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本当に怖い!帳簿の付け方を知らない経営者の末路と対策方法

本当に怖い!帳簿の付け方を知らない経営者の末路と対策方法

投稿日:2018年03月26日

更新日:2023年08月24日

帳簿・決算書はこちら

この記事を読むのに必要な時間は約 1 分です。

会社の家計簿である帳簿ですが、この帳簿は経営者のお金を守るものでもあります。
今回は帳簿の基本である現金出納帳、預金出納帳、売掛管理表、買掛管理表、立替・仮払・仮受 明細書の付け方を簡単に解説します。

経営者のお金って、知らないうちに会社に消えてしまう。

みなさんの会社は、現金出納帳をつけていますか?
通帳を見て、「何のお金か分からない」なんてことはありませんか?
まだお金を頂いていない取引先、お金を支払っていない仕入先が直ぐに分かるようになっていますか?
手元のお金が直ぐに無くなってしまい、いつも通帳から現金を引き出していませんか?
会計事務所にもらう試算表では利益が出ているのに、税金を支払う資金が残っていないということはありませんか?

安心してください。
帳簿をつけていない経営者は、みなさん同じ悩みを抱えています。
忙しくて帳簿なんてつけてる暇がない!という社長さんにはこちらの記事が参考になります。
忙しい社長でも必ずできる!手間をかけない帳簿の付け方

しかし帳簿をきちんと整えることで、お金の悩みを解決し、劇的に経営を変えることができます。
お金の流れを把握し管理する経理業務無くして経営は成り立ちません。今回は、経理業務の第一歩、帳簿の重要性について解説します。

資本金、元入金をもとに事業を始め、材料を仕入れる、商品を販売するなどの取引を行うたびにお金の出入りが発生します。
また、従業員の所得税や住民税を預かって税務署や市に支払う、売上の一部を仕入と相殺し、残りを小切手で受け取る、車を下取りして新車を購入し、前金の残りを5年ローンで支払う・・・等、会社経営ではこうした複雑な取引もあり、帳簿をつけないとお金の動きが把握できなくなります。

そしてお金が何故なくなったのかが分からなくなってしまうのです。

会社の費用を社長が立て替えたまま放置したり、売上金を社長の財布に入れたままにしたりと、会社のお金・社長個人のお金を分けて管理せずにいると、あるはずのお金が無い、という事態になりがちです。
そうならないために何のお金なのか帳簿を付けてお金の出入りを把握する必要があります。

キャッシュは会社の命。数字を把握して経営管理を行うのは経営者の仕事です。

帳簿をつけなかった会社の行く末は、想像しているより怖い。

「あれ?この前10万円を引き出したけど、もうない。何に使ったんだろう?」
帳簿上で200万円もあるのに、実際の手元のお金は10万円、という会社もありました。
こうした使い方をしていると、1万円がなくなっていても分かりません。従業員が使い込んでいても気付くことすらできません。

たかが1万円、と思われましたか?

例えば粗利率30%だとすると、1万円を生み出すのに33,333円の売上が必要になります。
1万円が無くなるということは、この33,333円の売上が無くなるのと同じことなのです。

また、この売上に要した費用(広告、人件費等)もあることでしょう。
せっかく苦労して売り上げて手にしたお金が、気づかないうちに無くなってしまわないよう、しっかりと帳簿と手元の現金を管理する必要があります。
帳簿を付けると、いつ、誰に、何のために支払ったのかしっかり管理できるようになります。
給与の支払い台帳はこちらの記事が参考になります。

誰でもカンタン!エクセルで給与台帳の作り方

帳簿の付け方次第でお金が溜まる!帳簿の付け方レッスン!

では早速、帳簿の付け方を勉強していきましょう。

「現金出納帳」

現金出納帳は帳簿でお金を管理するための第一歩です。レシートで何を買ったかという明細は分かるのですが、「今、お金がいくらあるのか」がわかりません。
また手元にある現金が正しいのかどうかも分かりません。
では、カンタンに現金出納帳の書き方をご説明いたしましょう。

  1. 日付(いつ)
  2. 支払いや受取りの相手(誰に、誰から)
  3. 摘要(入出金の内容・何のために使ったか?)
  4. 金額(いくら)
  5. 残高

子供の頃つけた小遣い帳や家計簿と同じです。
会社でもこれが基本なのですね。
現金出納帳をつける自信がない個人事業主や経営者は、「立替経費精算書」等で、会社にきちんと請求するようにし、通帳で把握できるようにしましょう。

「預金出納帳」

摘要が印字されているものは把握できていても、預入、引出の内容が不明瞭なことがよくあります。
また、印字されていても、何のお金が分からないことも。
ということで、通帳の印字だけに頼ることなく、預金出納帳を整えます。忘れてしまいそうなときは、通帳に直接記入しておいてもいいです。
今はクラウド会計ソフトで、通帳を取り込んでくれるようになっていますが、それでも何に使ったのかは、きちんと記載しておくことです。

預金出納帳は、基本的には「通帳の通り」に記載していきます。
通帳には相手先が記帳してありますが、「何のお金」なのかは記帳してありません。これを預金出納帳に記載します。

また銀行カードで入金したり出金したりすることもありますよね。これも何のお金を入れたのか、何のために出金したのかが分かりません。きちんと記録を残しておく必要があります。

「クレジットカードの支払」や「総合振込」といった、まとまった支払いが1行になってしまうこともあります。こちらは別途明細が必要になりますので、ご注意ください。

「売掛管理表」

売上を作るチカラがあるのに、回収の管理が出来ていない会社もあります。
また「売上金を早く払ってください。」を言えない経営者もいます。正しい取引による売上です。きちんとお金を回収してこその経営です。

売掛管理表は、

  1. 前月の繰越金額
  2. 当月の入金金額
  3. 当月の売上
  4. 当月の売掛金残高

を必ず記載します。
当月の入金については、現金、預金、手形、小切手、相殺等、明細が分かるようにしておきましょう。

「買掛管理表」

同様に仕入先、外注先への支払いを滞らせないよう、支払いの管理も大切です。
支払いを滞らせると信用を失うばかりでなく、不思議とさらに支払いが溜まっていく傾向にあります。一方、きちんとお金を支払ってくれる経営者に対しての信頼は強く、取引先にも安心して紹介をすることができます。支払いを遅らせる、というのは、その場限りの身勝手な考え方です。
買掛管理表も売掛管理表と同様、前月の繰越金額、当月の支払金額、当月の仕入金額、当月の買掛金残高を記載します。
当月の支払については、現金、預金、手形、小切手、相殺等、明細が分かるようにしておきましょう。

「立替・仮払・仮受 明細書」

立替、仮払が多いと、お金の流れが不明瞭になりがちです。
立て替えたものは、きちんと請求・精算しましょう。
取引先や社員のために立て替えることもあるでしょう。売掛金同様、会社が請求しなくてはいけない大切なお金です。きちんと請求・清算しない、という場合の例があるとわかりやすいですね。
また立て替えてもらったものは、明細とともに迅速に支払いましょう。社長や従業員が立て替えたものを支払うことで、清算時に経費等に計上することができます。
支払わないでおくと「未払金」が溜まっていくことになります。仮払いで支払ったものも、書面で精算しましょう。
仮払いのお金を清算しない会社は、不明瞭な「仮払金」が溜まっていってしまいます。
不明瞭な仮払金は数年後には経費として認められず、役員貸付金となる恐れがあります。

仮受で受け取ったものは、事後処理を速やかに行いましょう。

仮受金は「預かったお金」というだけでなく、「売上の一部を受けたお金」という場合もあります。きちんとした処理をしないと、売上計上もれとみなされることもあるので注意が必要です。

忙しい社長でも必ずできる!手間をかけない帳簿の付け方

帳簿をつけることによる最大のメリット

帳簿のつけ方を説明してきましたが、これは会計事務所や税務署のためにするのではありません。もちろん会社のためです。商品開発をして、営業をして、売上を作るのと同じくらい大切なのです。

「売上を作る自信はある。だけどお金がなくなるんだよね・・・」
こういう経営者は多いのではないでしょうか。もしご自分で記帳できないのであれば、直ぐにでも経理を雇用するか、経理を委託するべきです。
ここで帳簿をつけることのメリットをまとめてみました。

①正しい取引を把握できる。

会社の取引には、必ずお金が伴います。そのお金の動きを記帳するのが帳簿です。
したがって帳簿をつけていない会社は、すべての取引を把握することはできません。
請求書や領収書やレシートだけが取引ではありません。

会社のお金の動きにはすべて「意味がある」のです。

②正しい損益を把握できる。

上記①につながりますが、帳簿をつけていないと取引がもれてしまいます。
利益が出ているのにキャッシュがなくなってしまう理由の一つに、記載されていない支払いがあることも考えられます。
売上から仕入れを差し引いた利益率が正しくない原因すら、分からなくなってしまいます。また、入出金の取引を記載していないことで、取引先に迷惑をかけてしまうことにもなりかねません。

正しい損益が分かることは、帳簿をつける大切な役割です。

③正しい資産(現預金、売掛金、立替金、固定資産など)を把握できる。

言うまでもなく、正しい現預金の残高が分かります。
また集金していない売掛金、立替えたままになっている立替金や仮払金、会社の損益に影響を及ぼす固定資産など、帳簿をつけることによって正しい資産の残高や資産の価額が分かります。

④正しい負債(買掛金、未払金、預り金など)を把握できる。

資産と同様に負債の残高等も分かります。特に支払っていない買掛金、未払金は、取引先への信用を失いかねませんので、しっかり把握することが重要です。
これも帳簿をつけていないと正しい残高は分からなくなってしまいます。また、預かっているお金も支払ったり戻したりする必要があるものです。

帳簿の記載により、正しい残高をつかみましょう。

⑤正しい経営判断をする材料になる。

経営者は、帳簿により整った試算表や決算書の数字を元に経営判断をします。
当座比率が悪ければ当座資産を増やすか流動資産を減らす行動を、売上総利益率が悪ければ利益率改善の対策を、労働分配率や労働生産性が悪ければその原因追及をなど、会社の将来につながる大切な行動を決めなければいけません。

これも正しい数字があるからです。
帳簿をつける最大のメリットは、なんといっても会社の未来を作るためです。

帳簿をつけていないと、税務調査に耐えられない!

皆さんの会社は、もう税務調査を受けられましたか。
税務調査で何をするのかというと、申告してある数字が正しいかどうかを調査するのです。
正しいかどうかを調べるために先ずチェックするのが「総勘定元帳」、総勘定元帳が正しいかどうかを確認するのが、請求書、領収書、見積書、納品書、棚卸表などです。

もうお分かりですね。帳簿が整っていないと、税務調査に耐えられません。

税務調査では先ず売上が正しいか、或いは売上が漏れていないかを徹底的に調べられます。
漏れやすいのが現金による入金です。これは納品書で納めているのに入金処理がされていないとか、現金で受け取った領収書の入金処理がされていないとかというケースがよくあります。
すべて帳簿に基づいているのがお分かりでしょうか。

次に売上に対する仕入が正しいかどうかをチェックします。
ポイントは「売上に対するもの」かどうかです。仕入れていても売上げていなければ「仕入」ではなく「在庫」とされます。
特に期末に仕入れたものは要注意。

調査官は期末に仕入れた商品が売上となっているか、在庫となっているかを調べます。
この時に使用するのも「棚卸表」や「仕入帳」「売上帳」、或いは商品仕入の「請求書」、商品売上の「納品書」などの帳簿です。
その他、架空経費がないか架空人件費が計上されていないか等を、保管してある領収書や賃金台帳を使ってチェックしていきます。

きちんと整えられて保存してある帳簿は、私たちの取引の整合性を証明してくれるのです。

それではこうした帳簿や領収書等の書類を保存していなかったらどうなるのでしょう。

まず繰越欠損金を9年間繰り越す場合、9年目に帳簿書類を保存していなければ欠損金を繰り越せません。
また帳簿書類の保存は青色申告の要件の1つとなっているため、青色申告が取り消されます。取り消されれば白色申告になりますので、青色申告の各種特典が受けられなくなります。

消費税(原則課税)では、もっと恐ろしいことになります。
消費税は売上の消費税から支払の消費税を差し引いた金額を税務署に納付します。支払の消費税の証拠(帳簿)がなければ、差し引く金額を否認される恐れがあります。

例えば
(通常)課税売上高消費税額 100万円 – 仕入税額控除 60万円 = 消費税額 40万円
(否認)課税売上高消費税額 100万円 – 仕入税額控除 0円 = 消費税額 100万円

支払っているにも関わらず、証拠の帳簿がないために仕入税額60万円が認めてもらえないことで、大きな損害となります。
帳簿をきちんと整える、書類を一定期間保存する。
こうした基本的な経理処理により、会社を守ることができ、不要なキャッシュを使わなくて済むのです。

いかがでしたか。
どんなに大きな会社もスタートは現金出納帳でした。
帳簿をきちんとつけることで、大切な会社のお金を守り会社をさらに発展させることができます。

経理業務は企業活動の要です。

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よくあるご質問

帳簿の保存期間は何年ですか?

法人税法等の規定により作成された帳簿については7年間の保存義務が課せられます。(会社法の規定上は10年間の保存義務あり)

個人事業主と法人で帳簿の付け方は変わりますか?

基本的には法人と帳簿の付け方は同じで、保管年数も7年と法人と同じになっています。

帳簿は単式簿記で作成しても問題ありませんか?

単式簿記で作成しても違法ではありませんが、単式簿記では青色申告控除が受けられません。また単式簿記では貸借対照表が作成できないので融資で不利になることがあります。

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このコラムの著者 : 菱刈 満里子

大学卒業後、大手証券会社、文部科学省研究室秘書等を経験後SMC税理士法人に入社。 会計・税務業務に13年間携わった後、経営計画を中心とした未来経営に軸足を移す。 のべ150社以上の経営計画を作成、経営支援を行っている。

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