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本当は怖い節税の話 その3 節税保険の危険性

2020年02月16日

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4回シリーズで、破産弁護士が「節税」の恐ろしさについてお伝えしておりますが、第3回は節税保険の危険性についてお話ししていきましょう。

1.節税保険の危険性

前回のコラムでは、将来のリスクに備えるために、なるべく安い掛け捨ての定期保険が有効だとお伝えいたしました。
それでも月額10万円を超える保険料が無駄であると感じる経営者もおります。必要であることを伝えても、なかなか首を縦に振りません。

そこで税理士やファイナンシャルプランナーは「のちのち保険料は返ってくるけど、半分は経費として計上でき節税になります」と、貯蓄性のある節税保険を勧めます。
勿論こうした保険も有効ですが、問題は保障額です。
前回の事例に挙げた3億円(負債2億円、従業員の半年分の給料1億円)の保証額を確保するために貯蓄性のある節税保険に加入すれば、保険料は掛け捨ての150万円よりも5倍程度高額になります。とてもそんな保険料は払えません。

そこで不誠実な税理士やファイナンシャルプランナーは、会社が支払える金額の範囲内で加入できる節税保険を勧めるのです。
その結果、会社は「保障額の足りない保険」に加入することになってしまいます。

掛け捨ての定期保険であれば保障できていた3億円。同じ年間150万円程の保険料で貯蓄性のある節税保険に入れば、保障額はせいぜい多くても7,000万円程度です。残りの1億3,000万円の負債も従業員の半年分の給料の1億円もカバーできません。

このような保証額の足りない節税保険に加入していた会社の経営者が死亡すると、会社の負債をその家族が背負うこととなり、最後は相続放棄手続をするという悲惨なケースをたどります。これにより経営者の相続人は、経営者名義であった自宅も失って住めなくなるという結果となるのです。

そもそも生命保険は、経営者の死亡リスクに備えるために加入するものです。万が一経営者が亡くなっても、ご家族や従業員が安心して暮らしていけるために加入するのが生命保険であり、それこそが生命保険の役割です。いわば「天国から大切な人の生活を守るためのもの」なのです。

にもかかわらず、経営者が死亡してもリスクを回避できない節税保険を勧める税理士やファイナンシャルプランナーがあとを絶ちません。また、保障額が足りない節税保険に加入してしまっていることにすら全く気が付いていない経営者も非常に多いのが実態です。

生命保険は死亡リスクを回避する目的の商品です。節税保険に加入することで、保障額が十分な掛け捨ての定期の生命保険に加入する機会を失い、従業員や経営者の家族が路頭に迷う結果を招くというのは、本末転倒という外はありません。

会社の負債額を念頭に置かずに、安易に保障額の足りない節税保険を会社経営者に勧めるのは不誠実というほかありません。節税という殺し文句にのせられて、保障額の足りない節税保険に加入して得をした気分になり、従業員や家族にリスクを負わせる経営者も本当に愚かだという外はありません。

経営者の方は、もう一度現在加入している生命保険の保障額を確認し、「少なくとも会社の負債額を全額カバーできているのかどうか」ぐらいは確かめてください。

私の経験上、生命保険には加入しているものの会社の負債を全額生命保険でカバーできない、すなわち保障額の足りない節税保険に入っている会社は90%程度あると思っています。

2.なぜ、節税保険を売りたいのか

保険という商品は、将来の死亡リスクなどを回避するための金融商品であり、元気な人ほど縁のない商品です。しかし、いつどこでどんなふうに死ぬかを人は選択できません。多額の銀行借り入れを抱える経営者は、会社や家族を守るために生命保険に加入しなければなりません。ただし、そのリスクを理解しようとしない経営者も多いので、生命保険は売りにくいものです。

保証額が大きければ掛け捨て保険料もバカになりませんし、ご自分の死について不安がないため、経営者はなかなか入ろうとしません。
ところが節税と言えば経営者は急に耳を傾けます。途端に保険は売りやすくなります。

しかも年間150万円の掛け捨て保険の保険料を渋っていた経営者も、節税のためとあれば、倍の300万円でも平気で出したりするのです。
そうです。節税保険は売りやすく、高額な契約になりやすい。そして年間保険料の約3割は代理店の報酬になります。

年間保険料が150万円の掛け捨ての定期保険よりも、年間保険料が300万円の節税保険を売る方が、実入りが良く儲かるのです。
だから税理士やファイナンシャルプランナーは、高額の節税保険を売りたがるのです。

次回は、破産するかもしれないのに節税保険を解約したがらない社長の話です。

PROFILE

白木智巳

白木智巳

ロータックス法律会計事務所 代表弁護士 昭和45年12月生まれ(いて座のA型)•大阪府豊中市出身 平成元年 • 大阪府立豊中高校卒業(豊陵会41期) 平成6年 • 同志社大学経済学部卒業 平成14年 • 弁護士登録(大阪弁護士会)(修習期55期) 平成19年 • 中国留学(上海復旦大学)・上海協力法律事務所で執務(現日本法顧問) 平成22年 • 白木法律事務所開設 • 桃山学院大学大学院 経営学研究科 講師(平成27年まで) • 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 国際化支援アドバイザー就任 • 大阪商工会議所 国際部 中国ビジネス支援室 外部相談員 • 京都企業支援ネットワーク 中国法分野相談担当 平成24年 • 近畿税理士会へ税理士登録 • 白木法律会計事務所に名称変更 平成28年 • ロータックス法律会計事務所へ名称変更

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