夢を叶える経営計画の作り方。中期経営計画、単年度経営計画について
2019年02月10日
- 経営
目次
経営計画の作り方をいざ調べてみても、「具体的に書け」とか「表に数字を入なさい」とか…よく分からない事ばかりですよね。
「経営計画に必要な情報が多すぎて調べていられない!」
「作り方のテンプレートに出てくる用語がよく分からない!」
「ウチの会社は受注金額がバラバラで経営計画作成とか無理です!」
今回は、はじめての方でも簡単にできるよう、まとめて分かりやすく解説しました。
ワクワクするような経営計画書を作りましょう!
まず、中期経営計画について説明しましょう。
中期経営計画作成時のポイントは大きく分けると5つあります。
中期経営計画作成時のポイント①売上分類
まず、直近の決算書から、売上を分類してみましょう。
分類の方法は、
①商品別
②取引先別
③ルート別
など、5年後を考えた時、この売上を意識して伸ばしていこう、この売上は縮小でいこう、とイメージできる分類が良いでしょう。
例えば、直前期決算の売上を「商品別」で分類してみます。
<直前期売上>
A商品 4,000万円
B商品 1,000万円
C商品 3,000万円
D商品 2,000万円
売上合計 1億円
分類数に上限はありませんが、あまり多いと計画を立てにくくなります。4~8分類ぐらいが良いでしょう。
分類が終わりましたら、5年後、どの商品をどのくらい伸ばすのか、または減らすのかをイメージします。
A商品は、メイン商品ですが、市場は飽和状態なのでこれ以上を伸ばせない。
B商品は、売上規模は少ないが、今後伸ばせる可能性が高いのでメイン商品に成長させていきたい。
D商品は、今後力を入れない。
など、商品ごとに5年後の売上を計画します。
ここで大事なのが、最初に5年後の数字を計画するということです。
直前期から10%ずつアップ・・・。これでは、良い計画にはなりません。
× B商品 ダメな計画
1年目 1,000万円×1.1倍=1,100万円
2年目 1,100万円×1.1倍=1,210万円
3年目 1,210万円×1.1倍=1,331万円
4年目 1,331万円×1.1倍=1,464万円
5年目 1,464万円×1.1倍=1,610万円
〇 B商品 良い計画
5年後 2,000万円・・・先に決める
5年後 2,000万円の売上を達成するために、どのような手段や方法があるのかを考え、逆算して1年目の計画を立てる。
ポイントは、「5年後の売上を先にイメージする!」です。
中期経営計画作成時のポイント②限界利益
売上を分類し、どの売上を伸ばしていくのかを判断するために、「限界利益」を使います。
限界利益の計算式は、
「限界利益 = 売上 - 変動費」
ここでいう変動費は、売上の増減に直接影響する経費で、
①仕入(材料)
②外注費
の2つを指します。
運送業においては燃料費を変動費にする場合がありますが、まずは仕入(材料)と外注費の2つを変動費としましょう。
ただし、在庫の増減は変動費に影響しますので、仕入(材料)と外注費に在庫の増減を加味したものを変動費として下さい。
計算式
「売上-(仕入又は材料費+外注費+期首在庫-期末在庫)=限界利益」
※期首在庫=期首商品・期首材料・期首仕掛・期首未成工事支出金
※期末在庫=期末商品・期末材料・期末仕掛・期末未成工事支出金
企業において、この限界利益をいかに増やしていくかが鍵であり、5ヵ年計画においても重要なポイントになります。
また、限界利益を売上で割った率が、限界利益率です。
「限界利益率(%) = 限界利益 ÷ 売上高」
ここで前回の売上分類にもどりましょう。
<直前期売上>
A商品 4,000万円(限界利益率10%)・・・市場は飽和状態
B商品 1,000万円(限界利益率30%)・・・今後成長市場
C商品 3,000万円(限界利益率20%)
D商品 2,000万円(限界利益率20%)
前期の売上高を分類し、限界利益率を算出すると、上記のようになりました。
次に、売上高ではなく「限界利益」で分析してみます。
<前期限界利益>
A商品 400万円(限界利益率10%)
B商品 300万円(限界利益率30%)
C商品 600万円(限界利益率20%)
D商品 400万円(限界利益率20%)
A商品の売上高は最も大きいですが、限界利益でみるとC商品の方が儲かっていることが分かります。
しかもA商品の市場は飽和状態で、今後売上を伸ばしていくのは難しい。
となると、5年後のA商品は縮小方向、そしてB・C・D商品を伸ばしていく、という計画になります。
特にB商品は、現在の売上高は少ないが、限界利益率も高く成長市場です。
したがってB商品をメイン商品にするように計画を立てる。
こんな風に考え、売上計画を作ってみては如何でしょうか。
①売上を分類する
②分類毎の限界利益を算出
③市場などを調査
④どの売上を5年後に向けて伸ばしていくのか、又は縮小していくのかを決める。
という手順で、売上計画を立てると良いでしょう。
中期経営計画作成時のポイント③単価×件数
売上を分類し、限界利益を算出し、どの売上を伸ばしていくのか、が見えてきました。
次に具体的な売上金額を算出します。この時ポイントになるのが「単価」です。
売上は、「単価 × 件数(個数)」で計算されます。
建築業の経営者からは、「受注金額がバラバラなので単価の算出はできない。
だから「単価×件数」の計算はできない。」という声を多く聞きます。
本当にできないのでしょうか。
例えば、1戸建てを中心に建築するA工務店。
大規模な公共工事から民間の工事までを請負う建築業で、受注物件は数十万円から数億円まであります。
単価はどのように計算すれば良いでしょう。
このような場合、単価は平均単価を使用します。
受注金額がバラバラな建築業であっても、商品販売であっても、分類毎の売上と総件数が集計できれば、平均単価は算出できます。
売上計画は、「平均単価 × 件数 = 売上高」で作るのです。
出来上がった売上計画は金額で表示されますが、その元となる件数を必ず押さえておきましょう。
前年は平均単価3000万円の1戸建住宅を20棟完成させているが、5年後は40棟完成を目標にしよう。
40棟完成させるために、
1年目は、見込み客を徹底的増やす。
2年目は人の採用と教育に力を入れる。・・・・
目標件数を受注するためにする事は何か。
目標件数をこなすために必要な資源は何か。
金額ではなく件数を目標にするとイメージしやすく、また達成管理も容易になります。
①売上分類
②限界利益
③単価×件数
この3つのポイントを押さえて売上計画を立ててみて下さい。
中期経営計画作成時のポイント④人件費計画
売上計画により、5年後のワクワクするような売上となり、商品構成や取引先も具体的にイメージできるようになりました。
このイメージを実現するために必要なのは「人」です。
みなさんはどのように人件費計画を立てていますか?
今の従業員だけでは人数が足りないので、5年後には10人増やそう。
10人という採用に根拠はないけれど、今までの経験から、このぐらい増やせば人は足りるかな。
みんな忙しそうなので、少し人を増やして、残業もなくして・・・。
このようなことを考えながら計画を作っていませんか?
今、従業員が忙しそうにしているのには理由があります。
①「人が足りないから忙しい」
②「人は足りているが、生産性が悪いので忙しい」
この2つには大きな違いがあります。
生産性が悪くて忙しいのに、人が足りていないと勘違いし、増員するケースを本当に良く見ます。
こうなると利益を圧縮し、赤字経営に陥ってしまいます。
或いは人は足りているのに、一人辞めたから一人採用する、という採用も多いように思います。
ではどうすれば、現在の従業員数が適正であるかどうかを見ることができるでしょうか
それでは、適正人員の考え方について見ていきましょう。
適正人員は
①限界利益
②給与分配率
③平均給与
の3つを使って計算します。
前回の記事で限界利益の解説をしました。
「売上」から「変動費(仕入+外注)」を差し引いたものが「限界利益」です。
この限界利益のうち給料の占める割合、これが「給与分配率」です。
「給料÷限界利益=給与分配率」
この場合の給料とは、役員報酬・給料・賞与、および製造原価がある場合は賃金・工員賞与をいい、社会保険料や福利厚生費は含みません。
(1)給与分配率
給与分配率は、目安として40%~50%の間に収まるようにコントロールすると良いでしょう。
給与分配率が40%以下だと給料が安すぎて従業員が定着しない傾向があり、また50%を超えると会社の利益が出にくくなります。ただし業種や会社の方針によってこの率の目安は変わります。
それでは自社の給与分配率はどのくらいが適正なのでしょうか。
まずは過去の決算書から10年分の給与分配率を算出してみましょう。
そして並んだ給与分配率をもとに10年間の業績や社員の採用等を思い出してみて下さい。
①残業続きで従業員に苦労をかけた年・・・38%
②仕事が減って、従業員が暇そうだった年・・・55%
③比較的残業も少なく、会社の利益も出た年・・・45%
③に当てはまる年の給与分配率が45%だったとすると、この会社にとって適正な給与分配率は45%です。
直近の決算書の給与分配率が48%なら、
「45%に収まるよう人件費をコントロールしよう」という計画を立てることができますし、
「新卒から採用して育てていく経営方針にしたので、来期も48%で良い」という意思決定もできます。
このように給与分配率を知ることで、人件費に関わる経営の判断をすることが出来るようになります。
(2)平均給与
次に、直近の決算書から平均給与を計算してみましょう。
決算書の給与を期末の人員で割れば、平均給与が計算できます。
いかがですか?あなたの会社の平均給与はいくらになりましたか?
思っていた金額よりも低いと感じた方は、将来いくら給料を払ってあげたいかを考えて下さい。
希望する平均給与と限界利益、そして給与分配率が分かれば、あなたの会社の適性人員をはじき出せます。
今いる人数で足りているのか、多すぎるのか、採用しなくてはいけないのかの判断をすることが出来るようになるのです。
中期経営計画作成時のポイント⑤適正人員
「給与分配率」と「平均給与」、この2つを使って適正人員を算出し、5年後の従業員数を計算しようと思います。
例えば以下のような決算書があったとします。
売上 1億2000万円
変動費 4000万円
限界利益 8000万円(限界利益率66.7%)
給与 3600万円 (給与分配率45%)
従業員数 12人
平均給与 300万円
この決算書を元に、未来の給与や従業員数をはじき出します。
まず「平均給与が300万円では少ないので、将来400万円払えるようにしたい。」という目標を立てます。
そして、過去、給与分配率が50%の時が残業も少なく会社の利益もあるという最も良い状況だったので、
「給与分配率を50%にしたい」とします。
限界利益のうち給与に50%を配布し、平均給与を400万円にしたいということですから、
400万円 ÷ 50% = 800万円
上記の計算で、一人当たりいくらの限界利益を出せばよいのかが計算できます。
これを「一人当たり限界利益」といいます。
目標平均給与 ÷ 給与分配率 = 目標一人当たり限界利益
この会社の限界利益は年間8000万円ですので、目標である一人当たり限界利益800万円で割ると
8000万円÷800万円=10人
つまり10人で現状の限界利益を出せば、平均給与400万円を出してあげられることが分かります。
この人数が「適正人員」なのです。
現在12人の従業員がいますので、適正人員と比較すると2人多いことになります。
ただし2人を解雇するわけにはいきませんので、経営者は12人で平均給与400万円を出せる限界利益を目標とすることが必須となるのです。
こちらの計算もカンタンに出せます。
目標限界利益 = 目標一人当たり限界利益 × 人数
= 800万円 × 12人
= 9600万円
限界利益率も分かっていますので、上記に必要な売上高も算出できます。
目標売上高 = 目標限界利益 ÷ 限界利益率
= 9600万円 ÷ 66.7%
= 1億4392万円
つまり1億4392万円の売上があれば、従業員12人に平均給与400万円を出してあげられるのです。
経営者が売上を上げる理由の一つは、従業員の給与を上げたいからですね。
この計算を行い適正人員が分かれば、採用の要否も分かります。
適正人員より現在の従業員数が多い場合、残業が多く忙しそうにしている原因は、人員不足にあるのではなく生産性が悪いからだと気づきます。
そうすると、人を増やすのではなく生産性を上げる対策をとる、という意思決定ができるようになります。
5年後の従業員数
さて、経営計画にもどりましょう。
5年後何人の従業員が必要なのか。この計算に今まで解説してきました適正人員を使います。
①5年後の平均給与は〇〇円にしたい。
②5年後の給与分配率は〇〇%にコントルールする
この2点が決まると、「目標一人当たり限界利益」が決まります。
先ほどの例で言いますと、平均給与400万円÷給与分配率50%=800万円 です。
例えば、売上計画をたて、5年後の限界利益が算出できたなら、
【例:5年後】
売上 3億円
変動費 1億円
限界利益 2億円
限界利益を目標一人当たり限界利益800万円で割ってみて下さい。
2億円÷800万円=25人
これが5年後の売上が達成できた際の適正従業員数です。
5年後をイメージしたとき、この従業員数では足りないということであれば、再度売上計画に戻り、もっと限界利益をアップする計画、または、売上そのものをアップする計画に修正する必要があるかもしれません。
25人も必要なければ、平均給与をもっとアップし、採用計画を減らしても良いかもしれません。
このように人件費計画は「毎年2人ずつ採用する」といった計画ではなく、「何人が適正な人数なのか」を意識して計画を作成すると、実行可能なワクワクする計画になります。
今回は、人件費計画を作成する上でのポイントとして、適正人員の考え方を解説しました。
一度みなさんの会社の適性人員をはじき出してみてはいかがでしょう。
単年度計画について
その計画1年目を分解して、毎月の計画に作り直す。これが単年度計画です。
年間の売上・人件費・経費・投資・借入計画は、すでにあることを前提にお話しします。
それでは早速、売上計画からみていきましょう。
単年度計画作成時のポイント①売上計画
売上計画を作る上で最も重要なのは、売上分類です。
分類の方法は、「商品別「取引先別」「ルート別」など、毎月、目標が達成されたか検証しやすいよう、自社で把握しやすい売上分類が良いでしょう。
中期経営計画を作成した際に売上分類は作成していると思いますので、その分類を使っても良いと思います。
売上計画のポイントは2つ
ポイント一つ目は、各売上に対する「単価」と「数量(件数)」の把握です。
単価というと、いろんな単価があって決められないと思われる方も多いですが、売上分類毎の過去数年の平均単価・前期の平均単価を参考にすると良いでしょう。
ポイントは、平均であるということです。
あくまでも、売上分類毎の平均単価ですので、実際の単価との違いがあってもかまいません。
売上分類毎の単価が把握できれば、単価に数量(件数)を掛けて、実際の売上計画を作っていきます。
中期計画で売上分類毎の年間売上は決めていると思いますので、先ほどの「平均単価」で割って年間の数量(件数)を計算してみて下さい。
金額ではなく、数量(件数)にすると、各売上のイメージが付きやすくなると思います。
年間の数量(件数)が把握できれば、この数量(件数)を月別に分解していきます。
前期の売上推移・季節変動・人の採用などを参考に、年間の数量(件数)を各月に配布して下さい。
数量(件数)計画ができれば、単価を掛けて、金額ベースに直したものが、売上分類毎の月別計画になります。
なぜ、ここまで、数量(件数)と単価に拘っているか?
経営計画は、将来の目標を達成するためのビジョンを明確にし、計画と実績との差を把握し、ズレが生じた場合には、そのズレを速やかに修正していくという、PDCAサイクルを効果的に回していく道具として使うことが目的です。
大切なのは、「計画と実績のズレを明確にする」ということです。
計画と実績がズレたことに気がつき、修正しやすい数字は、実際の売上金額ではなく、売上分類毎の数量(件数)と単価です。
売上金額を数値目標にすると、頑張って売上を上げようという努力目標になり、具体性に欠けることで行動が取りづらくなります。
一方、件数や単価でズレを見ることで、「数量(件数)が足りないので、数量を上げる対策をしよう」
「数量には限界があるので、単価を上げる対策をしよう」という行動につながります。
このため、数量(件数)と単価に拘った計画をつくることをお勧めします。
売上計画のポイント二つ目は、各売上に対する限界利益の把握です。
限界利益とは、売上から変動費を差し引いたものです。
変動費とは、売上が増減すればそれに応じて増減する費用で、仕入(材料)・外注の2つが該当します。
厳密には、運送業の燃料費や、商品販売の荷造運賃も変動費とすることがありますが、ここでは、仕入(材料)・外注の2つとします。
過去数年の平均限界利益・前期の限界利益・中期経営計画で作った1年目の限界利益など、これらをもとに、今期の目標限界利益を決めましょう。
限界利益の改善は、並大抵の努力では達成できません。限界利益を改善するための具体的なアクションプランをたて、今期の大きな柱にすべき内容となります。
単年度計画作成時のポイント②人件費計画
中期計画で、年間の予算は決めていると思います。この金額をもとに毎月の計画を作成します。
人件費計画を作成する際は、横行に従業員の名前、縦列に月(期首から期末の12列)の一覧表を作って計画します。
今いる従業員については昇給・賞与の計画を立て、新しく人を採用する場合は、いつ入社し、いくら給料を支払うのか。賞与はいつから支給するのか、等の計画を立てます。
また退職する人がいる場合、いつ退職するのか、いくら退職金を支払うのか等も計画に必要でしょう。
単年度計画で、売上計画・人件費計画は大きな柱です。特に昨今は採用が厳しく、計画が立てづらいところではありますが、「人を採る」という計画があって初めて採用ができるのだと思います。
また人件費は経費に一番インパクトを与えるため、最終利益も大きく変わってくることもあります。
人が足らないから採用するのではなく、まず計画することから始めましょう。
今回は、経費計画からお話しします。
単年度計画作成時のポイント③経費計画
売上計画をはじめ、人件費計画、その他今期のイベントなどを考慮して経費計画を作成します。
科目ごとの年間計画は中期計画でできていると思いますが、意識して増やす経費と減らす経費を確認しながら作成していきます。
計画を立てる時には、前期の元帳を用意しておくと良いでしょう。
例えば、広告宣伝費の計画を作成する際、前期の元帳を良く確認し、今期減らすことができる項目がないか探していきます。前年はホームページの作成を行ったが、今期はなし。その代わり秋には展示会に出展する、といった要領です。
経費削減の計画と、今期のアクションに対して必要な追加経費の計画を同時に行っていきます。
その結果、広告宣伝費の年間合計が中期計画の金額より多くなった場合は、もう少し展示会を安く抑えられないか、また他に削れる項目はないか、などを検討しましょう。
中期計画の金額より少なく収まったのであれば、次の項目にすすんでいきます。
この手順を繰り返し、すべての経費科目について月毎の計画を作成します。
単年度計画作成時のポイント④投資計画
機械・車の購入や建物の建設などの計画があれば、計画に入れていきます。
機械・車・建物などの設備投資は、支払う金額をそのまま単年度計画に表示することはできません。
設備投資の費用は、損益計算書において減価償却費という科目で少しずつ経費化されますので、設備投資による減価償却費がいくらになるかは税理士に確認て計画しましょう。
また、建物を建てると、引越し代金・机やパソコンなどの備品・その他付随して多くの費用がかかります。この追加経費も各科目計画にプラスして計画しましょう。
単年度計画作成時のポイント⑤最終確認
売上計画→人件費計画→経費計画→投資計画
この手順で作成した、単年度計画の経常利益を確認します。
最終確認のポイントを2つお話しします。
①売上高経常利益率
売上高に対して経常利益が何%あるか。
という指標です。売上高経常利益率は10%以上を目指します。
なんとか「売上高の10%以上は利益を残す!」という計画を作り、次に計画を達成する方法を考えましょう。
10%以上残らなければ、もう一度売上計画から検討します。
売上高の10%以下の利益しか残らない計画にすると、それが目標となるため、作った計画以下になる事はあっても、計画を上回る利益が残るということはまずありません。
ぜひ高い目標設定をしましょう。
②税引前当期利益 1,000万円以上
2つ目のポイントである「当期利益を1,000千円以上にする」という目標は、会社の規模により当期利益が1,000万円ではまったく足りない会社もあれば、そもそも売上が2,000万円程しかない会社もあるので、すべての会社に同じ指標を当てはめることは出来ません。
しかし「1,000万以上の利益を出すと税金が大変なので・・・」など、利益を出すことに慣れていない中小企業の経営者が多くいます。
経営計画をつくる目的は、会社にとって最も大切なキャッシュを増やし、潰れない強い会社になり、ワクワクする目標を達成することです。
利益を出し続けることが、キャッシュを増やす最も健全な方法です。
中小企業にとって1,000万円以下の利益は、採用の失敗、得意先の撤退など、すぐに赤字に転じてしまいかねない利益です。
したがって単年度計画を作成する際は「何があっても必ず黒字にする」という覚悟を持ち、税引前当期利益が1,000万以上になるような計画を作って下さい。
中期計画が「夢目標」である一方、単年度計画は必ず達成しなければならない「実現目標」です。
作った計画は、必ず達成する覚悟をもって強い会社になって頂きたいと思います。
最後に
計画した経営計画にワクワクできましたら完成です。
ワクワクできなければ再度見直しです。
じっくり考え納得がいくまで考え抜きましょう。
きっとワクワクする計画ができますよ。
PROFILE

浅田 和利
SMCグループ (株)会計ファクトリー 代表取締役 1968年大阪府生まれのB型 東京・千葉の会計事務所を経て、2008年SMCグループに入社。 先行経営(MAS監査)を通じてお客様の経営支援を行っている。