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負債の増加、借金による収入の種類

負債の増加、借金による収入の種類

投稿日:2018年10月22日

更新日:2023年03月17日

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今回は第二の収入として、負債の増加についてお話をします。
なんと負債の増加も「収入」なんですよ。

負債とは、会社の借金などマイナスの財産のことです。
銀行から融資を受ける、商品を仕入れた代金が未払いである等、将来に返済の義務があるものが負債です。
一言でいえば負債とは借金です。

借金の代表格は銀行からの借入金ですね。銀行から借入れをすれば資金が増えます。
ですから銀行借入れも収入です。
また、支払手形、買掛金、未払金、未払費用などの増加も収入になります。
これらは商品や物品との引き換えに現金で支払うところを、一定期間後まで支払いを猶予してもらうので、本来出ていく資金が流出しないため、収入と同じ効果を持っています。

借入金や支払手形などの負債が増えるほど、資金は増えることになります。
しかし負債は借金ですから、永久に借金を増やし続けることは不可能です。
そして負債はいつか返済しなければならないので、自ずと限界があります。

金融機関からの借入金

金融機関の種類

金融機関と言っても複数の種類があります。

まずは都市銀行、いわゆるメガバンクです。
都市銀行と付き合うにはハードルが高く、中小企業にはとても難しいです。
しかし金利も低いので、いつかは都市銀行と付き合いたいですね。

続いて地方銀行です。
地方銀行は各都道府県に2~3行位あるでしょうか。
都道府県などのエリアを中心に業務を行っている銀行です。

信用金庫・信用組合も地域を中心に業務を行っている点では地方銀行と同じですが、エリアがもっと狭くなります。
最後が日本政策金融公庫です。
日本政策金融公庫は、国の政策実現を支えるために、創業者や中小零細企業者向けにいろいろな融資制度を用意しています。

では、各金融機関の特徴を比較してみましょう。

上記の表の通り各金融機関の特徴は色々ありますが、どの金融機関が良いというより、中小企業のステージによってお付き合いする金融機関が違うと言った方が良いでしょう。

中小企業はまず、信用金庫からスタートするのが無難です。

そして規模が大きくなるにつれて、地銀、都銀と付き合うようにします。
いつかは都銀をメイン銀行にしたいですね。
借入目的によっては日本政策金融公庫の制度融資も利用すると良いでしょう。

プロパー融資と保証協会

銀行が行う融資には、信用保証協会の保証付融資とプロパー融資の2種類があります。
保証付融資とは信用保証協会を保証人として借入れる融資のことです。
一方プロパー融資は、信用保証協会をはさまずに、直接銀行からお金を借り入れる融資を言います。

信用保証協会の保証付融資は、融資が焦げ付いた時に80%が保証されるため、銀行にとってはリスクが少なく、プロパー融資より借りやすいといえます。
しかし保証協会保証料を支払わなければなりませんので、資金調達コストは高くなります。
中小企業はまず保証付きで借り入れをし、順番に返済して信用をつけながら、業績を向上させてプロパー借入をするようにしましょう。

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買掛金・未払金・未払費用

次は買掛金、未払金、未払費用等についてみていきましょう。
これらの勘定科目はすべて貸借対照表の「負債の部」に計上されています。

「え~っ、買掛金・未払金・未払費用が収入なの?」という声が聞こえてきそうですが、見方によっては収入なのです。
経済取引の原則は、物品やサービスの提供と引き換えに現金を支払うことです。
ところがビジネスにおいては、取引の都度、現金のやり取りをするのは非効率なので、一定期間の取引の後に決済するという信用制度が、商慣習上あります。

例えば、商品を仕入れているにもかかわらず、支払は1か月後にする、というような場合です。
これは、本来支払いによって現金が減少するところ1か月間減らない、という収入としてみなすことができるのです。
しかし、これらの買掛金・未来金・未払費用は信用で成り立っている収入なので、あまりにも支払猶予期間が長すぎたり、金額が大きくなったりすると、資金繰りが悪化しているのではないかとの疑念で信用を失いかねませんので、注意が必要です。

常識的に考えれば、月末締めの翌月末支払が妥当な線でしょう。

さらに負債には預り金、前受金、仮受消費税などの科目もあります。

預り金

預り金には、源泉所得税・住民税・社会保険など、個人からの預り金があります。
これらの税金は社員の給料から天引きした資金を一時的に会社が預かっているだけなので、本来は会社の資金と峻別すべきものです。できれば、会社の資金とは別の預金口座で管理すると良いでしょう。

三流の甘~い経営者はこの社員の資金にまで手を付けてしまい、税金や社会保険料を滞納しています。
これは社員のお金を横領したようなものです。

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前受金

建設工事の手付金やエステやジムの回数券などの入金は前受金として計上します。
まだ商品やサービスを提供していないにもかかわらず、先に資金だけ入れて頂いている取引です。
もちろん入金されたお金で、後日商品やサービスを提供しなくてはなりません。

最近では着物レンタルの「晴れの日」が、商品・サービスの提供をする前に、お客様から預かった資金を赤字の運転資金に回してしまい、多くの若者の成人式を台無しにしてしまいました。
これも甘~い、三流アホ経営者ですね。
前受金も商品やサービスを提供しない限り、お客様からの預り金にすぎないのです。

仮受消費税

仮受消費税は、商品やサービスを提供した売上の消費税分です。
この消費税もお客様から預かった資金です。
売上で預かった「仮受消費税」から、仕入や経費で支払った「仮払消費税」を差し引いた差額を税務署に収めます。

いずれにしても、預かった消費税は会社の資金ではありません。会社の資金とは別の預金口座で管理すると良いでしょう。

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支払手形

最後に一番危険な資金繰り方法、支払手形についてお話しいたしましょう。

支払手形とは、仕入代金を支払うために振り出した支払義務を表示する手形債務のことを言います。
これは、商品やサービスなどを仕入れた対価として、仕入先(販売先)に代金を支払うために振り出した手形のことを指します。
買掛金とよく似ていますが、手形を振り出しているところが大きく違います。

支払いの担保のような支払手形を振り出しているために、支払いをしなかった場合のペナルティも大きく違います。

買掛金は支払期日に支払うことができない場合、仕入先さえ了解すれば支払を延期することができます。
一方、支払手形は支払期日までに全額支払いをしなければ、支払いは不渡りとなります。
6か月以内に2度不渡りを出すと銀行取引停止となります。

銀行取引停止となれば実質的には商売はできませんので倒産するしかありません。このペナルティはあまりにも大き過ぎます。

支払手形は、銀行の了解をいちいち取り付けなくても、単に紙切れに金額を書くだけで莫大な金額が資金調達できる、最も安易で楽な資金調達方法です。したがってそのペナルティが大きくても当たり前なのです。

私は中小企業経営者には必ず支払手形の発行は止めるように伝え、更に止め方のアドバイスもしています。

過去、私は100社以上の中小企業に支払手形の発行を止めさせてきました。これは私の使命です。

私は今までお客様である中小企業経営者を自殺で2人亡くしています。

当然、資金繰りに窮して自殺されたわけですが、2人とも支払手形を発行している会社でした。
さらに高級外車に乗っていましたね。
支払手形を発行していると、支払期日には待ったなしで全額支払資金を用意しなければなりません。

できなければ倒産です。先の中小企業経営者は、この倒産の恐怖に負けて自殺されたと思っています。
支払手形を発行していなければ、資金が用意できなくても、買掛金や未払金は一定期間であれば「待った」が効くでしょう。
ところが支払手形はこの「待った」が効かないのです。

支払手形は資金調達自体が簡単な分ペナルティが大きすぎるので、即刻辞めるべきです!

支払手形の止め方については、過去100社以上の支払手形を止めさせた私に気軽に聞いてくださいね。

私は支払手形を発行している経営者を見ると、ぬるま湯に浸かった三流アホ経営者に見えます。
さらにそういうアホ経営者に私が支払手形の発行を止めましょうというと、提案すると端から「そんなの無理です。」と何も考えずに答えるアホばかりです。

特に二代目・三代目にこのアホ経営者のタイプが多いですね。

余談ですが、法人税の滞納に比べ、消費税や源泉所得税の滞納の方が、税務署の取り立てや差し押さえも厳しいように感じます。
それは消費税も源泉所得税も人から預かった資金なので、運転資金に回してはいけない資金だからではないかと思います。

以上の通り、収入である負債の増加による資金調達の仕方次第では、企業が倒産したり、最悪の場合には人の命を落としたりすることにもなりかねません。

安易な資金調達をしないよう、資金繰りは十分計画を立てて行うことですね。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 経営改善 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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このコラムの著者 : 曽根 康正

SMCグループ顧問、1959年(昭和34年6月8日)に岐阜県多治見市で生まれる。 「社外重役の立場から専門能力を発揮し中小企業を支援する」 というグループ経営目標のもと、東海エリアにおいてNo.1の会計事務所を目指す。

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