資金繰りを改善する売上計画。売上総利益を増やすためのシナリオ作り
2018年09月15日
- 経営
売上計画を立案するにあたり、下記の具体的な事例でみていきましょう。
A商品(原価率80%)の売上が7千万円
B商品(原価率70%)の売上が2千万円
C商品(原価率60%)の売上が1千万円
上記の売上総利益は2千4百万円です。
(A商品7千万円×20% + B商品2千万円×30% + C商品1千万円×40%)
この現状の売上計画の2つのシナリオを考えていきます。
シナリオ1薄利多売を狙う
5年後、
A商品の売上を 2億円
B商品の売上を4千万円
C商品の売上を2千万円
にすると売上総利益は6千百万円になります。
(A商品2億円×20%+B商品4千万円×30%+C商品2千万×40%)
シナリオ2利益率の高い商品を多く売ることを狙う
5年後、
A商品の売上を5千万円
B商品の売上を 1億円
C商品の売上を5千万円
にすると売上総利益は同じく6千万円になります。
(A商品5千万円×20%+B商品1億円×30%+C商品5千万円×40%)
<シナリオ1>も<シナリオ2>も共に売上総利益は6千万円で同じです。
ですから、<シナリオ1>が良いか<シナリオ2>が良いか これは良い悪いの判断ではなく、どちらを選択するかの問題です。
<シナリオ1>も<シナリオ2>も5年後の売上総利益が同じだからです。
売上総利益が同じであるなら、どのような基準で<シナリオ1><シナリオ2>を選択したら良いのでしょうか。
それは経営者自ら選択する時にどちらが自分に合っているか、あるいは具体的なアクションをイメージできるか、将来的にはどちらのメリットが大きいのか等を、総合的に判断して選択すべきでしょう。
ここで注意して欲しいことがあります。
売上を伸ばすのは売上総利益を増やすためです。
どんなに売上が増えても、売上総利益の額が増えなければ意味がありません。
どんなに利益率が高い商品を売っても、売上総利益の額が増えなければ意味がありません。
まとめ
私の経験で笑えない経営者の話があります。
「利益率」にこだわっている経営者が、利益率の高い商品を売らなければならないと一生懸命売っていた結果、その商品の売上は増えました。
ところが、利益率の悪い商品の売上が極端に減少したために、売上総利益の額が減ってしまっていたのです。
売上を増やすことも利益率の高い商品を売ることも、すべてが「売上総利益の額を増やすこと」が目的なのです。
したがって利益率が高くても利益額が少なくなってしまえば本末転倒です。
このことに気付いていないアホ経営者は意外に多いですよ。
PROFILE

曽根 康正
SMCグループ代表、1959年(昭和34年6月8日)に岐阜県多治見市で生まれる。 「社外重役の立場から専門能力を発揮し中小企業を支援する」 というグループ経営目標のもと、東海エリアにおいてNo.1の会計事務所を目指す。