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企業の成長過程から見た資金繰り

企業の成長過程から見た資金繰り

投稿日:2019年07月07日

更新日:2023年01月06日

経営者が知っておくべき「利益とキャッシュの最大化」セミナー

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

今回は資金繰りを企業の成長過程を、

  1. 創業期(売上確保)
  2. 第一成長期(資金確保)
  3. 第二成長期(人の確保)
  4. 第三成長期(組織作り)
  5. 第四成長期(差別化戦略)

でお話ししております。

創業期(売上確保)

サラリーマン生活に嫌気がさして独立開業を夢見ます。
どんなビジネスをやろうか、資金繰りをどうしようか、どこで開業しようか、社員はどうしようか等々、考えているうちに何も決められなくて、独立開業を諦めてしまう人も多いことでしょう。

それでも、強い意志で独立開業する人もいます。

私も監査法人にいて、監査に嫌気がさして独立開業しました。

最初に思ったことは、今自分がキャッシュをいくら持っているのだろうか、自己資金だけでやって行けるのか? 銀行借入あるいは親から借りる?など、まずキャッシュのことを考えました。

そして次が売上の確保です。
毎月いくら売上げなければならないのか?
その売上を確保するために何件のお客様を獲得しなければならないのか?
どこで開業するのか?
屋号をどうするのか?
備品はどうする?
名刺・封筒、コピー機・電話などなど、決めなくてはならないことばかり。

そして、すべてにキャッシュの支出を伴うことばかりです。
これらのことを解決するためには、やはり事業計画を作ることです。

まずキャッシュの確保です。例えば、手元の自己資金が100万円、日本政策金融公庫から500万円の創業融資を確保して、トータル600万円のキャッシュがあります。

これを元手に備品や消耗品の購入に200万円支出しました。
残るは400万円です。

毎月、家賃や自分の生活費などで100万円かかるとします。
すると売上が毎月ゼロであれば、4カ月で資金ショートすることになります。

資金ショートをしないためにも、まず売上を早急に確保しなければなりません。
できなければ資金ショートして、独立開業は失敗に終わります。

まずは何が何でも売上を確保して利益を出してキャッシュを減らさないようにしなければなりません。
独立前のお客様を当たる、同級生を当たる、友人知人をあたる、飛び込み営業をするなど、ありとあらゆるコネを使って、根性で売上確保に走ります。

まず、創業期の最重要課題は売上の確保です。
売上を確保できなければ、キャッシュが底をついてしまいます。

キャッシュを売上拡大に使いましょう。

ストラック図で逆算。いくら利益を出せば良いか教えます。

第一成長期(資金確保)

創業期に順調に売上が確保できたならば、とりあえずキャッシュは底をつかずに会社は無事に離陸することができます。
売上が順調に上がると次の壁が待っています。その壁とは資金繰りです。

売上の確保が順調であるほど壁が大きくなります。

売上が大きく伸びると、売掛金が増え在庫も増えてきます。いわゆる運転資金が必要となってくるのです。運転資金とは下記の算式で計算します。

(受取手形 + 売掛金 + 棚卸資産) – (支払手形 + 買掛金)

上記算式の運転資金は、通常金融機関から借入をすることができます。

つまり、この頃から金融機関とお付き合いをして密接な関係を作っておく必要があるのです。

ところでこの運転資金を必要最低限に抑えるためには、受取手形、売掛金、棚卸資産を少なくして、支払手形、買掛金を多くすることです。

しかし以前の記事でも書いたように、支払手形は絶対に発行すべきではありません。

買掛金も仕入先からの信用を失い、大事な商品や材料が仕入れられなくなる可能性があるので、あまり支払いを先に延ばさないことです。
さらに極端に実行しすぎると、上記の運転資金がマイナスになることがあります。

つまり支払わなければならない資金が多くなっている状態です。
運転資金がマイナスになるということは、結果として資金調達したことになり、一見良いように見えます。

ケースバイケースではありますが、支払いを先延ばしする自社本位で行き過ぎた資金調達だと思います。

充分なキャッシュの準備ができていないのに売上を急拡大すると、必ず運転資金が必要となり、資金ショートして黒字倒産する可能性があります。

急成長も要注意ですね。
十分なキャッシュ準備をしてから売上拡大をしていきましょう。
運転資金を賄うための十分な資金を準備しましょう。

第二成長期(人の確保)

売上も順調に伸びています、十分なキャッシュも確保し、一見、順調のように見えます。
しかし、次に来るのが人の問題です。この頃は自社に一般の社員は多くいますが、管理職の社員や幹部が全くいないのです。
ここまでは社長のワンマン経営でグングン成長してきましたが、社長の周りにはイエスマンの一般社員しかいないのです。いわゆる、文鎮型組織の典型ですね。

第二成長期に入って会社の規模もそこそこになってくると、社長一人で会社すべてを管理していくのが難しくなってきています。
そこで、自分の右腕になる幹部社員が欲しいと思うようになるのです。そんな幹部社員を育てたこともなく、採用もしたことがないのに、無いものねだりをしてしまうのです。

この頃の社長は「うちの会社にはロクな社員がいない」とか、社員に向かって「お前ら、経営者的感覚を身につけろ」、「うちの賃金体系を見直して、成果主義にして行こう」等、問題解決とは程遠い頓珍漢な発想をしてさらに混乱を大きくしていきます。この時期は多くの社員の退職が続き、経営者は悩み続けるのが普通です。

しかし、ここでの対応を誤ると、せっかく順調に成長してきたのに売上の伸びが止まり、止まるどころか売上が下がり始めて、利益が急減したり、赤字に陥ったりしてしまいます。そして、キャッシュがどんどん減り始め、資金繰りに窮してきます。最悪の場合は金融機関にもそっぽを向かれ、最終的にはキャッシュが無くなり、会社が潰れてしまうことになります。

ここで経営者は気づかなければなりません。

「会社は社長の器以上には大きくならない。」
「社長より優秀な社員はその会社に残れない。」
「会社のすべての問題は99%が社長の所為」

これらの言葉を噛み締めるべきです。

この時期の様々な問題はすべて社長自身から出ているのです。

問題を社長自身ではなく社員の所為にしていると、何も解決しないどころかさらに問題が大きくなってしまいます。社員は社長の能力にぴったり合った社員しかいないのです。問題の核心は社員ではなく社長にしかないのです。だから、社員ではなく長自身が変わるしかありません。どのように変わるのかというと「職人から経営者への脱皮」です。

職人は自分自身が動いて問題を解決します。営業、製造、経理、総務すべての要が職人である社長なのです。
社長がいなければ何もできません。社長自身が自分のことを経営者だと言っても、こういう社長は経営者ではなく単なる職人なのです。
私の経験では社員数が20名を超えたころから、職人から経営者への脱皮が必要となります。

それでは経営者とはどんな人のことを言うのでしょうか?
「経営とは人を通してことを成すこと」
です。

そして、この経営をする人が経営者なのです。

人を通してことを成すためには、2つのことをしなければなりません。
一つ目が会社の進むべき方向を決めることです。将来、会社がどこへ行こうとしているのかを明確にしなければなりません。会社の方向を示すためには経営理念、経営目標、経営方針の作成が必要となります。そして、この経営理念、経営目標、経営方針を会社の隅々までに浸透させなければなりません。

二つ目は社員の働きやすい環境を作ることです。給料を高くする、長時間労働をさせない、作業環境を快適にする、社員間の人間関係を良好にする等です。

中小企業では優秀な社員を採用することはできません。
中小企業の中には優秀な社員が欲しい、欲しいといつも言っている、おめでたい三流アホ経営者がいます。
社長である自分の能力や器を省みず、無いものねだりをするのです。

私は中小企業の社員は、採用時は普通で良いと思っています。普通の社員を採用して、社内で鍛えに鍛えて優秀な社員、そして幹部社員に成長させていくのです。社員研修というと大企業がやるものだと思っている三流アホ経営者がいますが、社員研修は中小企業こそ必要なことです。
そして、社員研修を通じて、普通の社員を優秀な社員にするのです。歩(一般社員)をト金(幹部)にしていくのです。

普通の社員を社員教育によって優秀な社員に育てます。そして経営者が作った働きやすい環境の中で、この優秀な社員がモチベーションをさらに高めて、会社の目指すべき方向へ向かっていきます。これによって会社はさらに成長することになります。この第二成長期を乗り切ることができれば、資金繰りは順調になり、でキャッシュ不足に悩まされることはなくなります。

キャッシュを人事の採用そして人材教育に使いましょう。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 経営改善 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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このコラムの著者 : 曽根 康正

SMCグループ顧問、1959年(昭和34年6月8日)に岐阜県多治見市で生まれる。 「社外重役の立場から専門能力を発揮し中小企業を支援する」 というグループ経営目標のもと、東海エリアにおいてNo.1の会計事務所を目指す。

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