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少額減価償却資産が40万円未満に引き上げ|中小企業の経費処理と実務対応を解説

投稿日:2026年07月30日

更新日:2026年07月10日

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この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

中小企業がパソコン、工具、備品、ソフトウェアなどを購入したとき、「これは一括で経費にできるのか」「固定資産として減価償却が必要なのか」と迷うことがあります。
令和8年度税制改正により、中小企業者等の少額減価償却資産の特例について、取得価額基準が30万円未満から40万円未満に引き上げられました。対象となるのは、令和8年4月1日以後に取得等する減価償却資産です。
本記事では、中小企業の経営者・経理担当者向けに、改正内容、対象資産、実務上の注意点をわかりやすく解説します。

制度概要

少額減価償却資産の特例とは、一定の中小企業者等が取得した少額の減価償却資産について、通常の減価償却ではなく、取得した事業年度に全額を損金算入できる制度です。
通常、10万円以上のパソコンや備品などは、固定資産として数年にわたって減価償却します。しかし、この特例を使える場合は、一定額未満の資産を購入した年度にまとめて経費処理できます。
これまで対象は30万円未満でしたが、令和8年4月1日以後に取得等する資産から、基準が40万円未満に引き上げられました。適用期限も3年延長され、対象となる取得価額の合計額は引き続き年300万円が上限です。

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制度のポイント

今回の改正で重要なのは、次の4点です。
まず、対象は40万円未満です。40万円ちょうどの資産は対象外となるため、「40万円以下」と誤解しないよう注意しましょう。
次に、年間300万円までという上限があります。40万円未満の資産であっても、1事業年度でいくらでも全額経費にできるわけではありません。
また、対象者は中小企業者等です。令和8年度改正後は、中小企業者は従業員数400名以下が対象とされており、規模の大きい法人では適用できない場合があります。
さらに、貸付けの用に供した資産は、主要な事業として行われる貸付けを除き、原則として対象外です。自社で使う備品なのか、貸付用の資産なのかも確認が必要です。

中小企業への影響

今回の改正により、特に影響が大きいのは30万円以上40万円未満の資産です。
たとえば、税抜35万円の業務用パソコンや、35万円の製造用工具、30万円台の業務用ソフトウェアなどは、改正前であれば原則として固定資産に計上し、耐用年数に応じて減価償却するケースが多くありました。
しかし、改正後は要件を満たせば、少額減価償却資産として取得時に全額損金算入できる可能性があります。中小企業庁も、40万円未満の減価償却資産を取得した場合、合計300万円までを限度に即時償却できると案内しています。
一方で、節税だけを目的に不要な備品を購入すると、手元資金が減ります。税金は減っても、購入代金の支払いで資金繰りが悪化する場合があるため、「本当に事業に必要な投資か」を確認することが大切です。

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経営者がやるべき対応

経営者や経理担当者は、まず社内の固定資産処理ルールを見直しましょう。
これまで「30万円以上は固定資産」として処理していた会社では、令和8年4月1日以後に取得する資産について、40万円未満まで特例の対象になる可能性があります。
購入時には、次の点を確認してください。

  • 取得日が令和8年4月1日以後か
  • 取得価額が40万円未満か
  • 年間合計300万円の上限を超えていないか
  • 青色申告の要件を満たしているか
  • 貸付用資産など対象外資産に該当しないか
  • 他の税制との重複適用にならないか

法人の場合は、法人税の確定申告書に別表と適用額明細書を添付する必要があります。個人事業主の場合は、青色申告決算書の「減価償却費の計算」の摘要欄に所定の記載が必要です。
なお、中小企業経営強化税制のE類型を利用する場合、E類型の投資計画の期間中は少額減価償却資産の特例を使えないとされています。設備投資額が大きい場合は、どの制度を使うべきか事前に税理士へ確認しましょう。

具体事例

たとえば、令和8年5月に中小企業が税抜35万円の業務用パソコンを購入し、すぐに事業で使用したとします。
この場合、取得日が令和8年4月1日以後であり、取得価額が40万円未満であるため、要件を満たせば少額減価償却資産として全額を損金算入できる可能性があります。
一方、同じ事業年度に35万円のパソコンを10台購入した場合、合計額は350万円になります。この場合、制度の上限は年300万円であるため、350万円すべてに特例を使えるわけではありません。超過部分については通常の減価償却など、別の処理を検討します。
また、決算直前に備品を購入した場合でも、事業の用に供していなければ経費処理できない可能性があります。請求書、納品日、使用開始日、支払記録を確認できるようにしておきましょう。

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まとめ

少額減価償却資産の特例は、令和8年4月1日以後に取得等する資産について、取得価額基準が30万円未満から40万円未満に引き上げられました。
これにより、中小企業では30万円台のパソコン、備品、工具、ソフトウェアなどを一括で経費処理できる場面が増える可能性があります。
ただし、年300万円上限、青色申告、対象法人の範囲、貸付用資産の除外、申告書類の添付など、確認すべき点は少なくありません。
「全額経費にできるか」だけで判断せず、事業に必要な投資か、資金繰りに無理がないか、他の税制との比較が必要かを含めて検討しましょう。個別の税務判断は、税理士等の専門家に確認することをおすすめします。

参考リンク

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よくあるご質問

40万円のパソコンは全額経費にできますか?

対象は40万円「未満」のため、40万円ちょうどの資産は少額減価償却資産の特例の対象外です。税込経理・税抜経理によって判定額が変わる場合もあるため、実際の処理は確認が必要です。

30万円以上40万円未満なら、必ず一括経費にできますか?

要件を満たせば可能ですが、年300万円の上限があります。また、青色申告、対象法人の範囲、貸付用資産の除外、他制度との重複適用などにも注意が必要です。

一括償却資産との違いは何ですか?

一括償却資産は、取得価額20万円未満の資産について3年間で均等に償却する制度です。少額減価償却資産の特例は、中小企業者等が一定要件を満たす場合に、40万円未満の資産を取得時に全額損金算入できる制度です。

個人事業主も対象になりますか?

中小企業庁の案内では、個人事業主について青色申告決算書の摘要欄に「措法28の2」と記載する手続きが示されています。個人事業主でも、青色申告などの要件を満たすか確認しましょう。

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このコラムの著者 : 長縄 龍哉

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