大企業で話題になる内部留保、企業の貯金に思えるけれど現預金残高と何が違って問題なのか? | 名古屋の税理士ならSMC税理士法人

TOP>経営のヒケツ>大企業で話題になる内部留保、企業の貯金に思えるけれど現預金残高と何が違って問題なのか?

大企業で話題になる内部留保、企業の貯金に思えるけれど現預金残高と何が違って問題なのか?

2022年03月03日

  • 経営

近年、大企業の内部留保がニュースで取り上げられることも増えてきました。
「内部留保せずに、その資金を従業員の給与・投資家への配当金に回せ!」といった声も挙がっています。
内部留保は個人でいう貯金みたいなものです。
この記事では、内部留保とは何か・内部留保の問題点や内部留保のメリットなどを解説しています。この記事を読むことで、内部留保の本質的な意味を把握できるようになるでしょう。
自分自身の内部留保への考え方も変わるかもしれません。ぜひとも参考にしていただけたら幸いです。

そもそも内部留保って?

内部留保とは「当期純利益(損益計算書)のうち配当金に回されない部分」を指します。
つまり「最終的に余ったお金」とも言えるでしょう。また内部留保は貸借対照表では「純資産の利益剰余金」の部分になります。
「損益計算書の当期純利益=貸借対照表の利益剰余金」となるため、利益を出し続けていれば年々内部留保(利益剰余金)は増えていきます。
注意点として、内部留保に含まれるのは現金だけではありません。株や有価証券の含み益、不動産や土地なども内部留保に含まれます。
「現金=内部留保」ではないのです。

企業の内部留保は年々増えている

財務省によると、企業の内部留保は2020年末で484兆円3648億円(前年度比2.0%増)だったそうです。
(参照元:企業の内部留保、9年連続で過去最高更新…前年度比2%増の484兆円 : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン )
2012年以降、9年連続で過去最高を更新しています。2020年はコロナの影響で売上高1362兆4696億円(▲8.1%)、経常利益は62兆8538億円(▲12.0%)と大きく下げましたが、内部留保は増える結果となったのです。

大企業の内部留保が話題・問題になる理由

大企業の内部留保が問題になっているのは「従業員の給与や投資家への分配金に回すべきだ!」との声が、政治家・評論家から挙がっているからです。
現在内部留保は、企業の成長や海外への投資に使われることが増えています。
つまり給与が上がらないことで消費が減退し、さらには日本経済の停滞につながることから、内部留保が話題になったり問題視されたりしています。

内部留保を取り崩して給与を上げるのは不可能

ただ、内部留保を取り崩して給与を上げるのは、実質的に不可能です。そもそも給与は自社の売上金額から支払われるものです。
内部留保を使って給与を上げることはできません。もっとも、大幅に給料を上げ利益を減らして当期純利益を赤字にすれば、内部留保は減るでしょう。
それは内部留保で賃上げしたことになりませんし、そんなことを受け入れる企業もあるはずがありません。

企業が内部留保を積み上げるメリット3つ

企業が内部留保を積み上げるメリットとして、下記の3つが挙げられます。

  • 設備投資など企業の成長に活用できる
  • 企業の信用力につながる
  • 万が一にも備えられる

1つずつ見ていきましょう。

メリット①「設備投資など企業の成長に活用できる」

内部留保は設備投資や新規事業など、新しい取り組みを行いたいときに活用できます。
つまり、企業の成長のために資金を費やせるということです。
企業が新しい分野への投資を行うとしても、その投資が必ず成功するとは限りませんが、内部留保を多く積み上げていれば、攻めの投資もしやすくなります。
企業として成長を続けるためにも、内部留保の多寡は非常に重要な要素となってくるのです。

メリット②「企業の信用力につながる」

内部留保は企業の信用力にも直結します。
例えば銀行から融資を受ける際、利益を積み立てている企業(内部留保が多い企業)は銀行から好印象です。
なぜなら「利益を安定して出し続けている=貸倒れのリスクが低く、安心して融資できる」からです。
新しい取引先や得意先と契約を結ぶ際も、信用力が高ければ高いほど契約は結びやすくなります。
どの企業も安定している会社と取引したいですからね。

メリット③「万が一にも備えられる」

内部留保は万が一のときに備えることもできます。
例えば新型コロナでは経済が停滞し、飲食業界や観光業界は大打撃を受けました。
いくら売上が減少して利益が減ったとしても、従業員の給与や家賃代は払い続けなければなりません。
そういった状況下で企業を支えてくれるのが、利益の積み上げである「内部留保」です。
内部留保を積み上げていくことにより、強固な経営基盤を作成できます。

そもそも内部留保は悪いものではない

この記事では、内部留保とは何か・内部留保の問題点や内部留保のメリットなどを解説しました。
そもそも内部留保は悪いものではありません。
1つの企業が懸命に稼いだ結果、内部留保(利益剰余金)になるので、それをどう使おうが企業の勝手です。
確かにマクロ経済の視点から見れば、消費活動の減退・日本経済の停滞につながるでしょう。
しかし万が一の際に体力がなければ、企業は倒産してしまい、従業員を雇うことさえできなくなります。
このように内部留保は深い問題であり、取り扱いは非常に検討する必要があります。
もし自社の内部留保の取扱いに悩んでいるのならば、一度税務のプロである税理士に相談してみても良いでしょう。
この記事が少しでも参考になったなら幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

PROFILE

菱刈 満里子

大学卒業後、大手証券会社、文部科学省研究室秘書等を経験後SMC税理士法人に入社。 会計・税務業務に13年間携わった後、経営計画を中心とした未来経営に軸足を移す。 のべ150社以上の経営計画を作成、経営支援を行っている。

お問い合わせ

オンライン相談

オンライン相談 受付中 詳しくはコチラ

税理士切り替えをお考えの方 こちらをクリック