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中小企業投資促進税制とは?優遇措置の内容や対象の設備、必要書類をわかりやすく解説!

投稿日:2023年09月27日

更新日:2023年09月28日

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この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

中小企業投資促進税制とは?優遇措置の内容や対象の設備、必要書類をわかりやすく解説!
中小企業投資促進税制は、中小企業や個人事業主が設備投資をおこなう際に利用したい制度です。

本記事では、中小企業投資促進税制の優遇措置の内容や対象設備、必要書類をわかりやすく解説します。特別償却と税額控除のどちらがお得なのかについてもシミュレーションするので、ぜひ参考にしてみてください。

中小企業投資促進税制とは

中小企業投資促進税制とは、中小企業や個人事業主が設備投資を積極的におこなうために用意されている制度です。対象の設備を購入した場合に、税的な優遇措置が受けられます。

中小企業投資促進税制の適用対象者や優遇措置の内容、対象となる設備について紹介します。

適用対象者

中小企業投資促進税制を利用できる事業者は、青色申告書を提出する「中小企業者等」です。中小企業者等には、主に以下のような事業者が含まれます。
法人

  • 資本金または出資金が1億円以下
  • 資本または出資を有さず従業員数が1,000人以下

個人事業主

  • 従業員数が1,000人以下

協同組合

  • 農業協同組合、中小企業等協同組合、商工組合連合会、漁業協同組合、森林組合など

ただし、上記の要件を満たした場合でも、以下のいずれかに当てはまる法人は中小企業投資促進税制の対象外となるため注意しましょう。

  • 同一の大規模法人*1から2分の1以上の出資を受ける法人
  • 2以上の大規模法人*1から3分の2以上の出資を受ける法人
  • 前3事業年度の所得の平均が15億円を超える法人

*1…資本金もしくは出資金が1億円超の法人、資本もしくは出資を有しない法人で従業員が1,000人以上の法人など

適用期間

中小企業投資促進税制の適用期間は2025年3月31日までです。2025年3月31日までに対象設備を取得して事業に用いることが適用の要件となります。

ただし、中小企業投資促進税制は今までに期限が何度も延長されています。そのため、2025年3月31日以降も期限が延長される可能性は十分にあるでしょう。延長のタイミングで制度内容に改定が入る場合もあります。

優遇措置

中小企業投資促進税制の優遇措置は、以下のいずれかから自由に選択可能です。

  • 特別償却
  • 税額控除

ただし、資本金等の額が3,000万円を超える法人は「税額控除」を選択できないため注意しましょう。利用できる優遇措置は「特別償却」のみです。それぞれの概要を解説します。

特別償却

特別償却は、対象の設備を取得した年度の減価償却額を増やせる優遇措置です。通常の減価償却に加えて取得金額の30%分の追加償却ができます。設備取得年度の課税所得を減らすことができ、法人税の節税が可能です。

例えば、300万円の対象設備を購入した場合に設備取得年度に計上できる減価償却の金額は以下のとおりとなります。

設備取得年度に計上できる減価償却の金額
通常の減価償却額+90万円(300万円×30%)

90万円を課税所得から追加で減らせるため、取得年度の法人税の節税が可能です。また、30%を1年度で計上しない場合は翌年度以降に償却不足額の繰り越しもできます。

ただし、最終的に減価償却できる総額は取得価格までです。取得価格以上に減価償却ができるわけではないため、注意しましょう。

特別償却は、あくまでも減価償却のペースを早めるための優遇措置です。

税額控除

税額控除は、対象設備を購入した年度の法人税額から設備の取得価格の7%を直接控除できる優遇措置です。

例えば、300万円の対象設備を購入した場合、購入年度の法人税額が100万円であれば、中小企業投資促進税制の税額控除適用後の最終的な法人税額は以下のとおりとなります。

最終的な法人税額
100万円―21万円(300万円×7%)=79万円

税額控除は、直接法人税を減らせるため節税効果を感じやすいです。なお、税額控除額は、「中小企業経営強化税制」での税額控除と合わせて法人税額の20%が上限となります。上限を超える金額は、1年間のみ繰り越しが可能です。

対象の設備

中小企業投資促進税制の対象となる設備と取得価格の要件は以下のとおりとなります。

設備 取得価格要件
機械装置 1台の取得価格が160万円以上
測定工具・検査工具 ・1台の取得価格が120万円以上
・1台の取得価格が30万円以上かつ1事業年度の取得価格合計額が120万円以上のもの
普通貨物自動車 車両総重量3.5t以上
内航船舶 すべて

上記のとおり、取得価格などに要件があるため注意が必要です。また、内航船舶に関しては取得価格の75%が中小企業投資促進税制の優遇措置の対象となります。

対象のソフトウェア

中小企業投資促進税制では、ソフトウェアも優遇措置の対象です。「一ソフトウェアの取得価格が70万円以上のもの」もしくは、「事業年度の取得価格の合計額が70万円以上のもの」が対象となります。

ソフトウェアの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 経理ソフト
  • 給与ソフト
  • イラストソフト
  • CADソフト
  • ワープロソフト など

ソフトウェアの購入を検討する際は、中小企業投資促進税制の適用対象となるかを税理士などに事前に確認しましょう。

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特別償却と税額控除はどちらがお得なのか

中小企業投資促進税制の優遇措置には「特別償却」と「税額控除」の2種類がありますが、どちらを選択したほうがお得なのでしょうか。

特別償却と税額控除をシミュレーション

特別償却と税額控除どちらのほうが法人税を少なくできるか、以下条件の会社でシミュレーションしてみましょう。

  • 会社の資本金は3,000万円以下(税額控除も選択できる)
  • 本年度に300万円の対象設備を取得
  • 優遇措置適用前の利益が600万円
  • 法人税率は15%
特別償却を適用した場合 税額控除を適用した場合
会社の利益
(優遇措置適用前)
600万円 600万円
特別償却額 90万円(300万円×30%)
会社の利益
(特別償却適用後)
510万円 600万円
法人税額
(税額控除適用前)
76万5,000円
(510万円×15%)
90万円
(600万円×15%)
税額控除額 18万円(300万円×7% or 90万円×20%のうち少ない金額)
最終的な法人税額 76万5,000円 72万円
上記のシミュレーションでは、税額控除を適用したほうが設備の取得年度における最終的な法人税額は少ないです。

さらに、税額控除では翌事業年度に3万円(300万円×7%―90万円×20%)の税額控除を繰り越せます。

特別償却は経費計上の前倒し

特別償却は、経費計上の前倒しです。最終的な減価償却の金額は、通常の減価償却をした場合と変わりません。

そのため、資金繰りが厳しく直近の法人税の支払いをできるだけ減らしたい事業者は、特別償却を検討してみてもいいかもしれません。ただし、条件によっては税額控除のほうが取得年度の法人税を減らせる場合もあるので事前に税理士に相談してみてください。

節税したい場合は税額控除がおすすめ

節税をしたい人は、税額控除がおすすめです。取得価格の7%を直接法人税から控除できます。

直近の資金繰りが厳しいなどの条件がない限りは、税額控除を利用したほうがお得な場合が多いでしょう。ただし、資本金が3,000万円を超える法人は税額控除を利用できないため注意してください。

中小企業投資促進税制の申請方法

中小企業投資促進税制の利用に、特別な申請は必要ありません。確定申告時に必要事項の記載と必要書類の提出をおこなえば、優遇措置の適用が可能です。

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中小企業投資促進税制の必要書類

中小企業投資促進税制の適用にあたって、確定申告時に必要となる書類を解説します。

特別償却を利用する場合

特別償却を利用するために、確定申告時に必要となる書類は以下のとおりです。

法人の場合

  • 特別償却の付表
  • 適用額明細書

個人事業主の場合

  • 特別償却に関する明細書

それぞれの書類については、国税庁のHPから雛形をダウンロードできます。

税額控除を利用する場合

税額控除を利用するために、確定申告時に必要となる書類は以下のとおりです。

法人の場合

  • 適用額明細書
  • 別表

個人事業主の場合

  • 明細書

個人事業主は、対象設備を購入したことがわかる明細書があれば税額控除を受けられます。

中小企業投資促進税制を利用する際の注意点

中小企業投資促進税制を利用する際の注意点を3つ紹介します。

本当に必要な投資かを再確認する

注意点1つ目は、本当に必要な投資かを確認することです。中小企業投資促進税制は法人税を節税できる便利な制度ですが、購入を検討している設備が本当に事業に必要かを見極めましょう。

節税に便利といっても、購入しないほうが最終的な利益は多く残ります。中小企業投資促進税制を利用するために、不必要な設備を購入しないように注意してください。

最新の制度内容を確認する

注意点2つ目は、最新の制度内容を確認することです。

中小企業投資促進税制は、期限を迎える度に延長と制度内容の改正を繰り返しています。そのため、適用を検討する際は最新の制度内容を確認しましょう。

税理士に相談する

注意点3つ目は、税理士へ相談することです。

「購入する設備は中小企業投資促進税制の対象となるのか」、「特別償却と税額控除のどちらを選択すべきか」、「今年度と来年度どちらで購入したほうがお得か」などを税金の専門家である税理士に相談してみてください。

複雑な税金の計算は税金のプロである税理士に任せたほうが、確実な判断と手続きをおこなえます。

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中小企業投資促進税制以外に利用を検討したい制度

中小企業投資促進税制以外にも、中小企業などが利用を検討したい制度を3つ紹介します。

中小企業経営強化税制

1つ目は、中小企業経営強化税制です。

中小企業等経営強化法の認定を受けた事業者が対象設備を取得する際に、即時償却または取得価格の10%の税額控除がおこなえます。中小企業投資促進税制よりも優遇措置の内容が手厚いため、ぜひ利用を検討してみてください。
※別途手続きが事前に必要になりますので、ご検討はお早めに。

中小企業防災・減災投資促進税制

2つ目は、中小企業防災・減災投資促進税制です。

自然災害の事前対策を目的に取得した設備を対象に、取得価格の18%を特別償却できます。防災や減災を検討している企業は、ぜひ利用を検討してみてください。

中小企業向け賃上げ促進税制

3つ目は、中小企業向け賃上げ促進税制です。

給与等支給額が前事業年度とくらべて1.5%以上増加した場合に、給与支払増加額の15%を法人税または所得税から控除できる制度です。賃上げを考えている場合、ぜひ本制度を利用してみてください。

まとめ

中小企業投資促進税制は、設備投資をおこなう企業を支援する制度です。設備投資をおこなう際は、忘れずに適用しましょう。

ただし、特別償却と税額控除のどちらを適用すべきか、どのタイミングで購入したほうがいいかなど、判断が難しい場合もあります。

決断に悩む場合は、ぜひ税理士にご相談ください。税金のプロである税理士が最適な適用タイミングと適用方法を案内します。

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このコラムの著者 : 曽根 詩央里

1990年岐阜生まれのB型。 中京大学・大学院に在学中、大原専門学校に通い税理士講座を受講。 大学院卒業後、SMC税理士法人に入社。 実務経験を積み、2017年税理士登録。現在税務の他、先行経営(MAS監査)を通じてお客様の経営支援を行っている。

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