資金繰りとはお金のインとアウトの未来予測です
2020年02月02日
- 経営
適切な資金繰りを行うためには資金繰り表の作成が欠かせません。ところが資金繰り表の作成ができていない企業は意外と多いものです。今回は資金繰り表の重要性と作成のポイントについてお伝えします。
1.資金繰りは経営者にとっての重要ミッション
経営者が自ら行うべき重要ミッションのひとつが「資金繰り」です。会社はお金が無くなれば倒産するので、資金がどれぐらい残るのか残らないのかを把握するのが経営者の重要使命であり、自社の資金を回すのが最大の仕事と言っても過言ではありません。そのためには自社のお金が将来どうなるのかを見通しておく必要があります。
2.資金繰り表が必要
そこで登場するのが「資金繰り表」です。これを作成することで自社のお金の動きが把握できます。
ただ残念ながら、業績の良くない企業ほど資金繰り表を作っていない場合が多く、業績が悪化してから慌てて資金繰り表を作り出す企業が殆どです。
それでは遅いですよね。
業績がよかろうと悪かろうと、自社のお金がいつどこから入ってきて、いつどこへ出ていっているのか、いつの時点でどれぐらい自社のお金が残るのかということを、経営者は常々把握しなければなりません。
3.資金繰り表の役割
資金繰り表を作成していれば予め資金不足となるタイミングがわかるので、先んじて様々な手を打つことで資金不足を回避することができます。
ところが資金繰り表を作成しておらず資金不足になる直前にその事実がわかったとしたら、手を打つ時間がなく倒産というリスクもあるでしょう。
倒産回避はもちろんのこと、会社が事業を続けていくためには、資金繰り表は必ず作成されるべき重要なデータといえます。
4.「資金繰り予定表」を作りたい
資金繰りを回すということは資金管理を適切に行うことであり、キャッシュインを増やして、キャッシュアウトを抑え、会社に残っていくキャッシュを最大化するための管理をすることです。言われなくてもわかっている、という声が聞こえてきそうですね。ではどれぐらいの方が「資金繰り予定表」を作成されているでしょうか?
資金繰り表というと、どうやってお金を使ったかという「資金繰り実績表」を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。
しかしこれはあくまで実績表なので過去情報であり、知りたいはずの未来情報はありません。
資金繰り予定を立てるための基礎データにすぎないのです。つまり資金繰り表は「資金繰り予定表」のことを指します。
これからのお金のインとアウトの予定が把握できるもの、それが資金繰り予定表です。この予定表により、本来の目的である「資金不足を回避」することができるのです。
ところがこれが作成できていない中小企業が大半です。お金が無くなれば倒産するのは誰でもわかっているのに、それがいつなのかを把握する=「見える化」する、ということをしない企業がなぜか多いです。
自分の会社のお金がいつまでもつのかは誰でも気になりますし知りたいですよね。
資金の未来を見据える「資金繰り予定表」を作成することは企業経営をしていれば必然なのです。
次回のコラムでは、具体的に資金繰り表の作り方をお伝えしていきましょう。
PROFILE

小川弘郎
中小企業診断士 金融機関OB 20年勤務した金融機関在籍時には融資担当や企業改善支援担当を歴任、融資現場における多数の経営支援や事業再生の実践経験を持つ。会計業界に転身後は経営計画に基づく経営サポートを行っている。経営戦略、経営管理、資金繰りが専門。