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帳簿の付け方とは?単式・複式簿記の違いや記帳手順、失敗例を解説

投稿日:2018年03月26日

更新日:2026年07月27日

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AI(要約:ChatGPT,Gemini・動画生成:Heygen・図解:genspark)を利用して本コラムを動画で簡単解説しました!よろしければご覧ください!

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帳簿は、事業で発生した売上や仕入れ、経費などの取引を記録し、会社の財政状態や経営成績を明らかにするための書類です。

正しく帳簿を付けることで、現在の利益や財産の状況を把握できるだけでなく、適切な経営判断や正確な税務申告にも役立ちます。

また、法人だけでなく、事業所得や不動産所得などがある個人事業主にも、記帳や帳簿書類の保存が求められます。そのため、起業したばかりの方や取引量の少ない事業者であっても、日々の取引を適切に記録しなければなりません。

この記事では、帳簿の基本的な付け方、単式簿記と複式簿記の違い、主要簿・補助簿などの帳簿の種類について、初心者にも分かりやすく解説します。

正しく記帳するためのポイントや、よくある失敗例、帳簿の保存期間についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

帳簿とは?

帳簿とは、会社や個人事業主が行った取引を継続的かつ体系的に記録する書類のことです。

売上や仕入れ、経費の支払い、借入れ、設備の購入など、事業活動では日々さまざまな取引が発生します。これらの取引を帳簿に記録することで、会社がどれだけ利益を上げているか、どれだけの財産や負債があるかを数字で確認できます。

帳簿の記帳や保存については、会社法や各種税法などに定めがあります。ただし、必要となる帳簿や記載内容、保存期間は、法人・個人事業主の違いや申告方法、取引内容などによって異なります。

帳簿には決められた一つの様式があるわけではありませんが、一般的には、以下のような情報を取引ごとに記録します。

  • 取引が発生した日付
  • 取引先の名称
  • 取引の内容
  • 使用した勘定科目
  • 取引金額
  • 支払方法や入金方法

数字は漢数字ではなくアラビア数字で記入し、金額には3桁ごとにカンマを入れるなど、後から確認しやすい形で記録しましょう。

経費と収入を記録する帳簿の記載例

帳簿を付ける意味

帳簿を付ける主な目的は、以下の3点です。

  1. 経営成績や財政状態を数字で把握するため
  2. 将来の経営判断や資金計画に役立てるため
  3. 正確な税務申告を行うため

帳簿に売上や仕入れ、経費などを正しく記録することで、一定期間にどれだけの利益が出たのかを把握できます。

過去と現在の業績を比較したり、商品・サービスごとの収益性を分析したりできるため、今後の事業方針を決める際にも役立ちます。

また、帳簿をもとに作成する貸借対照表や損益計算書は、銀行から融資を受ける場合や、投資家から出資を受ける場合にも利用されます。

会社の財政状態や経営成績を数字で説明できれば、金融機関や取引先などからの信用を得やすくなるでしょう。

さらに、法人税や所得税、消費税などを正しく計算するためにも帳簿が必要です。

帳簿に計上漏れや金額の誤りがあると、税額を正しく計算できません。申告内容の誤りが税務調査などで判明した場合には、修正申告が必要になったり、過少申告加算税や延滞税などが課されたりする可能性があります。

そのため、帳簿はただ作成するだけでなく、日々の取引を漏れなく正確に記録することが重要です。

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帳簿の基本的な付け方・手順

帳簿を正しく付けるためには、取引が発生してから記帳・確認・保存を行うまでの流れを決めておくことが大切です。

ここでは、基本的な帳簿の付け方を6つの手順に分けて解説します。

1.領収書や請求書などの取引資料を集める

まずは、取引の内容を確認できる資料を集めます。

帳簿の作成に必要となる主な資料は、以下のとおりです。

  • 領収書やレシート
  • 請求書
  • 見積書
  • 納品書
  • 契約書
  • 預金通帳や銀行の入出金明細
  • クレジットカードの利用明細
  • 電子メールで受け取った請求書や領収書

取引資料が不足していると、金額や取引内容を正確に判断できません。領収書や請求書を受け取ったら、紛失しないようにすぐ保管しましょう。

2.日付・金額・取引先・取引内容を確認する

続いて、集めた資料から以下の情報を確認します。

  • いつ取引が発生したか
  • 誰と取引したか
  • 何を購入または販売したか
  • いくら支払った、または受け取ったか
  • 現金・預金・クレジットカードなど、どの方法で決済したか

帳簿の摘要欄には、「商品代」「交通費」などの簡単な表現だけでなく、取引先名や具体的な用途も記録しておくと、後から取引内容を確認しやすくなります。

3.取引に合った勘定科目を選ぶ

複式簿記で記帳する場合は、その取引内容に合った勘定科目を選びます。

たとえば、商品を販売した場合は「売上」、商品を仕入れた場合は「仕入」、事務用品を購入した場合は「消耗品費」などを使用します。

同じ内容の取引には、できる限り同じ勘定科目を使用することが重要です。

同じ支出を月によって「消耗品費」と「雑費」に分けてしまうと、正確な比較や分析が難しくなります。社内で勘定科目の使用ルールを決め、継続して同じ基準で処理しましょう。

4.単式簿記または複式簿記で記帳する

確認した取引内容を、採用している記帳方法に従って帳簿へ記録します。

帳簿の記録方法には、主に「単式簿記」と「複式簿記」があります。

単式簿記では、収入や支出など取引の一つの側面を記録します。一方、複式簿記では、一つの取引を借方と貸方の二つの側面から記録します。

両者の違いについては、次の章で詳しく解説します。

5.現金や預金の残高と帳簿を照合する

記帳後は、帳簿上の残高と実際の現金・預金残高が一致しているか確認します。

現金出納帳の残高と金庫内の現金が一致しない場合、以下のような原因が考えられます。

  • 取引の記帳漏れ
  • 金額の入力ミス
  • 同じ取引の二重計上
  • 個人用の支出と事業用の支出の混同
  • 現金の受け渡しに関する記録漏れ

誤りを早期に発見するためにも、現金は毎日または定期的に確認し、預金は銀行明細と帳簿を月ごとに照合しましょう。

6.帳簿と証憑書類を整理して保存する

記帳が完了したら、帳簿と領収書、請求書などの証憑書類を関連付けて保存します。

紙の書類は、月別や日付順、取引先別など、後から探しやすいルールで整理します。

電子メールやWebサイトなどを通じて電子データで受け取った請求書・領収書は、電子帳簿保存法の要件に従い、原則として電子データのまま保存する必要があります。

紙で受け取った書類と電子データで受け取った書類では、保存方法が異なるため注意しましょう。

単式簿記と複式簿記の違い

帳簿の主な記録方法には、「単式簿記」と「複式簿記」があります。

単式簿記と複式簿記は帳簿の種類ではなく、取引をどのような方法で記録するかという「記帳方法」の違いです。

それぞれの特徴を理解し、自社の事業規模や申告方法に合った方法を選びましょう。

単式簿記とは

単式簿記とは、一つの取引を収入や支出など、主に一つの側面から記録する方法です。

家計簿や現金出納帳に近い記帳方法で、たとえば商品を現金で5万円販売した場合は、次のように記録します。

4月2日
商品売上 収入50,000円

記帳方法が比較的簡単であるため、取引量が少ない個人事業主や、白色申告を行う方などに利用されることがあります。

ただし、単式簿記では、現金の増減は把握しやすい一方、売掛金や買掛金、借入金、固定資産などを含めた財政状態を詳細に把握することは難しくなります。

なお、白色申告を行う場合でも、複式簿記で記帳することは可能です。


単式簿記による帳簿の付け方と収支計算の例

複式簿記とは

複式簿記とは、一つの取引を「借方(左側)」と「貸方(右側)」の二つの側面から記録する方法です。

たとえば、商品を現金で5万円販売した場合は、以下のように記録します。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金 50,000円 売上 50,000円

この仕訳では、「商品を販売して現金が5万円増えた」という結果と、「売上が5万円発生した」という取引内容を同時に記録しています。

複式簿記では、取引を二つの側面から記録するため、現金の増減だけでなく、資産・負債・純資産・収益・費用の状態を把握できます。

売掛金や買掛金、借入金、設備投資などの複雑な取引にも対応できるため、法人をはじめ、多くの事業者が複式簿記を採用しています。

また、個人事業主が正規の簿記の原則、一般的には複式簿記によって記帳し、貸借対照表や損益計算書を添付して期限内に申告するなど、所定の要件を満たした場合は、最高55万円の青色申告特別控除を受けられます。

さらに、e-Taxによる申告または一定の電子帳簿保存の要件を満たした場合は、最高65万円の青色申告特別控除を受けられます。


複式簿記による借方と貸方の記帳例

単式簿記と複式簿記の比較

単式簿記と複式簿記の主な違いは、以下のとおりです。

比較項目 単式簿記 複式簿記
記録方法 取引を主に一つの側面から記録する 取引を借方と貸方の二つの側面から記録する
難易度 比較的簡単 簿記や仕訳の知識が必要
把握できる内容 主に収入・支出や現金の増減 利益に加え、資産・負債などの財政状態
主な利用者 取引量が少ない個人事業主など 法人や青色申告を行う個人事業主など
決算書の作成 貸借対照表の作成が難しい 損益計算書と貸借対照表を作成できる

単式簿記は記帳しやすいというメリットがありますが、事業の財政状態を詳しく把握したい場合には、複式簿記が適しています。

売掛管理表と買掛金管理表の付け方

帳簿の種類

複式簿記で使用する会計帳簿は、大きく「主要簿」と「補助簿」に分けられます。

主要簿は、すべての取引を記録・分類する中心的な帳簿です。一方、補助簿は、特定の取引や勘定科目の内容を詳しく管理するために作成します。

つまり、単式簿記・複式簿記は「記録方法」の違いであり、主要簿・補助簿は「帳簿の役割や種類」の違いです。

主要簿の概要

主要簿とは、複式簿記においてすべての取引を記録し、勘定科目ごとに分類する中心的な帳簿です。

一般的に、主要簿には以下の2種類があります。

  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳

仕訳帳とは

仕訳帳とは、事業で発生したすべての取引を、発生した日付順に記録する帳簿です。

複式簿記では、取引を借方と貸方に分け、それぞれに勘定科目と金額を記載します。この記録作業を「仕訳」といいます。

たとえば、事務用品を現金で3,000円購入した場合は、借方に「消耗品費3,000円」、貸方に「現金3,000円」と記録します。

日々の取引を仕訳し、日付順にまとめたものが仕訳帳です。

借方と貸方を日付順に記録した仕訳帳の例

帳簿付けは、一般的に仕訳帳への記録から始まります。仕訳帳に記録した内容は、次に解説する総勘定元帳へ転記します。

総勘定元帳とは

総勘定元帳とは、仕訳帳に記録した取引を、現金・売上・仕入などの勘定科目ごとに分類して記録する帳簿です。

勘定科目ごとに取引を分類した総勘定元帳の例

仕訳帳ではすべての取引を日付順に確認できますが、特定の勘定科目だけを確認するには時間がかかります。

総勘定元帳へ転記することで、勘定科目ごとの増減や残高を確認できるようになります。

たとえば、「現金」の元帳では期末時点の現金残高を確認でき、「売上」の元帳では一定期間に計上した売上額を確認できます。

会計ソフトを利用している場合は、仕訳を入力すると、仕訳帳や総勘定元帳へ自動的に反映されることが一般的です。

会計ソフトによっては、試算表や月次推移表なども自動で作成できます。これらは主要簿ではありませんが、帳簿の誤りを確認したり、経営状況を分析したりする際に役立ちます。

補助簿の概要

補助簿とは、主要簿だけでは把握しにくい取引の詳細を記録するための帳簿です。

すべての補助簿を一律に作成するのではなく、業種や取引内容、管理したい項目に応じて必要なものを作成します。

主な補助簿には、以下のようなものがあります。

  • 現金出納帳
  • 預金出納帳
  • 売上帳
  • 仕入帳
  • 売掛金元帳
  • 買掛金元帳
  • 経費帳
  • 固定資産台帳
  • 手形記入帳

現金出納帳とは

現金出納帳とは、事業で発生した現金の受取りや支払いを記録するための補助簿です。

小口現金や金庫内の現金を使って取引した場合に、日付・摘要・入金額・出金額・残高などを記録します。

現金は、預金のように銀行が発行する入出金記録が残らないため、記帳漏れや不正な持ち出しが発生しやすい資産です。

帳簿上の残高と実際の現金を定期的に照合することで、記帳ミスや現金の不足を早期に発見できます。

売上帳とは

売上帳とは、商品やサービスの売上に関する取引を詳しく記録するための補助簿です。

売上日や売上金額などを記録した売上帳の例

売上帳には、売上日や売上金額だけでなく、得意先名、商品・サービスの内容、数量、単価、入金予定日なども記録できます。

売上実績の集計や得意先別の分析、売掛金の回収状況の確認などに活用できます。

特に、小売業や製造業など、取り扱う商品の種類が多い業種では、商品ごとの売上や利益を把握するためにも役立ちます。

仕入帳とは

仕入帳とは、販売する商品や製品の材料などの仕入れに関する取引を詳しく記録するための補助簿です。

仕入日や仕入金額などを記録した仕入帳の例

仕入帳には、仕入日や仕入金額だけでなく、仕入先名、商品名、数量、単価、支払予定日などを記録します。

仕入内容を詳しく管理することで、売上原価を計算したり、仕入価格の変動を確認したりできます。

販売価格を決定する際や、利益率を改善するための経営戦略を立てる際にも役立つでしょう。

その他の補助簿

そのほかにも、業種や取引内容に応じて、経費帳、固定資産台帳、売掛金元帳、買掛金元帳、手形記入帳などを作成します。

固定資産台帳は、建物や車両、機械、パソコンなどの固定資産について、取得日・取得価額・耐用年数・減価償却費などを管理する帳簿です。

決算申告や償却資産税の申告にも使用するため、固定資産を保有する事業者にとって重要な帳簿です。

また、売掛金や買掛金などの掛取引が多い場合は、取引先ごとの残高を管理する補助元帳を作成すると、入金漏れや支払漏れの防止につながります。

取引量が多い項目や、主要簿だけでは詳細を把握しにくい項目については、補助簿を作成して主要簿と関連付けて管理しましょう。

主要簿と補助簿を関連付けて管理するイメージ

正しい帳簿の付け方のポイント

事業では、売上や仕入れ、経費の支払いなど、多くの取引が日々発生します。

一定のルールを決めずに記帳すると、計上漏れや二重計上、勘定科目の不統一などが起こりやすくなります。

正確で確認しやすい帳簿を作成するために、以下のポイントを押さえておきましょう。

取引が発生したら早めに記帳する

領収書や請求書を受け取ったら、できる限り早めに記帳しましょう。

時間が経過すると、何のために支払った費用なのか、誰から受け取った入金なのかが分からなくなることがあります。

取引量に応じて、毎日または週に1回など記帳する日を決め、遅くとも月次の集計を行うまでには記帳を完了させることが大切です。

漏れなく正確に記帳する

帳簿は、すべての取引を漏れなく正確に記帳することが重要です。

領収書や請求書、銀行明細などを確認し、日付・金額・取引先・取引内容を正しく記録しましょう。

特に、桁数の多い金額や同じ数字が並ぶ金額は入力を誤りやすいため、記帳後に証憑書類と照合する必要があります。

金額や勘定科目を誤ると、帳簿の内容が不正確になるだけでなく、税額や決算書にも影響します。

可能であれば、入力担当者とは別の人が確認する、または月次で試算表を確認するなど、複数の方法で正確性を確保しましょう。

勘定科目の使用ルールを統一する

同じ内容の取引には、原則として同じ勘定科目を使用します。

たとえば、少額の事務用品を購入した際、ある月は「消耗品費」、別の月は「雑費」として処理すると、月ごとの経費を正しく比較できません。

どのような取引にどの勘定科目を使うかを社内で決め、継続して同じ基準で記帳しましょう。

摘要欄の書き方についても、「取引先名・購入内容」の順に記載するなど、一定のルールを決めておくと確認しやすくなります。

事業用と個人用のお金を分ける

個人事業主の場合は、事業用のお金と生活費などの個人用のお金が混在しやすいため注意が必要です。

事業専用の銀行口座やクレジットカードを用意すると、事業に関係する取引を把握しやすくなり、記帳作業も効率化できます。

事業用口座から個人的な支出を行った場合や、個人のお金で事業経費を支払った場合は、「事業主貸」や「事業主借」などを使用して正しく処理しましょう。

領収書やレシートを整理する

会計帳簿の根拠となる領収書やレシートなどの証憑書類は、後から確認しやすいように整理して保存しましょう。

紙の書類は、月別・日付順・取引先別など、自社に合った方法でファイリングします。

仕訳番号や伝票番号を領収書に記載して、帳簿と関連付けておくと、税務調査や社内確認の際にも取引を探しやすくなります。

電子メールやWebサイトから受け取った請求書・領収書などの電子取引データは、印刷した紙だけでなく、電子帳簿保存法の要件に沿って電子データのまま保存する必要があります。

現金・預金残高を定期的に確認する

帳簿上の現金・預金残高と、実際の残高が一致しているか定期的に確認します。

現金は毎日または一定期間ごとに金庫内の残高と照合し、預金は銀行が発行する入出金明細と帳簿を月ごとに照合するとよいでしょう。

残高が一致しない場合は、記帳漏れや二重計上、金額の入力ミスなどがないか確認します。

差額を原因不明のまま処理せず、可能な限り原因を特定することが大切です。

会計ソフトを利用する

現在は、手書きよりも会計ソフトを利用して帳簿を作成する方法が一般的です。

会計ソフトに仕訳を入力すると、仕訳帳や総勘定元帳、試算表などに自動で反映されるため、転記作業を減らせます。

銀行口座やクレジットカードと連携し、取引明細を自動取得できる会計ソフトもあります。

ただし、自動で取り込まれた勘定科目や金額が必ず正しいとは限りません。重複して取り込まれていないか、私的な支出が混在していないかなど、人の目で確認することも必要です。

会計ソフトを利用して帳簿を作成するイメージ

在庫を管理する帳簿「棚卸表」「在庫管理表」の付け方

帳簿の付け方に関するよくある失敗例

複式簿記や会計処理に慣れていない場合は、記帳漏れや勘定科目の選択ミスなどが起こりやすくなります。

ここでは、帳簿を付ける際によくある失敗例と対策を解説します。

記帳を後回しにする

取引量が少ない場合や本業が忙しい場合は、帳簿付けを後回しにしてしまうことがあります。

しかし、記帳までの期間が空くと取引の記憶が曖昧になり、何のための支払いだったのか分からなくなる可能性があります。

領収書の紛失や売上の計上漏れにもつながるため、毎日または週に1回など、定期的に記帳する習慣を付けましょう。

借方と貸方を逆に記帳する

複式簿記に慣れていない場合は、借方と貸方を逆に記帳することがあります。

借方・貸方の位置だけを暗記するのではなく、「どの資産や負債が増減したか」「どの収益や費用が発生したか」を考えて仕訳することが重要です。

記帳後は試算表や総勘定元帳を確認し、通常とは異なる残高になっていないかチェックしましょう。

売上の計上時期を誤る

売上は、原則として代金が入金された日ではなく、商品を引き渡した日やサービスを提供した日など、取引が実現した時点で計上します。

入金日だけを基準に記帳すると、売上を計上する年度がずれたり、売掛金が正しく記録されなかったりする可能性があります。

契約内容や取引条件を確認し、継続して同じ基準で売上を計上しましょう。

同じ取引を二重に計上する

銀行明細と領収書の両方から同じ支払いを入力した場合などに、経費を二重計上してしまうことがあります。

会計ソフトへ銀行明細やクレジットカード明細を自動連携している場合は、手入力した仕訳と重複していないか確認しましょう。

勘定科目を毎回変えてしまう

同じ内容の支出を異なる勘定科目で処理すると、経費の比較や分析が難しくなります。

一度使用した勘定科目を過去の仕訳から確認し、同じ性質の取引には同じ勘定科目を使用しましょう。

判断が難しい取引については、処理方法をメモに残したり、税理士へ相談したりすることも有効です。

個人用と事業用の支出を混同する

個人事業主が個人用と事業用で同じ銀行口座やクレジットカードを利用していると、事業に関係のない支出を経費として計上してしまうことがあります。

事業専用の口座やカードを用意し、取引を分けて管理しましょう。

自宅兼事務所の家賃や水道光熱費など、事業と生活の両方に関係する支出は、合理的な基準により事業分を按分する必要があります。

領収書や請求書を紛失する

帳簿に正しい金額を記録していても、その根拠となる領収書や請求書を紛失すると、取引内容を証明できない可能性があります。

書類を受け取ったらすぐに保管し、紙と電子データの保存ルールを社内で統一しましょう。

現金残高を確認しない

現金出納帳を作成していても、実際の現金残高と照合しなければ、記帳漏れや現金の不足に気付けません。

現金を扱う事業者は、帳簿残高と金庫内の現金を定期的に数え、差額がないことを確認しましょう。

帳簿の保存期間

帳簿や決算書、領収書、請求書などには、一定期間の保存義務があります。

ただし、保存期間は、法人・個人事業主の違い、青色申告・白色申告の違い、書類の種類などによって異なります。

個人事業主の主な保存期間

青色申告者の場合、仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳などの帳簿は、原則として7年間保存します。

損益計算書、貸借対照表、棚卸表などの決算関係書類も、原則として7年間の保存が必要です。

請求書、見積書、契約書、納品書など、取引に関して作成または受領した一部の書類は、原則として5年間保存します。

白色申告者の場合も、収入金額や必要経費を記載した法定帳簿は7年間、その他の帳簿や書類は原則として5年間の保存が必要です。

ただし、消費税の仕入税額控除に関係する請求書や、インボイス制度に関係する適格請求書の写しなどは、別途7年間の保存が必要となる場合があります。

法人の主な保存期間

法人の帳簿書類は、税法上、原則として事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存します。

また、会社法では、会計帳簿および事業に関する重要な資料について、帳簿を閉鎖した時から10年間保存することが定められています。

適用される法律によって保存期間が異なるため、法人では原則として10年間保存しておくと管理しやすいでしょう。

なお、欠損金の繰越控除を利用する場合など、状況によっては税法上もより長い保存期間が必要になることがあります。

電子取引データは電子のまま保存する

電子メールに添付されたPDFの請求書や、ECサイトからダウンロードした領収書など、電子データで受け取った取引情報は、電子帳簿保存法の要件に従って電子データのまま保存します。

単に印刷して紙で保管するだけでは、電子取引データの保存要件を満たさないため注意が必要です。

日付・金額・取引先などで検索できる状態にするなど、自社に適用される保存要件を確認したうえで管理しましょう。

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帳簿の付け方に関するよくある質問

ここでは、帳簿の付け方に関するよくある質問に回答します。

帳簿は手書きでも問題ありませんか?

帳簿は手書きでも作成できます。

ただし、手書きの場合は、集計ミスや転記ミスが発生しやすく、仕訳帳から総勘定元帳への転記にも時間がかかります。

取引量が多い場合や複式簿記で記帳する場合は、会計ソフトを利用した方が効率的です。

個人事業主は必ず複式簿記で帳簿を付ける必要がありますか?

すべての個人事業主に、複式簿記での記帳が義務付けられているわけではありません。

白色申告や青色申告特別控除10万円を選択する場合は、簡易な方法で記帳できる場合があります。

一方、最高55万円または65万円の青色申告特別控除を受けるには、正規の簿記の原則による記帳や、貸借対照表・損益計算書の添付、期限内申告などの要件を満たす必要があります。

単式簿記と複式簿記はどちらを選べばよいですか?

取引量が少なく、主に収入と支出を把握できればよい場合は、単式簿記でも管理できることがあります。

一方、事業の利益だけでなく、現金・預金・売掛金・借入金などの財政状態まで把握したい場合は、複式簿記が適しています。

法人や、今後事業を拡大する予定がある個人事業主は、複式簿記での記帳を検討するとよいでしょう。

会計ソフトを使えば自動で正しい帳簿を作成できますか?

会計ソフトを利用すれば、仕訳帳や総勘定元帳への転記、残高の集計などを自動化できます。

ただし、取り込まれた取引の勘定科目や税区分が正しいとは限りません。

事業用ではない支出が含まれていないか、同じ取引を二重に登録していないかなど、最終的には人が確認する必要があります。

領収書がない支出は経費にできませんか?

領収書がない場合でも、取引の事実や事業との関係を確認できる資料があれば、経費として認められる可能性があります。

たとえば、銀行の振込明細、クレジットカードの利用明細、請求書、注文履歴などを保存し、取引日・金額・取引先・用途を記録しておきます。

ただし、支出の内容を説明できない場合は、経費として認められない可能性があるため注意しましょう。

帳簿付けを税理士に依頼することはできますか?

帳簿付けや決算申告は、税理士や記帳代行サービスへ依頼できます。

取引量が多い場合や、勘定科目・消費税区分の判断が難しい場合は、専門家へ依頼することで、経理担当者や経営者の負担を軽減できます。

ただし、外部へ依頼する場合でも、領収書や請求書を整理し、取引内容を説明できる状態にしておくことが大切です。

まとめ

帳簿は、事業で発生した取引を記録し、会社の財政状態や経営成績を明らかにするための重要な書類です。

正しく帳簿を付けることで、利益や資金の状況を把握できるだけでなく、将来の経営判断や資金調達、正確な税務申告にも役立ちます。

帳簿を作成する際は、領収書や請求書などの資料を集め、取引内容を確認したうえで、適切な勘定科目を使用して記帳します。

記帳後は現金・預金残高と照合し、帳簿と証憑書類を関連付けて保存することも重要です。

また、単式簿記と複式簿記は取引の記録方法を表し、主要簿と補助簿は帳簿の役割や種類を表します。

それぞれの違いを理解し、自社の事業規模や取引内容、申告方法に合った帳簿を作成しましょう。

帳簿付けを後回しにすると、計上漏れや二重計上、証憑書類の紛失などが発生しやすくなります。定期的に記帳する習慣を付け、会計ソフトも活用しながら、正確で確認しやすい帳簿を作成しましょう。

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よくあるご質問

帳簿の保存期間は何年ですか?

法人税法等の規定により作成された帳簿については7年間の保存義務が課せられます。(会社法の規定上は10年間の保存義務あり)

個人事業主と法人で帳簿の付け方は変わりますか?

基本的には法人と帳簿の付け方は同じで、保管年数も7年と法人と同じになっています。

帳簿は単式簿記で作成しても問題ありませんか?

単式簿記で作成しても違法ではありませんが、単式簿記では青色申告控除が受けられません。また単式簿記では貸借対照表が作成できないので融資で不利になることがあります。

仕訳がわからないときの対処法は?

仕訳がわからないときは、まず税理士に相談しましょう。 税理士と顧問契約を結んでいない場合は、管轄の税務署や商工会議所などに問い合わせるのもひとつの手です。ただし、この場合は、一般的な仕訳に関する質問に限られます。 また、インターネットで「品目名+勘定科目」と検索すると仕訳例がたくさん出てきますが、汎用的な科目名であることが一般的です。支払手数料や業務委託費、外注費など、同じ取引でも企業によって使用する勘定科目が異なることもありますので、インターネットの情報は参考程度にし、詳細は専門家である税理士に確認しましょう。

クレジットカード利用時の仕訳は?

クレジットカードは後払いのため、利用日に合わせて借方は費用を計上し、貸方は未払金で仕訳をおこないます。 また、クレジットカードの利用明細は、従来より仕入税額控除の適用を受けるための証憑としては認められていません。 なお、仕入税額控除の適用を受けるための書類としては、適格請求書発行事業者の登録番号および必要事項が記載された領収書の保管が必要です。そのため、クレジットカードを利用したときに発行される領収書も、大切に保管しておきましょう。

消費税の処理はどうすればいい?

帳簿を記帳する際は、消費税の処理も正確におこなう必要があります。 課税事業者のうち、消費税を原則的な方法によって計算している事業者は、売上とあわせて請求する消費税から、仕入れや経費とあわせて請求される消費税を差し引いて納税します。 税抜経理方式を採用している場合、消費税額に対して使用する勘定科目は「仮受消費税」「仮払消費税」です。 一方、免税事業者や税込経理方式を採用している場合は、仮受消費税や仮払消費税の科目は使用せず、売上や仕入等の勘定科目を用いて税込総額を計上します。 消費税は「消費税対象外」や「非課税」の判断も必要であるため、不明点は税理士などの専門家に確認するとよいでしょう。

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このコラムの著者 : 長縄 龍哉

会計税務を中心に皆様の支援をしております。経営において、会計税務は切り離すことのできないものです。経営の意思決定を行う上で、指標の一つに会計があります。皆様がよりよい経営ができるよう、会計税務の支援を通じて、経営サポートを行うことを心がけています。また、SMCグループは、会計税務だけではなく、様々なサポートを行っております。お気軽にご相談ください。皆様の経営のサポーターとして、尽力いたします。

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