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資金繰りの基本。会社にお金が残らない本当の理由とは

資金繰りの基本。会社にお金が残らない本当の理由とは

投稿日:2018年06月30日

更新日:2023年08月24日

経営者が知っておくべき「利益とキャッシュの最大化」セミナー

この記事を読むのに必要な時間は約 13 分です。

会社にお金が残らない本当の理由をご存知でしょうか?

先日ある経営者さんからこんなご相談がありました。

「僕の会社は毎年黒字経営なのに、キャッシュがまったく残らないのですよ。でも、どうやったらお金が借りられるのか・・・このままじゃ倒産してしまうのではないか・・・そればかり考えていて、正直言ってすごく不安なんです。」

皆さんは「黒字倒産」という言葉を聞いたことはありますか?
黒字倒産とは、文字通り黒字であるにもかかわらず倒産してしまうことをいいます。
会社に利益がでているのに、会社が借入金や仕入代金といった債務の支払ができなくなり、会社としての活動を続けていけなくなった状態になる・・・。

倒産した企業の財務データ分析した調査結果によると、赤字だった起業の割合は55.3%でした。
約半数の会社は赤字ではないのに「黒字倒産」したことになります。

一方で、赤字決算を発表する企業がありますが、赤字でありながら倒産はしていません。
この事例は決して特殊なものではなく、倒産していない企業の実に約26.2%が赤字決算でした。

何故そんなことが起きてしまうのでしょう?

今回は会社にキャッシュが残らない本当の理由を説明します。

「キャッシュの減少①」

まずは「損益」について見ていきましょう。
製造業の会社を例に考えてみます。

製品を作るのに、材料費、人件費、経費等、合わせて1,000円支払ったとします。
これが製品を作るための原価となります。

また、この製品を販売するために、広告宣伝費として500円払いました。
この製品を販売するためにかかった費用は製造費用1,000円と販売費用500円の
合計額、1,500円となります。

そしてこの製品を1,800円で売ったとします。

これで、当期の利益がいくらになるかというと、収入である1,800円から支出である1,500円をひいて、利益300円となります。つまり黒字企業です。

<損益合計>

製品売上 1,800円
材料費 500円
人件費 300円
経費等 200円
広告費 500円
費用合計 1,500円
差引利益 300円

では同じ条件をもとに、今度は「キャッシュの増減」を見ていきましょう。

<キャッシュの増減>

製品売上 1,800円
材料費 500円
人件費 300円
経費等 200円
広告費 500円
費用合計 1,500円
増加 300円

前提条件がこれだけだと、黒字=キャッシュの増加となるわけです。
ところが会社の取引はこんなに単純ではありません。

次は、条件を追加して損益とキャッシュの動きを見ていきたいと思います。

資金繰りを改善し会社にお金を残す3つの方法と3つの秘訣

「キャッシュの減少②」

さきほどの会社が、借金の返済のために200円、土地の購入のために600円のキャッシュが支払ったとします。
借金の返済も、土地の購入も、当期の損益の計算には全く関係のないものです。

こういった損益の計算に登場しないものが、利益=キャッシュの増加にならない要因の一つです。

借金の返済と土地の購入を追加して、キャッシュの増減を見てみましょう!

<キャッシュの増減>

製品売上 1,800円
材料費 500円
人件費 300円
経費等 200円
広告費 500円
借入金返済 200円
土地購入 600円
支出合計 2,300円
収支 △500円

収入金額1,800円から支出合計金額2,300円を差し引くと、キャッシュは500円も減っています。

ここでのポイントは、損益計算書では300円の黒字にもかかわらず、キャッシュが500円も減っていることです。

なぜキャッシュが減ったのか?

「入ってきたお金=収入」と、「出て行ったお金=支出」を比べ、支出の方が収入より大きいとき、キャッシュは減少しています。
つまり黒字=キャッシュの増加ではない、という図式が成り立つわけですね。

会社に本当にお金が残らない本当の理由は、収入よりも支出の金額が大きい状態であって、赤字だからキャッシュがなくなるというわけではありません。

たとえ黒字であっても支出が大きく、借入金の返済や取引先への支払いが滞ってしまい、「黒字倒産」となるわけです。

つまり、会社経営においてもっとも重要なのは、「利益」ではなく「キャッシュ」なのです。

売上高が増えても利益が増えない!そんな時は粗利率と値決めを検討しましょう。

利益=キャッシュの増加ではない

多くの経営者は、売上を増やせば潰れない会社になると考えます。「利益至上主義」で会社の経営をし、時には無理な売上拡大や間違った節税対策、無計画な資金調達を繰り返していくことによって、経営者が気づかないうちに会社のお金がなくなっている・・・そんな間違った経営判断を下してしまうことがあります。

損益計算書で黒字だから安心していると、突然倒産してしまう・・・。
このようなことは、決してありえないことではありません。

弊社のお客さんの中にも、

「社長、先月の売上と利益はいくらでしたか?」
この質問に対して素早く回答できる経営者さんは沢山いらっしゃいますが、

「社長、先月の入ってきたお金と、出て行ったお金はいくらですか?」
この質問に対して口ごもる経営者さんも多いのです。

このコラムを読んでいる方が経営者の立場である場合、先月の売上はご存知ですよね?
しかし先月、現金として出ていったお金と入ってきたお金がどのくらいなのか、きちんと把握できていますでしょうか?

黒字倒産を避けるためにも、「利益=キャッシュの増加ではない!」
このからくりをしっかり理解しましょう!

また「黒字経営なのにキャッシュが残らない」という症状は、他にも様々な要素が複雑に絡み合って現れてきます。
キャッシュを減らしてしまう要素を、一つ一つ丁寧に解きほぐしていくことからスタートしていきましょう。

損益計算書からキャッシュ減少の原因を見る

キャッシュが減少してしまう理由について、まず損益計算書を使って見ていこうと思います。

キャッシュが減少してしまう理由として、皆さんは何が思い浮かぶでしょうか。
「キャッシュが減少」ということですから、お金を使うことがキャッシュを減少させる理由ですよね。
会計的に見ると、大まかに3つの使途に分けられます。

  • 費用の支出
  • 資産の購入
  • 負債の返済

では、具体的に内容を見ていきましょう。

費用の支出

例えば、給与の支払い、消耗品の購入、電気、水道、ガスの料金の支払い、家賃の支払いなどが挙げられます。
②資産の購入、③負債の返済と区別するポイントは、少額の物品の購入や、サービスに対する対価であることです。
また、未払いであったものを支払った時や、前払いのために支払ったものは、資産の購入や負債の返済になることもあります。

費用の支出は、事業活動をする上では避けられないものです。
必要以上の支出をしないため、今どれくらい費用を支出しているのかを把握するためにも、費用と収益が集計されている損益計算書の読み方について、しっかり見ていきましょう。

損益計算書には、「一定の会計期間における企業の経営成績」が、表れています。つまり、その期にどれだけ費用が発生していて、どれだけ収益を上げられたかが集計されているものです。

経営者の皆さんが一番気になるのは、損益計算書の一番下にある当期純利益でしょう。ですから、損益計算書は普段からよく見ていらっしゃると思います。

当期の損益計算書を見た時に、「キャッシュの増加をもたらす収益」と「キャッシュの減少をもたらす費用」を比較し、収益の方が大きければ利益が出て経営は黒字、キャッシュが増加している状態です。
逆に、費用の方が大きければ利益が無く経営は赤字、キャッシュが減少している状態になります。

算式にすると、収益-費用=利益 で表されます。
(※ 尚、キャッシュの増加、減少をもたらさない収益、費用もあります。例えば、収益では掛売上、費用では減価償却費などです。)

これらのことを踏まえて、利益を上げる=キャッシュを増やそうとするならば、費用を抑えるか収入を上げる必要があります。

しかし、費用を抑えて収益を上げることができるでしょうか。

過剰に支出していた費用であれば、その分を削減すれば良いのですが、費用を抑えて収益を上げると言うことは、事業活動に附随して発生する費用を抑えるということですから、事業規模を小さくしてなおかつ収益も上げなければならなくなります。
費用を抑えられても、収益が上げられないので、キャッシュは増加しません。

このことから、単純に費用を抑えて収益を上げることはとても難しいことがわかると思います。

資産の購入

例えば、建物や機械の購入、商品の購入や売掛金の増加、リゾート会員権やゴルフ会員権の購入などが挙げられます。「費用の支出」と区別するポイントは、その資産の価格が10万を超えるかどうかです。
物品の購入やサービスに対する対価について前払いのために支払ったものは「費用の支出」ではなく「資産の購入」になります。「前払金」という資産を購入したものとみなします。

負債の返済

負債の返済とは、文字通り借入金の返済のことを言いますが、その他にも買掛金の支払いや手形の支払いなども「負債の返済」とします。
物品の購入やサービスに対する対価について未払いであったものを支払った時も、「負債の返済」です。「未払金」という負債を返済したわけです。

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貸借対照表からキャッシュ減少の原因を見る

貸借対照表には、「ある一時点での企業の財務状態を表すもの」が表されています。
さらにキャッシュに着目して言い換えると、設立後から今までのキャッシュの動きが反映されている財務諸表なのです。
全体的なキャッシュの動きを見るのなら、「一定の会計期間における企業の経営成績」を見ることが出来る損益計算書よりも、「ある一時点での企業の財務状態を表す」貸借対照表を見た方が、正しい判断が下せるということになりますね。

貸借対照表がどのように構成されているかご説明します。

貸借対照表の右側には、資金をどのように調達したのかを表す「負債」と「資本」、左側には調達した資金をどのように運用したのかを表す「資産」、そして右側と左側の合計はバランスをとっています。
これが「貸借対照表」またはバランスシートと言われる理由です。

また、「負債」で表される調達方法は返済義務があり、いつかはお金を返す必要があります。
一方「資本」は返済義務がない調達方法です。

負債の中には、いわゆる借入金のほか、買掛金や支払手形など、お金そのものを借りたわけではないが支払いを待ってもらっているものや、前受金のように支払いを先に受けているもの、預り金のようにお金を一度預かった後に支払うものなどがあります。
資本には、資本金、準備金、剰余金などの自ら生み出したお金が集められています。

負債と資本、つまり調達した資金を使って会社は事業を行っていますが、一時点でその負債と資本の合計を上回る資産があればその差額が利益となっています。
ですから、利益の算式は 資産‐(負債+資本)=利益 となります。

では貸借対照表から見て、利益を増やすためにはどうすればよいのか。

1つ目は、資産を増やせばおのずと利益も増えます。
2つ目は、負債を減らせばおのずと利益も増えます。
つまり、貸借対照表では資産の増加、負債の減少があれば利益の増加につながるということになります。

しかし・・・
資産を増やす、負債を減らすという行為は、キャッシュが出ていきます。
資産を増やす ⇒ キャッシュが減少
負債を減らす ⇒ キャッシュが減少する。

もうお分かりでしょうか?
利益が出ているからキャッシュが増えて資産を購入でき、負債を減らすことが出来るのです。健全な貸借対照表というのは、「利益が先」なのです。

キャッシュの減少の理由についてご理解いただけたでしょうか。
経費を支出する以外にも、資産を増やす、負債を減らす行為でキャッシュは減少しますので、損益計算書で利益が出ていたとしても、単純なキャッシュの増加にはなっていないことを覚えておいていただきたいです。

在庫過多=キャッシュの減少

棚卸資産(在庫)が企業のキャッシュを減らす原因の一つになっていることについて見ていきたいと思います。

棚卸資産とは企業、販売する目的で一時的に保有している商品・製品・原材料・仕掛品の総称です。
棚卸資産の形は有形であったり無形だったりしますが、今回はあまり難しく考えずに単に残っている在庫と考えましょう。

企業は、商品又は製品、サービスをお客様へ売ることによって、キャッシュを得ることができます。

また、商品や製品の原価を安くするために、一度に大量に購入又は生産することによって、商品及び製造に係る原材料等を取引先から値引きして貰ったり、大量に作ることによる配送費、人件費、手間等の製品に関わる経費を減らしたりという、企業努力をしています。

そうした努力により、安く手に入れた商品・製品を売ることによって、企業は利益を出し、キャッシュは貯まっていきます。
しかし、それはあくまで商品・製品が売れる事が前提です。

もしも商品・製品が売れずに在庫として残ってしまったらどうでしょう。

在庫をたくさん持っていても、全部売れるとは限りません。あるいは全て売れるには時間がかかります。

商品が売れず在庫が増えれば、それだけキャッシュは入ってきません。
安くなるから、という理由で大量に購入した商品は、キャッシュにならないで在庫として眠ってしまいます。

企業はキャッシュがなくなれば、途端に会社がつぶれてしまう危険が発生します。企業がつぶれてしまうということは、経営者だけでなく、会社の従業員、取引先とその従業員、銀行の担当者等、そしてその家族にまで影響が及ぶこともあります。

在庫がキャッシュを減らす例

それではここで商品の購入について、簡単な例でキャッシュをみていきましょう。

資本金2,000円を元手に八百屋を開いた会社があるとします。

元手となった2,000円で1個あたり100円のリンゴを20個、現金で買いました。
2,000円の現金が商品(棚卸資産)に変わりました。
これを1個あたり150円で20個すべて現金で売りました。

収入として現金3,000円、資本金2,000円を差し引いた結果1,000円の利益をあげました。
キャッシュはリンゴを買うために2,000円支出し、リンゴを売った3,000円が収入として入りました。
結果としてキャッシュは1,000円増加しました。

黒字でなおかつキャッシュも増加しています。

リンゴ売上 3,000円
リンゴ仕入 △2,000円
差引利益 1,000円

キャッシュ増減 1,000円

在庫をすべて売り切ったという商売です。利益とキャッシュは一致しています。

それでは仕入れたリンゴが残ってしまったとしたらどうでしょう。

1個あたり150円でリンゴは10個しか売れませんでした。
結果としてリンゴは10個在庫として残りました。

収入として現金1,500円、棚卸資産として1,000円、資本金2,000円を差し引いた結果500円の利益があがりました。

資本金 2,000円
リンゴ仕入 △2,000円
リンゴ売上 3,000円
リンゴ売上 1,500円
リンゴ仕入 △1,000円
差引利益 500円

しかし、キャッシュとしてはどうなっているでしょうか。

リンゴを買うためにキャッシュを2,000円支出したのに、今回はリンゴを売ったことにより、キャッシュは1,500円しか入らず、黒字なのに、キャッシュは500円のマイナスとなってしまいました。

資本金 2,000円
リンゴ仕入 △2,000円
リンゴ売上 1,500円 (リンゴが10個1,000円在庫)
キャッシュ増減 △500円

こうなってしまった原因は、在庫が残ってしまったからです。

この残ったリンゴはどうするべきでしょうか。売れるまで頑張るしかありません。
どうやって売りましょうか。

例えば値引きをして120円で売るか、果ては買った時と同じ100円で売るか、売れ残るよりキャッシュにしようと80円で売ったりすることになるかもしれません。

時間が経てばリンゴは腐ってしまいます。
腐ってしまえばもう捨てるしかありません。
いや、ウチは腐らない工業製品を作っているから大丈夫だよ、と思う企業の方もいらっしゃるかもしれません。

確かにリンゴを売るよりはリスクは少ないでしょう。

しかしその商品や製品はどこに置けばよいでしょうか。
売り場に置いておけばいいかもしれませんが、そのまま置いておいても売れるとは限らず、もっと売れる商品に替わってしまうかもしれません。

製品なら倉庫に置いておけばいいのですが、倉庫も無限ではありませんし、維持費もかかります。
しかも在庫として残ったままになっている期間は、もちろんキャッシュは増えません。

また、仕入にキャッシュを使ってしまったことで、運転資金が不足したらどうでしょうか。
毎月の給与、銀行に返済、消費税等高額な税金の納付、支払手形の引き落とし、車検や広告宣伝など・・・企業が使うべきお金は仕入以外にもたくさんあります。

給与の支給が滞れば従業員の士気が落ち、銀行への返済や税金の納付が滞れば利子や税金を追加が発生し、取引先への支払いが滞れば信用問題に関わります。

支払手形が引き落とせなかったら不渡りとなり、最悪の場合は倒産してしまいます。
キャッシュが枯渇すれば、仕入れたものを値下げしてでも売ったり、社長自ら身銭を切ったりして、急な支払いにあてなければならないでしょう。

商品・製品を売るためには、在庫は必要です。在庫がないと売上のチャンスロスとなることもあります。
ただ過剰な在庫保有により、手元のキャッシュがなくなってしまうことだけは避けたいものです。

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よくあるご質問

キャッシュフロー計算書で「財務キャッシュフロー」だけがプラスの状態はよい状態でしょうか?

財務キャッシュフローは主にお金の貸し借りの動きを表すものです。財務キャッシュフローがプラスということは借入金が増えたということですので、決してよい状態とは言えないでしょう。

資金繰り表はどの程度の頻度で作ればよいでしょうか?

毎月6か月先の資金繰り予定表を作ることが望ましいでしょう。半年先のお金の状況が見通せれば安心して経営ができます。

売掛金は多いのですが、現金が手元に足りません。どんな改善方法がありますか?

売掛金回収期間を短くしてもらうよう取引先と交渉しましょう。難しければ売掛金担保融資で資金調達したり、ファクタリングで売掛金を売却することで早期ができます。

    経営
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このコラムの著者 : 菱刈 満里子

大学卒業後、大手証券会社、文部科学省研究室秘書等を経験後SMC税理士法人に入社。 会計・税務業務に13年間携わった後、経営計画を中心とした未来経営に軸足を移す。 のべ150社以上の経営計画を作成、経営支援を行っている。

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