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ネットキャッシュ残高で倒産リスクを知る

2020年06月07日

  • 経営

前回のコラムでネットキャッシュ残高(現預金から借入金を差し引いた金額)の増減と、その原因を探るために3つのキャッシュフロー(営業CF、投資CF、財務CF)の大切さをお話ししました。

今回は具体的に実在する会社の事例を使って説明をしていきます。早速5期分の決算書を用意して始めましょう。

製造業S社 創業15年 売上15億円 社員100名(パート含む)

まず、貸借対照表の左の一番上の現金預金をA欄に記入します。現金預金だけ見ていると借金で増えたのか、利益を増やして増えたのかがわからないので、短期借入金・1年以内返済予定長期借入金・長期借入金の合計をB欄に記入します。そして、「A-B」のネットキャッシュ残高を計算します。ネットキャッシュ残高がプラスになれば実質無借金経営と言って良いでしょう。

このS社は第14期に実質無借金経営になりました。ネットキャッシュ残高は5年前から増えていっているので健全です。このネットキャッシュ残高が毎期減っていっていると、いずれ資金ショートして潰れてしまうことになります。

まず、あなたの会社のネットキャッシュ残高が増えているのか減っているのかを確認しましょう。

この表でネットキャシュ残高の増減がわかりましたが、何故増えたのか減ったのかがわかりません。そこで、この理由を知るためにキャッシュフロー計算書を作成してみます。
SMCグループの顧問先の決算書には必ずキャッシュフロー計算書が添付されているので、この表も簡単に作成することができます。

しかし、三流会計事務所に作ってもらった決算書には添付されていないので、経営者自らキャッシュフロー計算書を作成しなければなりません。

第12期の現金預金は55,481千円増加しています。その内訳は、本業の営業CFで56,928千円増加し、設備投資などの投資CFで24,675千円減少したため、フリーCFが32,253千円しかありません。しかし、財務CFで借入金により23,228千円増え、結果として現金預金が55,481千円増えています。第12期の現金預金増加は本業の営業キャッシュの増加と借入金の財務キャッシュの増加でした。

第13期も見てみましょう。
現金預金の増加は17,923千円です。その内訳は本業の営業CFが、何と105,568千円増えています。この原因は後で調査しますね。営業CFが増えたため、設備投資などの投資CFで33,373千円減少しても、フリーCFは72,195千円増加しています。さらに財務CFで借入金を54,272千円返済した結果、現金預金が17,923千円増えています。

さて、ここで大きな疑問が残りました。何故、営業キャッシュフローが105,568千円も増えたのでしょうか?

第13期は当期利益が6,267千円しかなく、43,605千円の減価償却費とで簡易純キャッシュ増は49,872千円しかありません。そこで貸借対照表の中身を見てみると、受取手形が前年に比べて53,448千円も減っていました。

このS社は数年前から受取手形を減らすように取引先と交渉していました。前年2億円あった受取手形を1.5億円に減少させたのです。

ここで教訓です。
受取手形、売掛金、棚卸資産を減少させるとキャッシュが増えるのです。S社は更に受取手形残高ゼロを目指して粘り強く交渉を続けています。

PROFILE

曽根 康正

曽根 康正

SMCグループ代表、1959年(昭和34年6月8日)に岐阜県多治見市で生まれる。 「社外重役の立場から専門能力を発揮し中小企業を支援する」 というグループ経営目標のもと、東海エリアにおいてNo.1の会計事務所を目指す。

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