企業の成長過程から見た資金繰りシリーズ第二弾、第一成長期の資金繰りについて
2019年07月07日
- 経営
今回のシリーズでは資金繰りを企業の成長過程を、
①創業期(売上確保)
②第一成長期(資金確保)
③第二成長期(人の確保)
④第三成長期(組織作り)
⑤第四成長期(差別化戦略)
でお話ししております。
今回は第一成長期、資金の確保についてみていきましょう。
第一成長期(資金確保)
創業期に順調に売上が確保できたならば、とりあえずキャッシュは底をつかずに会社は無事に離陸することができます。
売上が順調に上がると次の壁が待っています。その壁とは資金繰りです。
売上の確保が順調であるほど壁が大きくなります。
売上が大きく伸びると、売掛金が増え在庫も増えてきます。いわゆる運転資金が必要となってくるのです。運転資金とは下記の算式で計算します。
(受取手形 + 売掛金 + 棚卸資産) - (支払手形 + 買掛金)
上記算式の運転資金は、通常金融機関から借入をすることができます。
つまり、この頃から金融機関とお付き合いをして密接な関係を作っておく必要があるのです。
ところでこの運転資金を必要最低限に抑えるためには、受取手形、売掛金、棚卸資産を少なくして、支払手形、買掛金を多くすることです。
しかし以前の記事でも書いたように、支払手形は絶対に発行すべきではありません。
買掛金も仕入先からの信用を失い、大事な商品や材料が仕入れられなくなる可能性があるので、あまり支払いを先に延ばさないことです。
さらに極端に実行しすぎると、上記の運転資金がマイナスになることがあります。
つまり支払わなければならない資金が多くなっている状態です。
運転資金がマイナスになるということは、結果として資金調達したことになり、一見良いように見えます。
ケースバイケースではありますが、支払いを先延ばしする自社本位で行き過ぎた資金調達だと思います。
充分なキャッシュの準備ができていないのに売上を急拡大すると、必ず運転資金が必要となり、資金ショートして黒字倒産する可能性があります。
急成長も要注意ですね。
十分なキャッシュ準備をしてから売上拡大をしていきましょう。
運転資金を賄うための十分な資金を準備しましょう。
PROFILE

曽根 康正
SMCグループ代表、1959年(昭和34年6月8日)に岐阜県多治見市で生まれる。 「社外重役の立場から専門能力を発揮し中小企業を支援する」 というグループ経営目標のもと、東海エリアにおいてNo.1の会計事務所を目指す。