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会社を潰さないためのキャッシュの見方

2020年05月10日

  • 経営

今回は「会社を潰さないためのキャッシュの見方」についてお話をしたいと思います。

会社が潰れるときはキャッシュが無くなるときです。
キャッシュさえあれば、大赤字が何年続こうと会社は潰れません。

でも、会社の命の元であるキャッシュついて、真剣に考えている経営者は本当に少ないのが現実です。
会社は「何故、売上を増やさなければならないのか?」、「何故、経費を節約しなければならないのか?」・・・。

利益を出すため、と言われるかもしれませんが違います。解答はキャッシュを増やすためです。

「何故、赤字で損失がだめなのか?」赤字になるとお金が減少してしまうからなのです。
「何故、黒字で利益を出さなければならないのか?」それはお金を増やすためなのです。

それではあなたの会社のキャッシュがどのような状況になっているかわかりますか? 殆どの経営者はキャッシュの状況を分かっていません。毎月経営者自らキャッシュフロー計算書を見るのが一番良いのですが、キャッシュフロー計算書を作成していない三流会計事務所にかかっていると、キャッシュの流れを見ることはできません。
そうした事務所は単に税金計算をしているだけで、B/Sを読めないのでしょう。

さらに税金計算しかしていないため、安易に経費が増大する節税提案をしてしまうのです。

さて、話をキャッシュの流れに戻します。拙著「大倒産時代の会社にお金が残る経営」(明日香出版)P21に「破産前の3期分を比べてみれば、キャッシュすなわち現金預金が減少していることがわかります。」とあります。単純に貸借対照表の現金預金の残高を見て、前年より増えたか減ったかを把握するのです。

増えていれば経営は安泰、減り続けているのならば、倒産のリスクがありますので、何らかの手当てが必要となります。こんな簡単なことをやっていない経営者が殆どなのです。

それでは具体的な実践方法の説明をしていきましょう。

まず決算書を5期分用意してください。そしてその5期分の決算書から、現金預金残高だけ抜き出して推移を並べてみてください。

これにより現金預金が増えたのか減ったのかは一目瞭然です。

更に短期借入金と長期借入金の残高も5期分の決算書から抜き出して、推移を並べてみてください。
借入金も増減がわかります。更に抜き出した現金預金から借入金の残高を差し引いてみてください。(以下この数値をネットキャッシュ残高と呼びます。)

会社経営で最も大事なのは、このネットキャッシュ残高をプラスにし、毎期増やしていくことです。

このネットキャッシュ残高がプラスになれば、実質無借金経営と言っても良いでしょう。

次にネットキャッシュ残高が毎期、何故増えたのか、減ったのかを分析してみます。分析するためには、キャッシュフロー計算書を作成しなければなりません。

キャッシュフロー計算書には営業キャッシュフロー・投資キャッシュフロー・財務キャッシュフロー3つの活動のキャッシュフローが掲載されています。ネットキャッシュ残高が増加しているのであれば、この3つのうち、どのキャッシュフローで増加したのかを調べます。ネットキャッシュ残高が減少していたときも同様です。

特に純キャッシュフローが減少した場合には、早急に減少した原因を追究して対応策を実行しなければなりません。

倒産する会社はこの原因追及を怠ったために倒産したのです。そして、幸いにも倒産していない会社でも、この原因追及を実行しないといつ倒産するかもしれませんね。

特に営業キャッシュフローがマイナスの会社は、一刻も早く経営改善をする必要があります。

ここまででネットキャッシュ残高(現預金から借入金を差し引いた金額)の増減と、その原因を探るための3つのキャッシュフロー(営業CF、投資CF、財務CF)の大切さ、さらに営業CFから分かる資金繰り改善方法等、事例を交えてみてきましたが、如何だったでしょうか?

現金預金残高の推移からその原因を調べてみると、いろいろなストーリーがありますね。
ここでよく知っておいていただきたいのは、キャッシュを増やす方法は損益計算書の当期利益と減価償却費だけではなく、資産・負債の増減でも大きくキャッシュが増減するということです。

さあ、復習です。
簡易純キャッシュ増は「当期利益+減価償却費」でしたね。

そしてこの「当期利益+減価償却費」が借入金の返済財源となります。

S社の15期で見てみると簡易純キャッシュ増は「37,359千円+56,432千円=93,791千円」でしたから、損益計算書だけを見ていると93,791千円のキャッシュの増加だけですが、実際には資産の増減、負債の増減があります。

S社

設備投資をすれば、資産が増加してキャッシュが減ります。売掛金が増加すれば、現金化が遅れる分キャッシュが減ります。

ここで教訓です。
受取手形、売掛金、棚卸資産、有形固定資産(設備投資)が増えれば現金預金が減少しますが、S社のように受取手形などの資産が減少することで現金預金が増えましたね。同様に、売掛金も棚卸資産が減少すれば、現金預金は増えるのです。

一方、負債をみてみましょう。

借入金が減れば、返済することにより現金預金は減少しますね。つまり買掛金や借入金が減少すれば現金預金が減少し、買掛金や借入金の残高が増えれば、現金預金は増えるのです。

上記の通り、損益計算書だけを見ていては現金預金、つまりキャッシュの動きは正確にはわからないのです。
同時に資産・負債の増減にも目を向けていないと、その動きは理解できないのです。

まとめてみましょう。現金以外の資産が増加すれば現金預金は減少し、減少すれば増加します。一方、負債が増加すれば現金預金は増加し、負債が減少すれば現金預金は減少します。

特に借入金の減少、つまり借入金の返済金額には要注意です。

借入金の返済財源は簡易純キャッシュ増である「当期利益+減価償却費」です。
S社の事例で見てみると、第13期は当期利益6,267千円と減価償却費43,605千円の合計の簡易純キャッシュ増は49,872千円なのに、借入金を54,272千円返済しています。

つまり簡易純キャッシュ増で借入金を返済できず、現金預金は減少してしまいました。やはり、簡易純キャッシュ増で借入金の返済金額を必ず賄うようにしましょう。

経営者の皆さん、決算書は損益計算書の利益だけでなく、現金預金すなわちキャッシュの増減も見るようにしましょう。
そしてその増減の原因となるキャッシュフロー計算書および貸借対照表も、重要な経営判断のツールとなってくれることでしょう。

PROFILE

曽根 康正

曽根 康正

SMCグループ代表、1959年(昭和34年6月8日)に岐阜県多治見市で生まれる。 「社外重役の立場から専門能力を発揮し中小企業を支援する」 というグループ経営目標のもと、東海エリアにおいてNo.1の会計事務所を目指す。

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