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ドラッカーが提唱する利益の5つの役割

2020年01月12日

  • 経営

前回のコラムに引き続き、「利益とは何か?」を深く考えてみましょう。
これを真剣に考えることによって、利益の重要性が分かり、利益を増やさないといけないことに気づいていただけると思います。

今回は偉大な経営学者のドラッカーが提唱する利益の5つの役割について見ていきましょう。解説は曽根流の考え方が入っていることを事前にお伝えしておきますね。

1、お客様満足のバロメーター

ドラッカーは企業活動の目的は「顧客の創造」であると言っています。お客様を創造して、満足していただければ、売上が増えて利益も増えるはずです。それなのに「うちは売上をあえて増やさなくて現状維持で良い」という中小企業の三流アホ経営者がいます。これは売上を増やすことができない三流会社の犬の遠吠えです。

お客様が満足していれば、いやでも売上も利益も必ず増えるはずです。言い換えれば、利益の大きさは、どれだけのお客様を創造し、どれだけのお客様に満足をしていただいたのかを計る「ものさし」として使えるということです。つまり、売上・利益はお客様満足の結果の数値なのです。

もし赤字が出ていれば、それは単に収益より経費が多くて赤字になっている以外に、お客様が満足していない証拠なのです。つまり利益が出れば出るほどお客様が満足をしていて、赤字が大きければ大きいほどお客様が不満足ということになります。したがって利益はお客様満足のバロメーターということが言えるのです。

2、事業の有効性と健全性を計る物差し

利益は企業にとって、その事業がお客様にとって価値があるか(有効であるか)、しっかり儲かる仕組みになっているか(健全であるか)を判断する基準となります。利益が大きければ、その事業はお客様にとって価値があることになり、しっかり儲かる仕組みになっています。

一方、利益が小さかったり、赤字が出たりしているのであれば、その事業は有効ではなく、不健全ということです。つまり単に赤字というだけではなく、その事業自体がお客様にとってあまり価値がないことであり、儲かる仕組みになっていないということなのです。

対策を講じても赤字が続くようであれば、その事業の撤退も検討する必要があるでしょう。つまり、利益は事業の有効性と健全性を計る物差しとなるのです。

3、将来のリスクへの備え

私はこの項目が最も重要だと思っています。現在、出ている利益は将来のリスクに対する備えであり、未来の費用なのです。現在の利益、つまりキャッシュを貯蓄しておけば、危機に瀕したとき(例えば売上が激減した、災害で損失が出た等)に使うことができます。その蓄えがない会社は、売上減や災害で潰れてしまうことになってしまいます。

厳しい言い方になりますが、企業は売上減や災害等で倒産するのではなく、利益・キャッシュの蓄積がないために倒産するのです。

あなたの会社は、売上がゼロの月が何カ月続くとキャッシュがショートしますか?ショートしない期間が長ければ長いほど、将来へのリスクの備えがあることになります。

貸借対照表の右下の純資産にある利益は、会社設立以来の利益の合計です。そして、貸借対照表の左上にあるキャッシュも過去からの蓄積です。

現在、会社が様々な活動ができるのも、過去の経営者や社員の方々が残してくれた利益があり、キャッシュがあるからなのです。
現在の経営者と社員だけの努力でできたものではありません。ですから我々も、後継者や将来の社員のために、可能な限り多くの利益・キャッシュを残しておく必要があるのです。そして将来の会社が出会うかもしれないリスクに対応できるようにしておきましょう。

ここまでで利益とは「お客様満足のバロメーター」「事業の有効性と健全性を計る物差し」「将来のリスクへの備え」だという3つの役割についてお話ししてきました。

残りの2つの役割について語る前に、もう一度「将来のリスクへの備え」についての利益の考え方をお伝えしていきましょう。

現在、会社が様々な活動ができるのも、過去の経営者や社員の方々が残してくれた利益があり、キャッシュがあるからです。現在の経営者と社員だけの努力でできたものではありません。
ですから我々も、後継者や将来の社員のために、可能な限り多くの利益・キャッシュを残しておくことで、未来のリスクを軽減することが出来るのです。

ところが、こんな大事なことを理解していない三流会計事務所が、経営者に節税提案して利益を減少させ、税金を支払いたくない三流アホ経営者がその節税提案に乗り、利益・キャッシュを減らしてしまうのです。
優秀な経営者であれば、将来のリスクへの備えるため、無駄な費用に支出をして利益とキャッシュを減らしてしまうようなことをしてはいけません。

具体的に事例を見てみましょう。

A社もB社も利益は同じ1千万円です。A社は今年だけではなく過去も利益を出してキッチリ税金を支払いコツコツとキャッシュを増やしてきました。一方B社は、三流会計事務所のアドバイスにより、利益を抑えて税金の支払いを極力少なくしてきました。その結果、手元にあるキャッシュは、A社が2億円、B社が1千万円だとします。

ある時大災害が起こり、A社・B社共に店舗が壊れて6カ月間営業できなくなってしまいました。6カ月間売上が0円です。しかし両社とも、人件費だけでも毎月5百万円支払わなければなりません。A社は余裕で人件費を6カ月間支払ってこの災害の危機を乗り越えられますが、B社は恐らくこの危機を乗り越えられないでしょう。

つまり、利益は将来の災害などのリスクの備えとなるのです。繰り返しますが、三流会計事務所の節税提案に乗らないことです。

将来の利益獲得のための準備


当期にしっかり利益が出ていれば、将来の収益(利益)獲得のためのキャッシュを支出することができます。つまり設備、施設、商品開発、市場開拓、人材育成、人材採用など、投資効果が将来にも及ぶものへの支出です。

例えば、当期利益が4千万円出ることが予測できているとすると、将来の幹部候補の社員を採用するために、1千万円の人件費を支出することが出来ます。万が一、幹部候補生がハズレで全く稼がなかったとしても、利益はまだ3千万円残っています。

一方利益が1千万円もない状態で採用した幹部候補生がハズレですと、忽ち赤字に転落してしまいます。利益が出ていない会社は、おちおち人の採用をすることも出来ないのです。すなわち利益が出ている会社は優秀な社員を採用でき、そうでない会社は人の採用も出来ないのです。

利益が大きければ大きいほど、将来の収益獲得のための投資をすることが出来、その投資によるリスクも軽減することが出来ます。その結果、利益が出ている会社は将来もますます利益を拡大し、利益が出ていない会社は投資することができないため、将来も利益が出ない会社のままなのです。

資金調達のための誘い水

最も健全にキャッシュを生み出すための資金調達手段が「利益」です。これが少なければ、金融機関への借入返済ができないことになり、新たな融資を受けることができません。つまり、利益は金融機関からの信用のバロメーターということになります。金融機関は利益の上がっていない会社にはキャッシュを貸さないのです。

金融機関は「当期利益 + 減価償却費」をキャッシュ増加の数値あるいは借入金の返済財源とみています。つまり当期利益が増えれば借入金の返済財源が多くなり、銀行からの信用が増していきます。
利益が資金調達をするための誘い水となっているのです。

いかがでしたか。このように利益は5つの役割を持っている大事な数値なのです。
可能な限り利益を大きくする努力をしましょう。
安易に節税提案をする三流会計事務所と、税金を支払いたくない三流アホ経営者が結託して、企業を潰すことになるのです。

PROFILE

曽根 康正

曽根 康正

SMCグループ代表、1959年(昭和34年6月8日)に岐阜県多治見市で生まれる。 「社外重役の立場から専門能力を発揮し中小企業を支援する」 というグループ経営目標のもと、東海エリアにおいてNo.1の会計事務所を目指す。

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