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資金ショートを防ぐための注意点とは

資金ショートを防ぐための注意点とは

投稿日:2019年04月21日

更新日:2022年12月21日

経営者が知っておくべき「利益とキャッシュの最大化」セミナー

この記事を読むのに必要な時間は約 11 分です。

資金ショートする決算書の共通点

私たちが会社の決算書を見るとき、最初にチェックするところはどこだと思われますか。
売上高? 役員報酬? 経常利益? いいえ違います。
借入金の金額? そうでもありません。

実は「現預金」なのです。

この現預金が少ない会社には共通点があります。

(貸借対照表)

  1. 短期貸付金がある。
  2. 不明な勘定科目がある。(仮払金、立替金、仮受金など)
  3. 長期前払費用がある。
  4. 売掛金と買掛金のバランスが悪い。
  5. 未払金が多い。
  6. 必ず借入金がある。
  7. 繰越利益がマイナス。

(損益計算書)

  1. 役員報酬が少ない。
  2. 接待交際費が多い。
  3. 交通費が多い。
  4. 保険料が多い。
  5. 営業利益がマイナス。

上記のようになるのはなぜでしょう?そうなるには理由があるからです。
それでは貸借対照表の科目から順番にみていきましょう。

共通点1 短期貸付金がある。

キャッシュが少ない会社の多くは役員報酬を抑えているため、十分な生活費がなく、どうしても会社から借りることになります。借りているという意識がないことも理由の一つです。
また現金出納帳をつけていないために支払った経費が計上されず、なくなったお金は役員へ貸付け、という会計処理にせざるをえません。こうした会計処理でどんどん役員への貸し付けが膨らんでいませんか?

共通点2 不明な勘定科目がある。

「社長、この仮払金は何ですか?」と聞いて、答えられる社長は非常に少ないです。仮払金、立替金、仮受金というのは、なるべく早く清算するのが原則です。それをそのままにしている会社は、間違いなくキャッシュを大切にしていません。

共通点3 長期前払費用がある。

長期前払費用は、銀行から借り入れをするときに支払う「信用保証料」であるというケースが多いです。
これは銀行がお金を貸すのを躊躇した結果です。一概には言えませんが、信用保証料を支払っている会社は、銀行に信頼されていないかもしれませんよ?

共通点4 売掛金と買掛金のバランスが悪い。

まず売掛金より買掛金の金額が多い場合。
通常の商売は、商品を仕入れてから販売します。商社のように在庫を抱えなくてはならない場合は、在庫が増えて買掛金が多くなることもあります。
しかしこの状態が恒常的に続けば、常に支払いの資金が要ることになり、売掛金が入金されても買掛金を支払えないということにもなりかねません。
一方、売掛金が買掛金よりかなり多い場合も注意が必要です。

なぜなら、売上が増えてもキャッシュが入ってきていないからです。これは成長企業によくあるケースです。あるいは売掛管理・入金管理を怠っている会社もこのパターンになります。

共通点5 未払金が多い。

未払金が多い、ということは未だ支払っていないわけです。中には社会保険料の未払い、税金の未払い、というケースもあります。毎月恒常的に未払金が計上・支払されていればよいのですが、未払金が滞留している会社は、やはり資金繰りが苦しい会社です。

共通点6 必ず借入金がある。

現預金がない会社は、言うまでもなく必ず借入金があります。間違いありません。
問題は借入金があることではなく、毎年いくら借入金を返済しなくてはならないか、ということです。
キャッシュがない会社は、利益と返済のバランスを考えないで、「これぐらいなら返せそう」「なるべく支払利息を払いたくない」という借り方をしてしまいます。
1年内に返済しなければいけない借入金より利益を大きくしなければ、キャッシュは減り、返済が膨らむ、という負のスパイラルに陥ります。

共通点7 繰越利益がマイナス。

貸借対照表の右下、繰越利益がマイナスになっている会社にも共通点があります。
「税金を払いたくない」というスタンスで経営を行ってきた会社、或いは赤字が続いている会社です。
言うまでもなく、会社を改善するには利益を出し続けるしか方法はないのです。

共通点8.役員報酬が少ない。

残念なことに、現預金が少ない会社は役員報酬が少ない傾向にあります。
中には役員報酬を多額にとって、意図して赤字にしているような会社もありますが、そうした会社は税金を支払う時に、会社のキャッシュがなくて借り入れをしたり、役員が会社に資金を入れたりしなくてはならなくなることもあります。
経営者になったからには、役員報酬をしっかりとれる会社にしたいものです。

共通点9.接待交際費が多い。

接待交際をするな、と言っているわけではありません。多いのです。
会社の経費だからといって、無用な接待交際をしてはいませんか?
趣味のゴルフを接待と混同してはいませんか?
驚くほど接待交際費が少なかった会社を見たことがあります。その会社は毎年10,000千円以上の利益を出し続けている素晴らしい経営内容の会社でした。その会社の社長さんのお言葉が「これは私が好きで飲みに行った食事会です。ですから自分の小遣いで支払います」。
お見事でした。

共通点10.交通費が多い。

交通費が多いのにも理由もあります。遠方の仕事も受注してしまっているケースがそれです。
遠方の仕事をするときには、往復の交通費や宿泊費はもちろん、その移動時間の人件費まで考えることが必要です。移動時間は経営の一番の「ムダ」ではないでしょうか。

共通点11.保険料が多い。

なぜか無駄な保険に加入しているケースもよく拝見します。そもそもお金があれば保険は必要ありません。お金がないので「万が一」の場合に保険に加入するのです。
また節税のしすぎで保険が多いこともあります。確かに企業防衛として保険は重要です。必要な保険を必要なだけかけるように診断してもらいましょう。

共通点12.営業利益がマイナス。

現預金がない会社は、やはり経営がうまくいっていません。営業利益がマイナスということは、一生懸命売上を作って、従業員を採用して教育して給料を払って、経営のために経費を払って、1年間経営をしてきたのに赤字なのです。これはどうすれば黒字になるのかを考えるしかありません。
経営者は赤字にするために経営をしていないハズです。一生懸命考えていらっしゃると思います。
それでも行き詰ったときには、第3者の目を借りることも必要ではないでしょうか。

「数字は行動の影」です。行動が変われば数字が変わり、数字が変われば現金が増えます。

どんな会社も改善していく道筋があります。
正解は分かりません。考えて行動して正解に近づいていく、それが経営なのでしょう。

資金繰りの基本。会社にお金が残らない本当の理由とは

資金ショートしそうになった場合の対策

資金ショートする原因と対処法についてはご存じと思いますが、経営をしていれば資金ショートすることもあります。特に起業して数年間は、資金が苦しいのではないでしょうか。
資金の調達方法は3つしかありませんでしたよね?

  1. 借入金
  2. 資本金
  3. 利益


利益を増やすのは、一朝一夕では難しい。資本金を入れるお金もなければ入れてくれる人もいない。だったら「借入金」しかありません。
「借入金」という調達方法の中には、買掛金や未払金も含まれます。
しかし、取引先への支払いを滞らせてはいけません。資金がないからといって支払いを遅らせれば、信用という、商売で一番大切なものを失うことになってしまいます。

税金や社会保険の未払金も同様です。特に消費税や社会保険の未払いのペナルティは大きいです。なぜなら「人から預かっているお金」だからです。

ではどうすればいいのでしょうか?

当然ですが、何よりもまず売上を上げる努力をして下さい。次に換金できそうなもの、或いは無駄な経費を探して下さい。そしてお金を貸してくれる金融機関を探して下さい。
ただし、この状態で貸してくれる金融機関はあまりないと思った方がいいでしょう。

弊社のお客様の30名の社員を雇用している経営者様でも、創業して間もないころ、月末に支払うお金がなくて取引先に頭を下げに行った方もいらっしゃいます。銀行に行っても相手にしてもらえなかった、思い返しても本当に苦しい時代だったとおっしゃいます。
後になって振り返ってみれば、お金がショートするという未来が見えていれば、その前に対処が出来たことでしょう。金融機関にせよ、親類縁者にせよ、取引先にせよ、その先にお金が入ってくるという保証がなければ、貸してくれることはありません。

この社長は仕入先と懇意にしていたので、この危機を乗り越えました。社長のお言葉を借りれば、創業して大切にしなければいけないのは「仕入先とネットワーク」だそうです。

一番怖いのは未来が見えない事です。ですから予めリスクを見ておくことをおススメします。

予め資金ショートが分かれば、事前にお金を借りることもできるでしょう。
予め資金ショートが分かれば、必死に営業活動をするでしょう。
未来の売上や利益が見えなくても、投資によるリスクや、売上減少による資金ショートは見ることができます。

資金ショートのリスクを見極める

資金ショートしてから慌てて金策に走る。お金がなくなってから売上や経費を見直す。
これでは常に不安と隣り合わせの経営です。これは意外と、経営が上手くいっていた経営者に多いです。
特に何をしなくてもお金が回っていたので、その時はそれで良かったのでしょう。人間万事塞翁が馬。私たちは上手くいっているときこそ、未来のリスクを見ることをおススメしています。

皆さんの会社では、売上が10%下がることはありますか?
月の売上が1,000千円下がることはありますか?
このような質問を経営者に投げかけると、殆どの方が「あります!あります!」とお答えになります。

では、売上が10%下がると、3年後のキャッシュはいくらになっていますか?

これは私たちでも直ぐには答えられません。
売上や経費だけでなく、売掛金の回収サイト、借入金の返済、保険積立金の支出、在庫増減、税金の支払い等、キャッシュの増減にはさまざまな取引が関係してきます。
売上が下がったときだけではなく、売上が上がったことによりキャッシュがなくなってしまうケースだってあるのです。

ですから、経営者であれば必ず資金ショートのリスクを予め見て欲しいのです。

キャッシュがなくなる理由を把握することが大事

また、資金ショートしないほど資金が十分あれば大丈夫なのでしょうか。そうでもありません。
ある会社の経理の方が「以前は60,000千円ほど通帳にあったのですが、ここ数年で20,000千円程になってしまっています。弊社は大丈夫なのでしょうか?」と、相談にいらっしゃったこともあります。
キャッシュがなくなっていれば、その理由をしっかり把握しておくことです。

将来のために先行投資として人を採用したのかもしれません。新製品のための在庫を仕入れたのかもしれません。いずれにしても、将来利益をもたらすキャッシュアウトであれば問題ありません。
こちらも「未来のリスク」を見た上での投資でなくてはなりません。

経営者であれば、必ず将来のリスクを考える、或いは数字で見るクセをつけましょう。
数字で見ることにより、借入の時期、投資や採用の決断ができます。

私たちはお客様の会社の未来のシミュレーションを何度もします。
人を採用したからといって売上が増えるわけではありません。その時にお金がどうなってしまうのか。
採用することによって労働分配率や労働生産性が適正でいられるのか。

シミュレーションにより、採用を1年伸ばしてもらうこともあれば、借入をして採用することもあります。全ては未来のリスクを数字で見たからこそ出来る行動です。

必ず未来の資金ショートのリスクを予測すること

採用することも借り入れをすることもカンタンです。しかしキャッシュがなくなってしまったら経営をしていけません。必ず未来の資金ショートのリスクを見るようにしましょう。
現在のままで5年間同じような経営をしたら、或いは売上が5%下がっただけでキャッシュがどうなるのか、一度シミュレーションをしてみませんか?
絶対おススメです!

資金ショートする社長の特徴、キャッシュが溜まる社長の特徴

資金ショートに陥る2大要因と対策

例えば創業の方が、自己資金300万円を貯め、日本政策金融公庫で200万円の資金調達し、事業をスタートさせたとします。
金利は2%、返済期間は2年です。営業用の中古車を40万円で調達し、1,000円の商品を4,000個仕入れ、お客様へ1,500円で3,000個売上げ、経費も100万円かかりました。
さて、利益はいくらでしょう? ※中古車の減価償却費は20万円とする。

この取引を損益計算書で表すと以下のようになります。
売上     450万円
売上原価  △300万円
経費    △100万円
減価償却費 △ 20万円
支払利息  △ 4万円
経常利益    26万円

利益が26万円ありますが、キャッシュは増えているのでしょうか?
スタートのキャッシュは自己資金と借入を合わせて500万円でしたよね。

現金     300万円
借入     200万円
中古車   △ 40万円
仕入    △400万円
売上     450万円
経費    △100万円
返済・利息 △104万円
手持ち現預金 306万円

えええ~!利益が出ているのに、キャッシュは減ってしまっている?!
これでは次の仕入もできません・・・。
しかもこの売上が掛け売上だったら、450万円も入金されていない恐れもあります。
その場合は、既に資金ショートに陥っているのです。
何が原因なのでしょう?

借入金額が少ない

小売業、卸売業、建設業など、在庫を持たなければならない事業、先にキャッシュが必要な事業の場合、どうしても仕入と売上の時間の差が出来てしまいます。在庫や未完成現場の費用を十分立替えておけるような資金を調達しましょう。

返済期間が短い。

例の場合、返済期間を2年にしています。できれば5年、7年にしてもらいましょう。返済金額を圧縮することです。少しでも早く返済した気持ちはわかりますが、手元にキャッシュがあることの方が重要です。或いは事業が軌道にのる半年程、返済のスタートを遅らせてもらうケースもあります。

上記を参考に、借入額を300万円にして返済期間を7年(金利3%)にしてみたらどうでしょう?

現金     300万円
借入     300万円
中古車   △ 40万円
仕入    △400万円
売上     450万円
経費    △100万円
返済・利息 △ 52万円
手持ち現預金 458万円

150万円のキャッシュが増えたことで、資金に余裕が出来たことが分かります。

上記2つの対策の他、さまざまな方法はあります。仕入と売上をもっと増やす、売上の値段を上げて粗利額を増やす、在庫を持たなくてもいいような事業形態にする、経費を少し削減する、仕入の支払を遅くする、売上の回収を早める等、会社ごとに対策は異なるでしょう。いずれにしても着目して欲しいのは利益とキャッシュです。売上を増やすことばかりに一生懸命になる経営者が多いですが、会社に必要なのはキャッシュです。しつこいようですが、資金繰りは重要です。

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このコラムの著者 : 菱刈 満里子

大学卒業後、大手証券会社、文部科学省研究室秘書等を経験後SMC税理士法人に入社。 会計・税務業務に13年間携わった後、経営計画を中心とした未来経営に軸足を移す。 のべ150社以上の経営計画を作成、経営支援を行っている。

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