正確な決算書を作成するために。正しい帳簿の付け方を学びましょう
2018年09月09日
- 経理
「現金主義」「発生主義」
「現金主義」「発生主義」という言葉を聞いたことがありますか?
「現金主義」とは、収益を現金等の入金時に認識・計上し、費用を現預金の出金時に認識・計上する会計処理の方法です。
一方「発生主義」では現預金の支出・支払に限らず、支出および収入の必要性(=経済的事実)が発生した期間に計上する必要があります。
現金主義・発生主義について、実際の例を用いてみていきましょう。
草刈り代行の売上をした場合
①6月20日に草刈りを実施
②7月20日に草刈り代金5万円入金
という取引があったとします。
この場合のそれぞれの売上の計上は以下の通りです。
現金主義 7月20日 現金 50,000 / 売上 50,000
発生主義 6月20日 売掛金 50,000 / 売上 50,000
7月20日 現金 50,000 / 売掛金 50,000
車両を購入した場合
①6月20日に車両が納車された
②7月20日に車両の購入代金500,000円が引き落とされた
という取引があったとします。
この場合のそれぞれの会計処理は以下の通りです。
現金主義 6月20日 車両運搬具 500,000 / 預金 500,000
発生主義 6月20日 車両運搬具 500,000 / 未払金 500,000
7月20日 未払金 500,000 / 預金 500,000
もちろん車両が納車されたその場で支払いをしていれば、現金主義・発生主義共に下記の会計処理となります。
6月20日 車両運搬具 500,000 / 預金 500,000
小売業で商品を仕入・販売した場合
小売業で商品を仕入れて販売した場合はどうでしょうか。下記の取引でみてみましょう。
①6月20日にA商品30個(仕入値500円/個)を仕入れた
②7月20日にA商品15個(売価700円/個)を販売した
現金主義 6月20日 仕入 15,000 / 現金 15,000
7月20日 現金 10,500 / 売上 10,500
上記取引は、損益計算書にて下記の収支になります。
収入 10,500円(15個×700円)
支出 △15,000円(30個×500円)
損失 4,500円
発生主義 6月20日 仕入 15,000 / 現金 15,000
7月20日 現金 10,500 / 売上 10,500
ただしA商品は、仕入れた30個のうち、売上げていない15個は在庫として会社に残っています。
収入 10,500円(15個×700円)
支出 7,500円(15個×500円)
利益 3,000円
資産(在庫) 7,500円(15個×500円)
現金主義は、お金に動きがあった場合のみ取引を計上するので、お小遣い帳のようでとても簡単です。
ただ現金主義では、最後の事例の小売業のような在庫の把握が出来ません。
他にも現金主義では、現金の動きがない減価償却や信用取引(掛け売上、掛け仕入)が把握できません。
会社の状態を把握するためにも、正確な決算書を作成するためにも、発生主義で取引を認識・計上していくことが大切です。
PROFILE

曽根 詩央里
1990年岐阜生まれのB型。 中京大学・大学院に在学中、大原専門学校に通い税理士講座を受講。 大学院卒業後、SMC税理士法人に入社。 実務経験を積み、2017年税理士登録。現在税務の他、先行経営(MAS監査)を通じてお客様の経営支援を行っている。