらにするのか。
計画2年目はどのような取り組みをして、売上をいくらにするのか。

5年後の売上計画から逆算して、各年の計画を作っていくことがポイントなのです。

鮮明にイメージし完成したワクワクする経営計画。この経営計画を達成するにはどうすればよいでしょう。

答えは、「計画と実績を比較することにより、ズレに気づき修正行動をとり続けること」。

これがワクワクする経営計画を達成する唯一の方法なのです。

しかし修正行動をとり続けることは難しく、途中であきらめてしまったり、挫折してしまったりすることが多くあります。こんな時、仲間や専門家によるチェックの仕組みを取り入れると、飛躍的に継続が可能になっていきます。

経営計画作成での成長例

会社の成長には、経営計画書の作成が不可欠であるとよく言われます。
なぜ会社は成長する必要があるのでしょう。
今回は私の経験をお話しします。

1.前職

過去2か所の会計事務所を経て、現在3か所目の会計事務所に勤めています。
以前勤めていた会計事務所は、ほとんど残業もなく、しっかり学びながらじっくり仕事をする環境がありました。お給料も十分あって経済的にも豊かで、残業がないため平日は毎日ジムで泳いで身体を鍛え、休日は家族で楽しく過ごせました。

税務知識が豊かな諸先輩や先生たちにも囲まれて税務知識を増やしていくことで、自分でも成長を感じ、良いポストも頂けるようになっていました。
何不自由なく不満もない、すばらしい環境でした。

そんな中、なぜか不安を感じている自分に気づき始めたのです。
なぜ不安であるのか分からないまま環境を変えたいという気持ちが大きくなり、結局退職し、現在のSMC税理士法人に勤めることになりました。

2.経営計画がある場合とない場合

SMC税理法人に入社し数年が経った時、前の会計事務所で感じた不安の原因が分かったのです。
前の会計事務所は経営計画がなく、SMC税理士法人には経営計画がある。

たったこれだけだったのです。

前の会計事務所にも経営計画はあったのかもしれません。しかし、社員にまで目標や目的、経営理念などが共有されることはなかったのです。
このため、この会計事務所で一生勤めようと考えても先が見えず、不安を感じてしまったのでしょう。当時はこのことが分からないまま退職することになりました。

3.会社はなぜ成長する必要があるか

会社はなぜ成長する必要があるか。それは、会社の成長速度と社員の成長速度を比較した場合、社員の成長速度の方が早くなったならば、その社員は不安になりその場を去っていくしかない。
大切な社員を失わないためにも、会社は成長し続けるしかない。

SMC税理士法人には経営計画があり、会社が進むべき方向が明確です。したがって自分自身の将来を容易にイメージすることができます。ここに不安はなく、あるのは高い目標だけです。
このように考えられるのは、経営計画があり社員全員に共有されているからです。

経営計画書を作り会社を成長させるサポートをしている中、経営計画書が会社の成長に不可欠であると同時に、社員にとっても人生を左右する重要な指標になると実感するようになりました。

このようにとても重要な経営計画書です。毎年しっかり考え作り続けることによって、成長し続ける強い会社になって下さることを祈念いたします。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 経営改善 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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このコラムの著者 : 曽根 詩央里

1990年岐阜生まれのB型。 中京大学・大学院に在学中、大原専門学校に通い税理士講座を受講。 大学院卒業後、SMC税理士法人に入社。 実務経験を積み、2017年税理士登録。現在税務の他、先行経営(MAS監査)を通じてお客様の経営支援を行っている。

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