0120-459-964 営業時間:9:00~18:00【土、日、祝日除く】

【コロナ禍】緊急時の経営対応は何をすれば良いのか

経営計画でコロナを乗り切れ

投稿日:2020年08月02日

更新日:2023年03月17日

経営者が知っておくべき「利益とキャッシュの最大化」セミナー

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

新型コロナウィルスの影響で売上が半減し、休業せざるを得なかった企業もあったことでしょう。

そんな状況をなんとか乗り越えながら新しいビジネススタイルを試してはいるが、今期は最終的に赤字決算になってしまうであろう企業も多いのではないでしょうか。

緊急時に効果的な中期経営計画と単年度経営計画の作成順

平常時の経営計画

例えば9月決算法人の場合。

通常はまず9月中にワクワクする夢目標である「中期経営計画(5ヶ年計画)」を立てます。
そしてその5年後の目標に到達するために、1年目は具体的に何をすれば良いのかを毎月の数値計画に落とし込み、実行可能な高い目標である「単年度計画」を作成します。
中期目標というワクワクする大きな目標があるため、1年目の計画が具体的になります。

よって、中期経営計画 → 単年度経営計画の順番に作成することにしています。

緊急時の経営計画

最近の厳しい現状の中、社長からこんな言葉を聞くことが多くなりました。
「中期経営計画の重要性は分かるが、今5年後をイメージするのはむずかしい。
来期どうなるのか分からないのに、5年後のワクワクする夢目標は考えられません」
まさにその通りだと思います。

今が厳しく先が見えない状況で5年先を見るのは、さすがに難しいと思います。
この場合は、単年度計画から作成するということをお奨めしています。

先が見えず、打つ手も浮かばない状況で売上が下がったとしても、経費を徹底的に削り、今までとは違う売り方や商品を試しながら、なんとか黒字にする。そんな単年度計画を作成します。
実際に単年度計画から作成された社長は、資金が持ち、若干でも利益が出るような計画ができた瞬間に、アフターコロナでも十分に耐えられるビジネスモデルにより大きく成長した5年後のイメージが沸いてきたそうです。

「利益剰余金」と「内部留保」の違いと内容を簡単に解説

5年後のワクワクするイメージ

厳しい現実で何もイメージできなかった社長の思考が、単年度計画でなんとかやっていける道筋が見えると、その延長線上にある5年後もイメージできるようになることは多くあります。
社長自身が将来のビジョンやイメージを持てなくなると、さらに経営を続けていくのが苦しくなるでしょう。そうならないためにも、単年度経営計画で足元を固め、その上で中期経営計画を作成するという順番で計画を作成し、今を乗り切って欲しいと思います。

緊急時にはキャッシュの手持ちが必要

みなさん、お手元のキャッシュは十分にありますか?
新型コロナウィルスの影響で、経済が止まり、売上は半減し、休業もやむを得ないという状況に陥っている企業が多く出ています。
こういった大きな状況変化が起きた時、どのような対策をとれば良いでしょう。

答えは、できる限りキャッシュを増やすことです。

キャッシュを増やす3つの手段

企業がキャシュを増やす手段は3つしかありません。
一つ目は金融機関からの借入です。この方法で調達した資金は、当然ですが返済する必要があります。
二つ目は出資による調達。こちらは返済する必要はありませんが、中小企業の場合、出資を受ける相手には限度があり、無限にキャシュを増やすことはできません。

三つ目が利益によって増やすことです。利益を出してキャッシュを増やす方法は、返済の必要もありませんし、無限に増やすことができます。すなわち、キャッシュを増やす最も優れた手段は利益を出すことなのです。企業が利益を追求するのはこのためです。

企業が利益を出し続けるために最も重要なツールが経営計画です。
利益を出すための高い目標を立て、計画と実績を比較し修正行動を繰り返すことにより利益を出し、キャッシュを増やして強い会社になる。これが計画経営の醍醐味です。
ここまでは平常時のキャッシュの増やし方です。

緊急時のキャッシュの増やし方

ところが現在は状況が違います。売上が半減し、雇用を調整しなければいけないような経営状態の中、利益を出してキャッシュを増やすことは難しいでしょう。
現在は緊急時です。
緊急時のキャシュの増やし方は、金融機関から融資を受けて資金を調達する方法です。

現在はコロナ対策の特別貸付として、日本政策金融公庫や銀行などの金融機関から、借りやすく負担も少ない融資が続々と出てきています。
金融機関等で可能な限り借りることで手元のキャッシュを確保する。緊急時の中小企業が生き残るための最も大切な方法なのです。

経営者の中には「すでに十分にキャッシュはあり、2ヶ月ぐらいは売上が止まっても問題ないので、借入しなくても大丈夫。」と話される方がいらっしゃいます。
本当に2ヶ月で終わるのでしょうか。

今回のコロナ禍は収束の時期が全く見えません。キャッシュを持っている企業だけが生き残るのです。
緊急時は、借入によりキャッシュを増やす対策を行いましょう。

企業において最も大切なのはキャッシュであり、その調達方法として、平常時は利益を出すことであり、緊急時は借入により手元資金を増やしておくことです。

役員借入金による資金調達のメリット・デメリットと返済以外の解消方法について解説!

緊急時の経営計画修正

平常時に立てた単年度経営計画はあっても、新型コロナウィルスにより売上は下がり雇用も調整しなければいけない状況であれば、当初計画の下方修正が必要になります。
今回は緊急時における単年度経営計画の修正の仕方についてお話します。

平常時において、当初計画を下方修正する場合

平常時に当初計画を下方修正する場合、ポイントはやはり利益です。
売上が減少しても、生産性の向上による粗利の改善、人件費のコントロール、経費の削減等の見直しを行い、最終的に利益を確保できる計画に修正します。

緊急時において、当初計画を下方修正する場合

一方、緊急時の下方修正のポイントは、キャシュの残高です。
売上が半減してしまっている企業も多く、雇用調整や経費カットを検討しても到底プラスにはならないこともあるでしょう。利益が出なくても手元の現預金が確保できているかどうかを重視します。

また売上の減少がいつまで続くのかを予想することも重要です。おそらく2ヶ月や3か月では収まらず、今年いっぱいは今の状態が続くことを前提に計画を修正しておいた方が良いでしょう。

緊急時の赤字計画

下方修正により大きな赤字計画になるかもしれませんが、緊急時においてはそれも仕方ありません。
計画を立てることで、どれほどマイナスになるのかというリスクを予め見ておくことです。
そして資金がいつまで持つのかを知ることが最も重要なのです。

緊急時の借入による手元資金の例

具体的に、緊急時の借入による手元資金をみていきましょう。(単位万円)

追加借入をしない場合

上記の表は、修正した単年度計画の経常利益(①)に減価償却費(②)をプラスして、簡易キャッシュ(③)を表示しています。この簡易キャシュがその月に増加するキャシュを意味します。
期首の現預金2,000万円に簡易キャッシュ(③)をプラスし借入の元金(⑤)・税金(⑥)を差し引くと、その月のキャシュ残高(⑦)が計算できる表です。

このままでは、8月までしかもちません。

3,000万円借入をした場合

それでは、5月に3,000万円の借入をしてみましょう。

借入をすることで、12月のキャッシュ残高が1,520万円になりました。
3,000万円ではなく4,000万円借りておけば、さらに安心です。
もちろん借りたからには返済が必要です。しかし借りなければ8月までしかもたないことをしっかり認識し、借入という対策をとることが重要です。

単年度経営計画の修正と借入による資金調達。

この二つが緊急時に行う最も重要な対策です。

大変厳しい情勢が続きます。キャッシュに拘り、この時期を乗り越えていって欲しいと思います。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 経営改善 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

経営者が知っておくべき「利益とキャッシュの最大化」セミナー
    経営
アバター画像

このコラムの著者 : 浅田 和利

SMCグループ (株)SMC総研 経営コンサルタント 1968年大阪府生まれのB型 東京・千葉の会計事務所を経て、2008年SMCグループに入社。 先行経営(MAS監査)を通じてお客様の経営支援を行っている。

無申告はこちら