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個人事業主が開業資金や運転資金を銀行から融資を受ける方法と手順

2022年05月16日

  • 融資

個人事業主の方が銀行から融資を受けるには「銀行にいかに自分自身を信用してもらえるか」という点がポイントとなります。それは開業資金でも運転資金でも同様です。本コラムでは個人事業主の方に知っておいて欲しい融資のポイントを、融資を受ける方法や手順も交えて、元銀行員の中小企業診断士が解説していきます。

  • 個人事業主の方が融資申込前に準備しておくことが分かります
  • 開業資金と事業資金の適切な申込方法がわかります
  • 個人事業主の方がスムーズに融資を受けられるポイントがわかります

1.融資を成功させるためのポイント

銀行は決算書の内容だけで融資判断をしていると思われがちですが、決してそんなことはありません。他の要素も加味して総合的に判断しています。法人でも個人事業主でも、①使い道が適正、②返済可能性、③社長の資質、の3つが主なポイントとなります。(この点についてはこちらのコラムをご参照ください。)
ただ、個人事業主の方特有のポイントがあります。ここからはそのポイントをお伝えします。

①信用情報にキズがないこと

信用情報とは、ローンやクレジット等の利用状況の情報、のことです。銀行は個人の方から融資申し込みがあると申込者の同意を得て信用情報機関に登録している信用情報を確認します。そして支払い遅れや事故情報がないかをチェックします。主だった信用情報機関は以下の3つです。
(ア)全国銀行個人信用情報センター
(イ)株式会社日本信用情報機構
(ウ)株式会社CIC
信用情報に支払い遅れや事故情報があるとほぼ融資は得られないと考えて間違いありません。ローンやクレジットなどの支払いは遅れないようにしておきましょう。ちなみに、ブラックリストは存在しません。こういった信用情報にキズがある=ブラックリスト、と考えられています。

②赤字でないこと

個人事業主の赤字は致命的です。なぜなら、生活費も賄えないとみなされてしまうからです。
個人事業主の赤字とは、確定申告書において「所得金額」欄がマイナスになるということです。一般的に個人事業主の場合、この所得金額から生活費や返済をしていくことになります。そのため、所得金額が赤字だと生活費も賄えないような経営状況と判断されます。返済の元手がないということになりますので、そのような方には銀行も貸したくても貸せません。
個人事業主の方は絶対に赤字にならないようにしましょう。

③確定申告書以外の書類

確定申告書以外の経営状況を説明できる資料を用意しましょう。実は法人の決算書と比べて確定申告書は経営状況を説明する資料としては内容が乏しいのです。記載されている情報が決算書より簡略的になっていることが多いためです。加えて、個人事業主の方の場合、月次単位で損益状況がわかる試算表を作成していない場合が多いです。そのため銀行が知りたい情報が不足するケースが散見されます。融資相談の際には、確定申告書だけでなく、少なくとも収支明細(試算表)、売上表(受注明細)、借入一覧表、は準備していくようにしましょう。

2.融資を受ける方法と手順(開業資金の場合)

①開業資金向けの融資制度

開業資金として融資を受けたい場合、個人事業主の方には日本政策公庫国民生活事業(以下、公庫)の新規開業資金の利用をお勧めします。公庫とは国が出資をしている政府系の金融機関のことです。民間金融機関では扱いにくい部分を補完していくセーフティネット機能を持っている公的金融機関です。従前から創業融資に力を入れているので、特に個人事業主の方への創業融資に関するノウハウは、民間金融機関以上のものを持っています。新規開業資金は公庫の代表的な創業融資制度となっており、比較的利用しやすい制度です。ですのでまずこちらの利用を検討するのがベターです。

②融資を受ける手順とポイント

手順としては事前相談⇒資料準備⇒申込⇒審査⇒契約⇒実行となります。一番のポイントなるのは、「事前相談」です。ここでは融資制度の内容や必要書類の確認だけでなく、銀行側に事業の内容を伝えることがとても重要です。伝えたい内容としては、事業に対する熱意はもとより、①具体的にどんな事業をおこなっていくのか、②将来どういう事業にしたいのか、③どうやって売上・利益を作っていくのか、という点です。なぜなら、こういった「事業構想がしっかりしているか」という点が融資審査に影響するからです。開業時にはまだ事業としての実績がないため、銀行側としては開業後のビジョンや事業構想、収支予測といったもので融資判断をしないといけません。ですのでやりたい事業の内容や構想とともに、キチンと利益を上げられて返済できる、という点を銀行側へしっかり伝える必要があります。言葉だけでは伝わりきりません。「事業計画」「創業計画」といった書面へまとめておくとなお良いでしょう。
尚、開業時に必要な資金調達方法については、こちらのコラムでもご案内していますので、是非ご覧になってください。 

3.3融資を受ける方法と手順(運転資金の場合)

事業を続けていくと良い時もあればそうでないときもあります。手元資金だけで事業を回せればいいのですが、そうとは限りません。その場合、事業を続けていくのに必要となる資金=運転資金、を融資で賄うケースが出てきます。そのための方法と手順をお伝えしていきます。

①メインバンクを作る

融資や事業についていつでも相談できるメインバンクを作りましょう。銀行は困ったら融資をしてくれるところではありません。ある日突然「お金を貸してください」と言われてもすぐには応じられません。事業の状況はどうなのか、借りたお金をどうやって返していくのか、といった点をしっかり確認する必要があるからです。
メインバンクを作って常日頃から事業の状況を伝えておくと比較的スムーズに手続きが進みます。融資が必要となった場合に銀行側は既に事業状況をある程度把握できているためです。
また、最寄りで事業資金の入出金に口座を使っている銀行、だけではメインバンクとは言えません。メインバンクとするには融資担当者の方に信用してもらえるかがポイントです。融資担当者としても一見の方より常日頃から見知った方を自然と応援したくなるものです。銀行へ行った際には融資担当者の方と話をして常日頃から自分の事業に対して理解してもらえるようにしましょう。それが自身の信用力を高める重要ポイントとなります。

②返済方法によって申込先を選ぶ

融資の返済方法は主に2つあります。①1年以上の返済期間を定めて毎月分割で返済していく長期融資、②主に1年以内で期限を切ってその期限までに一括で返済する短期融資、の2種類です。個人事業主の方の場合、長期融資なら前述の公庫または民間金融機関、短期融資なら民間金融機関、へ申し込むことになります。なぜなら公庫は短期融資を取り扱っていないからです。一括返済が可能な短期間の融資でよい、という場合は民間金融機関、とりわけメインバンクへ申込することがベターです。短期資金は担保なしの融資となることが多いため、事業状況がよくわかっている事業者でなければ融資しにくいものです。必要に応じて公庫とメインバンクを使い分けることができるとスムーズな融資実行が期待できます。

③融資を受ける手順とポイント

融資を受ける手順は前述の開業資金の場合とほぼ同様です。事前相談⇒資料準備⇒申込⇒審査⇒契約⇒実行となります。そのため「事前相談」の際に融資の必要性をどう伝えるかが最大ポイントとなります。融資の必要性を伝えるためには口頭だけだは足りません。前述の「確定申告書以外の書類」でもお伝えした書類を最低限準備して行きましょう。
尚、運転資金の場合は法人でも個人事業主でも融資を成功させるポイントは大差ありません。このポイントについては、こちらの記事でお伝えしていますので参考にしてください。

4.ポイント・まとめ

法人への融資と個人事業主の方への融資について、審査のポイントは大差ありません。ただ、個人事業主の方特有のポイントが加わることになります。また銀行側から見て金額が少額となるケースが多く融資をしやすいといえます。ポイントさえしっかり押さえさえすれば希望額がスムーズに融資される可能性は高いです。銀行からの信用を得て事業資金には困らないようにしましょう。

PROFILE

小川弘郎

中小企業診断士 金融機関OB 20年勤務した金融機関在籍時には融資担当や企業改善支援担当を歴任、融資現場における多数の経営支援や事業再生の実践経験を持つ。会計業界に転身後は経営計画に基づく経営サポートを行っている。経営戦略、経営管理、資金繰りが専門。

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