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売上債権の未回収を未然に防ぐ「与信管理」自己資本比率について

2019年08月11日

  • 経営

中小企業が倒産をしないために、売上債権の未回収を未然に防ぐ「与信管理」の具体的な方法についてお話ししております。
前回までのコラムでは取引先の信用調査チェックリストの(ア)~(オ)についてご説明してきましたが、今回は(カ)の自己資本比率についてお話しいたしましょう。

信用調査 チェックリスト
(ア)会社の商業登記簿謄本を法務局で取得
(イ)決算書を交換する
(ウ)不動産等があれば、不動産登記簿謄本取得、担保設定確認
(エ)利益剰余金÷期数 500万円以上か
(オ)当座比率 150%以上か
(カ)自己資本比率 50%以上か

SMC商事(20期)の貸借対照表

現預金や売掛金など、直ぐに支払いに充てることができる資産を持っているかどうかがわかるのが当座比率でした。
一方自己資本比率は、自己資本が会社の総資産に占める割合です。
持っている資産のすべてを換価したうえで、債務を弁済することができるのかどうかがわかります。

取引先のSMC商事の自己資本比率はどうでしょうか?

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産
= 2400万 ÷ 2億円
= 12%

自己資本比率が12%ということは、総資産に対する負債の割合が88%、つまり会社の資産はほとんど借金で賄われているということです。

ただ自己資本が12%ということで、総資産はある程度持っています。裁判を起こして強制執行すれば、SMC商事から債務を回収できるのではないかとも思えます。

では総資産の12%のお金や資産が、実際にあるのかどうかを検討してみましょう。

2億円×12%=2400万円となります。
決算書上は、すべての負債を支払った後でも2400万円に相当する資産があるはずですので、債権回収は可能かもしれません。

本当に2400万円に相当する資産があるのでしょうか。

貸借対照表上の資産を換価しても記載通りの金額とは限らない

取引先のSMC商事の現金は200万円、当座預金は2200万円あります。しかし売掛金以降の資産は、決算書上の金額で換金できるのかどうかは、評価をしてみないと分かりません。
売掛金には不良債権が含まれているかもしれません。
売掛債権があっても回収可能であるかどうかは、実際に請求してみないと分かりかねます。

棚卸資産はどうでしょう。
決算書上の金額は1000万円ですが、実は全く売れない不良在庫なのかもしれません。これを売却しても1000万円で換価できるかどうかは分かりません。

前払費用も同様です。
いずれは経費となる資産ですので、換金は難しいでしょう。

次に建物です。
決算書上は1億円ですが、換価価値がいくらなのかは評価が必要です。経過年数などから価値が半額以下になっている可能性もあります。

構築物。舗装や壁を設置した時の価格ですが、換価価値は低いと推察できます。
器具備品。動産類ですが、換価価値は非常に低くなるのが通常です。

電話加入権。こちらは今となっては無価値です。
有価証券。上場株式なら換価価値があると思われますが、関連会社株であれば恐らく換価価値はほぼないと思われます。また期末の決算書にあった上場株式も、既に売却してなくなっている可能性もあります。

以上のとおり、現預金以下の資産は、評価したり換価したりしてみないと実際の価値はわかりません。

また現預金についても、12月31日の決算時以降に赤字経営をしていれば、なくなっている可能性が高いです。したがって2400万円に相当する資産は期待できないでしょう。
このような会社に訴訟提起しても、全額回収できる可能性は非常に低いと言わざるを得ません。

当座比率と自己資本比率

当座比率は、直ぐに支払いに充てることができる現預金があるかどうかがわかります。

自己資本比率は、換価した後に払えるだけの資産があるかどうかがわかります。
よって取引先の売掛金の貸し倒れを防止するには、当座比率が重要でしょう。当座比率が150%以上であれば、利益が出ていなくても1年6か月は支払えるお金があるということですので、取引先として安心できます。
ただし赤字経営であれば当座資産がなくなっている可能性もあるので、取引先の当座比率はなるべく高いに越したことはないでしょう。

類は友を呼ぶ

相手の当座比率や自己資本比率を知って取引するのか、知らずに取引するのかで、将来的な結果は違ってきます。
自分の取引先がいかに危険であるかを知ることで、貸し倒れのリスクを回避することも出来るからです。
では、ご自身の会社の当座比率や自己資本比率はどうでしょうか?相手と比べてどちらが信用のある会社でしょうか?

面白いことに、自分の会社も取引先の会社も同じレベルであることが多いです。
安心できる財務体質のお客さんとお付き合いしたければ、自分の会社の財務体質も良くしなければいけないのです。
そのためには、少なくとも当座比率と自己資本比率ぐらいは理解しておいたほうがいいでしょう。
自分の会社の財務体質が良くなると、それに比例して良い得意先が増えていきます。類は友を呼ぶのです。

取り込み詐欺が寄って来る会社というのはどういう会社なのか。
自分の会社の財務体質を改善しないことで、一番来てほしくないお客さんを、知らず知らずに自分で引き寄せているのです。

PROFILE

白木智巳

白木智巳

ロータックス法律会計事務所 代表弁護士 昭和45年12月生まれ(いて座のA型)•大阪府豊中市出身 平成元年 • 大阪府立豊中高校卒業(豊陵会41期) 平成6年 • 同志社大学経済学部卒業 平成14年 • 弁護士登録(大阪弁護士会)(修習期55期) 平成19年 • 中国留学(上海復旦大学)・上海協力法律事務所で執務(現日本法顧問) 平成22年 • 白木法律事務所開設 • 桃山学院大学大学院 経営学研究科 講師(平成27年まで) • 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 国際化支援アドバイザー就任 • 大阪商工会議所 国際部 中国ビジネス支援室 外部相談員 • 京都企業支援ネットワーク 中国法分野相談担当 平成24年 • 近畿税理士会へ税理士登録 • 白木法律会計事務所に名称変更 平成28年 • ロータックス法律会計事務所へ名称変更

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