投稿日:2026年03月27日
更新日:2026年03月27日
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2026年の税務トピックとして話題になっているのが、防衛特別法人税です。
名前だけ聞くと、「大企業だけの話では?」「中小企業には関係ないのでは?」と思うかもしれません。
しかし、実務では“対象になる法人”と“実際に税負担が出る法人”を分けて考える必要があります。国税庁によると、防衛特別法人税は2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用され、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人が納税義務者です。そのうえで、税額は一定の税額控除を適用しないで計算した法人税額から年500万円を控除した金額に4%をかけて計算します。しかも、税額が0円でも申告が必要です。
この記事では、防衛特別法人税は誰が対象なのかを整理しながら、中小企業が影響を見極めるためのチェックポイントをわかりやすく解説します。
防衛特別法人税は、令和7年3月31日に公布された改正法により創設された国税です。財務省・国税庁の資料では、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人について、防衛特別法人税を納める義務があるとされています。適用開始は2026年4月1日以後に開始する事業年度です。
ここで注意したいのは、防衛特別法人税は「利益にそのまま4%が上乗せされる税金」ではない点です。ベースになるのは、一定の税額控除を適用しないで計算した法人税額です。したがって、売上や利益だけでなく、申告上の法人税額を見ないと、自社への影響は判断しにくい仕組みです。
防衛特別法人税の対象を考えるときは、次の3点を押さえておくと整理しやすくなります。
まず、対象法人の範囲は広いことです。
国税庁の改正概要では、「各事業年度の所得に対する法人税を課される法人」は納税義務者とされています。つまり、法律上は中小企業も対象に入り得ます。
次に、実際の税額が出るかどうかは別問題であることです。
防衛特別法人税の税額は、基準法人税額から年500万円の基礎控除を差し引いたうえで、4%をかけて計算します。このため、法人税額が大きくない会社では税額が生じないケースもあります。
最後に、税額0円でも申告が必要なことです。
「税額が出ないなら何もしなくてよい」と考えると危険です。国税庁は、防衛特別法人税額が0円であっても申告書提出が必要と案内しています。
中小企業にとって重要なのは、「うちは対象法人なのか」と「実際に負担が増えるのか」を分けて考えることです。
法律上は、中小企業であっても、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人なら対象に入り得ます。したがって、「中小企業だから対象外」とは言えません。
一方で、税額の計算には年500万円の基礎控除があるため、すべての中小企業に実負担が発生するわけではありません。特に、赤字法人や、もともとの法人税額が大きくない法人では、防衛特別法人税額が0円となることも考えられます。
ただし、ここで見落としやすいのが、税額0円でも申告は必要という点です。つまり、「実際の負担は出ない」と「対応不要」は別です。経理担当者としては、負担額だけでなく、申告フローへの影響も確認しておく必要があります。
では、中小企業は何をチェックすればよいのでしょうか。
見極めるポイントは、次の3つです。
1.まずは事業年度の開始日を確認する
防衛特別法人税は、2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用です。たとえば、2026年3月決算法人と2026年4月以降開始の事業年度では、扱いが変わります。まずは自社の事業年度がいつ始まるかを確認しましょう。
2.売上ではなく、法人税額ベースで影響を試算する
防衛特別法人税は、利益ではなく一定の税額控除を適用しないで計算した法人税額をベースにします。普段、所得税額控除や外国税額控除などを使っている会社ほど、「いつもの納税額の感覚」で判断するとズレやすくなります。
3.税額が出なくても申告準備をする
国税庁は、申告書は法人税・地方法人税の申告書と一体様式だが、別表一・別表一の二では防衛特別法人税欄が別葉だと案内しています。提出漏れが起きやすい論点なので、決算チェックリストに追加しておくと安心です。
FAQ
Q1. 防衛特別法人税は大企業だけが対象ですか?
いいえ。国税庁の資料では、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人が納税義務者とされています。したがって、中小企業も対象に入り得ます。
Q2. 中小企業なら実質的に関係ないと考えてよいですか?
そうとは言えません。実際の税額は年500万円の基礎控除の有無で変わるため、税負担が生じない会社もありますが、税額0円でも申告は必要です。
Q3. 何を見れば自社への影響を判断できますか?
売上高ではなく、一定の税額控除を適用しないで計算した法人税額を確認することが重要です。ここが500万円を超えるかどうかが一つの目安になります。
Q4. いつから対応が必要ですか?
2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用です。なお、中間申告が必要な場合の防衛特別法人税中間申告書は、2027年4月1日以後に開始する課税事業年度から適用されます。
Q5. 税額が0円なら申告しなくてもいいですか?
いいえ。国税庁は、防衛特別法人税額が0であっても申告は必要と明記しています。
たとえば、ある中小企業で、通常の法人税申告上の税額が600万円程度見込まれるケースを考えます。
この場合、防衛特別法人税は600万円全体に4%をかけるのではなく、**600万円から年500万円を控除した100万円に4%**をかけるイメージになります。ざっくり4万円が目安です。
一方で、法人税額が500万円以下であれば、防衛特別法人税額が0円となる可能性があります。ただし、その場合でも申告不要になるわけではありません。ここが、この税制でいちばん誤解されやすいポイントです。
帳簿の付け方、こんなときどうしたら良いの?10万円のパソコンを購入した場合防衛特別法人税の対象を見極めるうえで重要なのは、次の3点です。
1つ目は、中小企業でも対象法人に入り得ることです。
2つ目は、実際の税負担が出るかどうかは、法人税額と年500万円控除で決まることです。
3つ目は、税額が0円でも申告が必要なことです。
ニュース性が強いテーマですが、実務では「大企業の話」と決めつけず、まず自社の事業年度と法人税額を確認することが大切です。個別の税額試算や申告判断は会社の状況で変わるため、最終的には税理士等の専門家に確認してください。
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いいえ。国税庁の資料では、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人が納税義務者とされています。したがって、中小企業も対象に入り得ます。
そうとは言えません。実際の税額は年500万円の基礎控除の有無で変わるため、税負担が生じない会社もありますが、税額0円でも申告は必要です。
売上高ではなく、一定の税額控除を適用しないで計算した法人税額を確認することが重要です。ここが500万円を超えるかどうかが一つの目安になります。
2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用です。なお、中間申告が必要な場合の防衛特別法人税中間申告書は、2027年4月1日以後に開始する課税事業年度から適用されます。
いいえ。国税庁は、防衛特別法人税額が0であっても申告は必要と明記しています。
このコラムの著者 : 長縄 龍哉
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