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税抜経理方式と税込経理方式のメリット・デメリット

2022年07月19日

    経理

課税事業者である場合、消費税の処理方法を「税抜経理方式」と「税込経理方式」の2つから選択できます。
しかし、2つの違いが分からない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「税抜経理方式」と「税込経理方式」の違いの他、双方のメリット・デメリットなども解説しています。
この記事を読むことで、消費税の処理方法を適切に理解できるようになるでしょう。
ぜひとも参考にしていただければ幸いです。

消費税の課税事業者と免税事業者の決まり方

消費税の課税事業者を満たす要件としては主に下記の4つになります。
※その他の要件もありますが、一般的には下記の要件が多くの事業者に当てはまるでしょう。

  • 2年前の事業年度(基準期間)の売上高が1,000万円を超える事業者
  • 課税事業者選択届出書を出した場合
  • 特定期間の売上が1,000万円超かつ支払給与額が1,000万円超
    ※個人事業者は前年1月1日~6月30日までの間、法人は前年の事業年度開始後6ヶ月間
  • 設立資本金が1.000万円以上の場合(設立後2期目までの要件)

要件を満たしていない場合は、免税事業者となります。
多くの事業者の場合は、2年前の事業年度(基準期間)における売上高が1,000万円を超えているかどうかが基準になるでしょう。

消費税の処理方法には「税抜経理方式」と「税込経理方式」がある

消費税の処理方法には、税抜経理方式と税込経理方式の2通りあります。
なお、免税事業者は税込経理方式を採用するしかありません。
まずは、税抜経理方式と税込経理方式それぞれの概要を見ていきましょう。

「税抜経理方式」とは

税抜経理方式とは、本体価格と消費税を分けて処理する方法です。
例えば、1万円の商品(消費税:1,000円)を買掛金で仕入れた際の仕訳は下記の通りです。

借方 貸方
仕入 10,000円
仮払消費税 1,000円
買掛金 11,000円

仕入れた商品を2万円(消費税:2,000円)で売り上げた際の仕訳は下記の通りです。

借方 貸方
売掛金 22,000円 売上 20,000円
仮受消費税 2,000円

税抜経理方式では、決算時に仮払消費税と仮受消費税を相殺させます。

借方 貸方
仮受消費税 2,000円 仮払消費税 1,000円
未払消費税 1,000円

相殺した後、納めなければならない消費税分を「未払消費税」という科目で処理します。
なお、消費税が還付される場合は「未収消費税」で処理しましょう。

「税込経理方式」とは

税込経理方式とは、本体価格と消費税を合算して処理する方法です。
例えば、1万円の商品(消費税:1,000円)を買掛金で仕入れた際の仕訳は下記の通りです。

借方 貸方
仕入 11,000円 買掛金 11,000円

仕入れた商品を2万円(消費税:2,000円)で売り上げた際の仕訳は下記の通りです。

借方 貸方
売掛金 22,000円 売上 22,000円

税込経理方式では、決算時に確定した未払消費税分を「租税公課」で処理します。

借方 貸方
租税公課 1,000円 未払消費税 1,000円

「税抜経理方式」と「税込経理方式」のメリット・デメリット

ここからは、税抜経理方式・税込経理方式のメリットとデメリットを解説していきます。
まずは、税抜経理方式のメリット・デメリットから見ていきましょう。

「税抜経理方式」のメリット

税抜経理方式のメリットとして、期中の数字が把握しやすい点が挙げられます。
また、固定資産の計上においても、税抜き価格で判定するため有利になりやすいでしょう。
例えば、税抜経理方式を採用していた場合、99,000円(税抜)のパソコンは経費で一括計上できます。
しかし、税込経理方式を採用していた場合、108,900円(税込)となり、固定資産として計上しなければなりません。
交際費の損金算入の限度額800万においても、税抜経理方式であれば税抜き価格で判定するため有利です。

「税抜経理方式」のデメリット

税抜経理方式の主なデメリットは、処理に手間がかかる点です。
本体価格と消費税を分けて計上する必要があるため、経理処理が煩雑になります。
ただし、会計ソフトを使っている場合は自動で処理してくれるため、それほどデメリットになりません。
また、特別償却や特別税額控除は取得価格が大きい方がより恩恵を受けられるため、税抜経理方式はデメリットといえるでしょう。

「税込経理方式」のメリット

税込経理方式のメリットとして、処理が簡単な点が挙げられます。
税込価格だけを記帳すれば良いため、仕訳作業に労力がかかりません。
また、設立開始後は免税事業者に該当するため、税込経理方式で処理する必要があります。
方式を変更しないことで、過去の数字との比較もしやすくなるでしょう。
特別控除や特別税額控除の面においても、制度の恩恵を大きく受けられます。

「税込経理方式」のデメリット

税込経理方式のデメリットは、期中の数字が把握しにくい点です。
税込経理方式は決算時まで消費税額が損益に反映されないため、期中の数字は正確な数字ではありません。
また、固定資産や交際費の面においても不利です。
税込価格であるがゆえに一括で経費計上できなかったり、交際費が損金算入の限度額800万円を超えてしまったりする可能性もあります。
現在は消費税率も「10%」と「8%」の2つが混在しており、適切に処理できているか把握しづらいのもデメリットです。

まとめ

この記事では、「税抜経理方式」と「税込経理方式」の違いや双方のメリット・デメリットを解説しました。
2つのメリット・デメリットを見比べると、「税抜経理方式」が有利な傾向にあります。
ただ、最終的に決めるのは経営者や経理担当者です。
双方のメリット・デメリットを知っておいて損はないでしょう。
消費税の処理方法で悩む場合は、税理士に相談してみるのも手です。
自社の状況に応じて、適切なアドバイスをしてくれるでしょう。

このコラムの著者 : 舩田 卓

1972年愛媛県生まれのA型。 愛媛県立松山商業高校卒業後、東京IT会計専門学校に進学。 在学中に税理士試験を全国最年少20歳で合格。 そのまま専門学校の専任講師となり、税理士試験の受験指導を担当。 22年間務めた講師の道から飛び出しSMC税理士法人に入社。