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地積規模の大きな宅地の評価、小規模宅地等の評価減

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背景

被相続人:父
相続人:母(父と同居)・長男(父と同居)・長女(別居)、次女(別居)
相続財産:1億円(土地6,000万円、金融資産1,000万円)

状況

父親の遺産総額が相続税の基礎控除額4,800万円(=3,000万円+600万円×法定相続人の数3人)を超えるため相続税がかかるということをご自身で調べて計算されて来社されたお客様です。
お客様がまとめた財産の明細の中にお客様が路線価×面積で計算した土地が2筆ありました。これらの土地は隣り合っている土地で、片方は父親と同居家族の居住用、他方は父親の事業用の土地でした。
弊社でさらに調査したところ、この2筆の土地の面積が合わせて1,000㎡を超えること、その他の要件を満たすことで、「地積規模の大きな宅地」として通常より評価額を下げることができることが分かりました。さらに、ご長男がこの土地を相続されるということで「小規模宅地等の評価減」の特例を使うことができ、お客様が当初計算された土地の評価額6,000万円は弊社の計算により3,500万円となりました。
以上の結果、金融資産1,000万円と土地評価3,500万円合わせて相続財産に評価額は4,500万円となり、相続税の基礎控除額4,800万円を下回るため相続税はゼロとなりました。

結果

相続財産の評価額が基礎控除額を下回る場合には、原則として相続税の申告書を提出する必要はありません。本件は、「地積規模の大きな宅地」の評価と「小規模宅地等の評価減の特例」を使って相続税がかからないこととなった事例ですが、「小規模宅地等の評価減の特例」を使うためには相続税の申告書を提出する必要があるため、相続税の申告書を提出しなければ相続税はゼロにならなかったものです。
土地の評価は「地積規模の大きな宅地」の評価の他にも、奥行距離や間口距離による補正、不整形地評価、がけ地評価、貸宅地評価など、評価額を下げることができる方法が色々ありますので、専門家に任せることでこれらの方法をもれなく利用することができます。

投稿者プロフィール

岡本 英樹
大学卒業後、地方銀行に入社。法人融資を中心に法人渉外、個人融資、ファイナンシャルプランナーなど銀行業務を幅広く経験。15年勤務の後SMCグループに入社。
法人会計税務の他、相続・事業承継の専門家としてクライアントの様々な問題解決にあたっている。