ストラック図を使った経営計画
2019年09月01日
- 経営
前回のコラムではストラック図を使い、損益計算書を分析してみました。
そしていよいよ今回は、このストラック図を使って1500万円の借入を返済するための売上を逆算していきます。
記のストラック図では、税金を差引いた後の当期利益700万円に減価償却費200万円をプラスした簡易キャッシュ900万円と、一年内返済長期借入金1,500万円を比較し、利益が出ているのにお金が減っていく状態をストラック図でイメージ化してみました。
それでは、一年内返済長期借入金1,500万円を返していくためには、いくら利益を出せばよいのか、いくらの売り上げが必要なのかを計算していきましょう。
前提として、限界利益率は40% 給与分配率は50% その他固定費は3,000万円 減価償却費は200万円とします。
この図がスタートです。右側から逆算していきますね。
1年間で1,500万円の返済が必要な場合、減価償却費200万円と当期利益で1,500万円が必要ですので、目標となる当期利益は1,300万円だと分かります。
当期利益1,300万円は、税金30%(概算)を差し引いた後の金額ですから、
税引前当期利益は、1,300万円 ÷ 70% ≒ 1,850万円 と算出されます。
限界利益のうち、50%を人件費に充てることにした場合、その他固定費3,000万円と税引前当期利益1,850万円の合計4,850万円も、限界利益の50%となります。
限界利益のうち、その他固定費と税引き前当期利益合計が4,850万円で、その締める割合が50%ですので、割り返すと、限界利益の金額が出ます。
その他固定費+税引前当期利益4,850万円 ÷ 50% = 限界利益9,700万円
限界利益率が40%なので、これも割り返すと売上がでますね。
限界利益9,700万円 ÷ 限界利益率40% = 目標売上高2億4,520万円
これが一年内返済長期借入金1,500万円を返していくのに必要な売上です。
このようにストラック図を使えば、簡単に計算することができます。
①給与分倍率を45%に設定すると、売上はいくらになるのか。
②限界利益率を45%に引き上げると売上はいくらで良いのか。
あくまでもシミュレーションですのでいろいろ試してみると良いでしょう。
細かな経営計画を作成する前に、借入を返済するための売上や利益を把握しておくことによって、現実的な実行可能性の高い経営計画を作ることができると思います。
ストラック図は決して難しくないですし、誰でも作ることができます。
みなさんも一度、自社の決算書をストラック図に置き換えて、経営計画のイメージづくりに役立て下さい。
PROFILE

浅田 和利
SMCグループ (株)会計ファクトリー 代表取締役 1968年大阪府生まれのB型 東京・千葉の会計事務所を経て、2008年SMCグループに入社。 先行経営(MAS監査)を通じてお客様の経営支援を行っている。