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資金繰りを悪化させる「利益=キャッシュ」の勘違いをなくそう

資金繰りを悪化させる「利益=キャッシュ」の勘違いをなくそう

投稿日:2018年06月30日

更新日:2023年05月31日

経営者が知っておくべき「利益とキャッシュの最大化」セミナー

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

みなさんは、ご自身の会社の利益を見たことはありますか?
利益が出れば“キャッシュ”が増えると思っていませんか?

「利益=キャッシュ」、つまり利益がでれば“キャッシュ”が増えると勘違いされている方が多くいらっしゃいますが、利益が出ることとキャッシュが増えることは全く違います。

利益とは相対的な真実で、キャッシュとは絶対的な真実です。
利益とは計算上の数値でしかなく、目に見えるキャッシュとは大きく異なります。

今回は、その利益とキャッシュの違いについて説明をしていきます。

定額法と定率法

機械などの資産は、購入段階に費用計上すべきものではなく、資産を使用される期間にわたって費用を配分して計上する必要があります。
この減価償却には、定額法、定率法、生産高比例法の3つの方法があります。
資産によって2つ以上の方法が利益計算の際に認められています。

例えば、機械を購入した場合には、一般的には定率法となりますが、届出をすることで定額法により減価償却を行うことができます。

そのため、同じ資産でも、定額法によって計算された減価償却費と定率法で計算された減価償却費のどちらも、会計の仕組み上、認められた正しいものとなります。

例として具体的な減価償却費を計算してみましょう。

株式会社SMC商事
第2期 4月1日~3月31日

機械装置X を第2期4月1日に取得
耐用年数5年
取得価額1,000,000円
定額法償却率0.20
定率法償却率0.40

この場合の第2期 4月1日~3月31日の減価償却費は
A 定額法 1,000,000×0.20=200,000
B 定率法 1,000,000×0.40=400,000
となります。

パターンAの定額法では減価償却費の金額が200,000円となり、パターンBの定率法では400,000円となりますが、どちらも正しい計算方法で計算されているため、どちらの金額になるかは会社の意思次第で変わります。

限界利益にこだわった経営計画の作り方

選んだ償却方法によって利益が変わってくる

同一の資産であっても、選択する償却方法により、定額法によって計算された減価償却費が800円、定率法によって計算された減価償却費が1,500円と言ったように、金額が違っていても、どちらも正しい計算により算出し計上された利益ということになっています。
そのような場合には、次のように利益とキャッシュの違いが出てきます。

たとえば、

株式会社SMC商事
第2期 4月1日~3月31日の利益を考えてみましょう。
パタ-ンAは定額法を選択した場合、パタ-ンBは定率法を選択した場合とします。

商品の売上 5,000円
商品の売上原価3,000円
A 定額法による減価償却費 800円
B 定率法による減価償却費 1,500円
この場合のAとBの利益はどうなるでしょうか。

ちなみに利益の計算方法は、売上-(売上原価+経費)となります。ここでいう経費は減価償却費以外にはないものとします。
A 5,000円-(3,000円+ 800円)=1,200円
B 5,000円-(3,000円+1,500円)= 500円

パタ-ンAの場合は、商品を3000円で買ってその商品を5000円で売りました。そして、減価償却費を定額法で800円計上しました。売上5000円から売上原価3000円と減価償却費800円差し引いて、利益が1200円となります。

パタ-ンBの定率法で計算した場合には売上が5,000円で、売上原価が3,000円で、減価償却費が1,500円になりますので、売上5,000円から売上原価3000円と減価償却費800円差し引いて、利益が500円となります。

このように償却費の方法によって利益が全く違ってきます。

つまり利益は、現在の会計の利益計算の枠組みにおける計算上の数値でしかなく、どちらの減価償却方法をとっても正しいものといえます。相対的な真実といえるわけです。

利益計算についてはお分かりいただけたでしょうか?

キャッシュの増加

では次に、キャッシュの増加を見てみましょう。

この株式会社SMC商事は、商品を5,000円で売ったことにより5,000円のキャッシュが入ってきました。

また、この商品を3,000円で買ったことにより3,000円のキャッシュが出ていきました。
つまりこのSMC商事の第2期のキャッシュの増加は、現金が入ってきた(売上)5000円-現金が出ていった(仕入)3,000円=2,000円が増加したということになります。
この2,000円の増加は減価償却費に関係しない絶対的な真実といえるわけです。

利益とキャッシュの比較をしてみましょう。
パターンA 利益は1,200円 キャッシュの増加は2,000円
パターンB 利益は 500円 キャッシュの増加は2,000円

限界利益にこだわった経営計画の作り方

まとめ

利益はあくまでも、計算上の数値。
利益とは、目に見えないもので計算上の数値でしかありません。

それに対してキャッシュは目に見えるものであり、利益の計算によってキャッシュの増減を把握することはできないことがわかります。

「利益計算=キャッシュの計算」、「利益=キャッシュ」とはならないことがわかったでしょうか?
利益が出ていてもキャッシュが増えていないこともあれば、利益が出なくてもキャッシュが増えることはあります。

利益が出たからといって安心はできません。

キャッシュがなくなれば会社はつぶれます。
会社の事業継続のためにも、利益とキャッシュは違うものであり、利益の増加とキャッシュの増加は全く異なるものであることを意識していくことが重要です。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 経営改善 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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このコラムの著者 : 菱刈 満里子

大学卒業後、大手証券会社、文部科学省研究室秘書等を経験後SMC税理士法人に入社。 会計・税務業務に13年間携わった後、経営計画を中心とした未来経営に軸足を移す。 のべ150社以上の経営計画を作成、経営支援を行っている。

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