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宗教法人が非課税なら飲食店を開いたらどうなるのか?

2022年05月11日

  • 税務

文化庁によれば宗教法人とは「教義をひろめ,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することを主たる目的とする団体」で、営利を目的としない非営利団体です。この建前とその公益性から宗教法人は非課税となっているのですが、飲食店など営利事業を行ったらどうなるのでしょうか?
この記事では「高級車に乗っているお坊さんを見てモヤモヤする人」のために、宗教法人と税金の関係について解説していきます。

宗教法人は非課税という話の真実

たまに悪い意味を込めた噂で「坊主丸儲け」「税金を払っていない」といった話を聞くことがありますが、厳密にいうと「宗教活動には課税されない」と言うほうが分かりやすいでしょう。つまり宗教活動以外で儲けたら課税されるという事です。
しかしその境目が分かりづらい点や、宗教法人に対する課税で物議を醸した事例もあるので、より具体的に見ていきましょう。

宗教法人が非課税の理由

日本国憲法では「国民は納税の義務を負う」とされており、宗教法人が行う宗教活動が非課税ということがかなり特別なことは理解できるでしょう。
その理由について宗教法人は税法上「公益法人等」に分類され、収益事業等以外は原則非課税とされています。実はかなり古い話ですが、昭和25年まで公益法人は一切課税されていませんでした。そこで何が起こったかというと、狡賢い事業者が公益法人で収益事業をすることで課税逃れが横行したのです。
これを防ぐ目的で「公益法人でも課税対象となる34種類の事業」が決められ、その事業で発生した収益には課税されるようになったのです。これを聞いただけでもモヤモヤします。
さらに宗教法人は「世俗的側面」と「宗教的側面(聖)」を併せ持つ法人ですが、憲法が保障する政教分離原則のもと、「宗教的側面(聖)」に対する課税権の行使は抑制されなければならない・・・などという理由も存在します。

どこまでが非課税なのかの疑問

宗教活動に対して非課税という原則は分かるものの、その線引きとその理由が難解です。例えば正月に神社を参拝したとき、おみくじを引き朱印帳を買ったとします。この場合宗教法人ではおみくじは非課税収入で、朱印帳は課税収入となるのですが、その理由が謎です。
曰く、おみくじは原価がほとんど掛かっていないから代金は「喜捨金(宗教的寄付金)」に当たり、朱印帳は原画に対して相応の価格で販売しているから事業になるのです。なんとも分かりにくい話です。これだったら誤魔化し放題のような気がするのですが、どうなのでしょうか?

宗教法人に課税される税金

宗教法人の営利事業で出た所得には課税され、それには消費税なども(課税業者になれば)課税されます。ここからは、それらの具体例について見ていくことにします。

国税庁が指定する34の営利事業

国税庁は毎年「宗教法人の税務」を公表していて、そこには法人税が課税される34種類の営利事業が記載されています。それが以下の事業になります。

  • 物品販売業
  • 不動産販売業
  • 金銭貸付業
  • 物品貸付業
  • 不動産貸付業
  • 製造業
  • 通信業
  • 運送業
  • 倉庫業
  • 請負業
  • 印刷業
  • 出版業
  • 写真業
  • 席貸業
  • 旅館業
  • 料理店業その他の飲食店業
  • 周旋業
  • 代理業
  • 仲立業
  • 問屋業
  • 鉱業
  • 土石採取業
  • 浴場業
  • 理容業
  • 美容業
  • 興行業
  • 遊技所業
  • 遊覧所業
  • 医療保健業
  • 技芸教授業
  • 駐車場業
  • 信用保証業
  • 無体財産権の譲渡又は提供を行う事業
  • 労働者派遣業

しかしこれらに該当しても内容によっては非課税になり、例えば「不動産貸付業」でも墳墓地の貸付けは、収益事業に該当しません。また旅館業に該当するようなものであっても、教活動に関連して利用される簡易な共同宿泊施設で、その宿泊料の額がすべての利用者につ
き1泊1,000円(食事を提供するものについては、2食付きで1,500円)以下となっている場合は収益事業に該当しないなど、非常に面倒な規定になっています。
宗教法人では結婚式を執り行いますが、結婚式は宗教活動の延長とみなされ非課税ですが、挙式後の披露宴での会場代や料理の提供は営利事業となり課税対象となります。つまり提供物の内容や敷地内・街中にかかわらず、ラーメン屋や湯豆腐屋など飲食店を営めばそれらは全て課税対象となります。
尚、課税される場合であっても公益法人なので軽減税率が適用され、法人税は課税所得の19%(年800万円以下の金額については15%)の税率です。

課税事業者になれば消費税も課税

宗教法人であっても34種類の収益事業で消費税の課税取引があり、基準年度(2期前)の課税売上が1,000万円を超えていれば消費税が課税されます。
その場合、消費税の計算は一般の事業者と同じなので、例えば境内でレストランを経営していたら、店内飲食は10%の消費税、テイクアウトは8%の軽減税率など、違いはありません。

給料を支払えば源泉徴収義務者

宗教法人が代表者たる住職や従業員に給与を支給する場合、一般の事業所と同じように源泉所得税を給与から控除し、それを納付しなければなりません。
住職の給与についても特別扱いが見られ、普通法人であれば役員報酬は定期同額支給が原則ですが、住職の給与は「あらかじめ適正な金額を定め、毎月一定の日に支給することが望ましい」と、かなり優しい取り扱いになっています。

固定資産税の課税範囲

固定資産を所有していることで課税される固定資産税ですが、ここでも課税と非課税が混在します。宗教法人が専らその本来の用に供する(宗教法人法第3条に規定するもの)土地・建物は固定資産税が非課税となります。
一方で宗教法人が所有する住宅、宅地、農地、山林のように本来の用に供さない固定資産は課税対象となります。この線引きも微妙で、過去に裁判で争われたケースもあり、その際の宗教法人側の主張(言い訳)などを見ると「モノは言いよう」という言葉がぴったりです。

まとめ

宗教法人と税金の関係は一部では誤解があるようですが、しれは「坊主丸儲け」という言葉に代表される宗教法人への妬みの類なのかもしれません。
ただ過去の裁判例などを調べてみると「生臭坊主」を体現しているような事例もあるので、宗教法人に同情ばかりはしていられない現実も存在しているのです。

PROFILE

舩田 卓

1972年愛媛県生まれのA型。 愛媛県立松山商業高校卒業後、東京IT会計専門学校に進学。 在学中に税理士試験を全国最年少20歳で合格。 そのまま専門学校の専任講師となり、税理士試験の受験指導を担当。 22年間務めた講師の道から飛び出しSMC税理士法人に入社。

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