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弁護士が見たキャッシュを増やすヒケツ

弁護士が見たキャッシュを増やすヒケツ

投稿日:2019年07月28日

更新日:2023年03月17日

経営者が知っておくべき「利益とキャッシュの最大化」セミナー

この記事を読むのに必要な時間は約 3 分です。

みなさんは「与信」という言葉をご存じでしょうか。
企業は利益や売上の最大化を目的としていますが、売上を増やすことだけでなく、その代金を回収するまでが大切な取引です。
この代金を回収するまでの間を与信と言います。「信用の供与」=「与信」という意味です。

この金額が増えるということは、売上が伸びているという数字でもありますが、一方で不良債権や焦げ付き発生のリスクが高まったともいえます。
売上債権を増大させながらも損害の発生を抑えようとするのが「与信管理」です。今回は弁護士から見た与信管理についてみていきましょう。

1.倒産する企業は未回収の不良債権が多い?

私は平成14年に弁護士になり今年で16年目です。
弁護士になった当初は破産申し立て事件の専門弁護士として、倒産する企業や代表者の破産手続・免責手続きのお手伝いをしてきました。
破産の法律上の要件は、「支払い不能」です。要するに借金を返済することができなくなるという意味です。

破産申立手続において、倒産する企業の決算書を分析して裁判所に破産に至った経緯について報告する作業をたくさん手掛けているうちに、倒産する企業の決算書の共通点を発見しました。
倒産する企業の決算書の特徴はたくさんありますが、その代表的なものとして、「貸し倒れ」の発生があります。取引先が倒産したことで、未回収の不良債権が発生し、回収不能となり、自分の支払手形や買掛金の支払い、銀行からの借入金の返済に窮して、倒産するというケースが非常に多いです。

キャッシュを増やすことが中小企業の安定経営には必要ですが、未回収の不良債権を抱えないことも非常に重要です。

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2.弁護士は債権回収をしてくれる?

例えばある工務店が、工事を委託された元請会社からの入金が滞り、500万円の請負債権が未回収となったとしましょう。
下請けへの支払いを遅らせることは出来ず、早急に回収しなければ資金ショートしてしまいます。そこで切羽詰まって弁護士に相談に行きます。
弁護士は、依頼を受けて、着手金をもらって、訴訟をして、判決をもらって、強制執行しますが、結局は回収不能となり、その後、元請会社の弁護士から破産通知が届いた、というケースが多くあります。
弁護士の書いた債権回収の書籍には、契約書の作成が重要であるとも書いています。

確かに契約書の作成は重要です。未収金の不良債権を発生させないためには、どのような契約内容であったのかが明確でなければなりません。契約書がきちんと作成されていれば、相手方が支払わない理由が明確になります。
しかし、契約書がきっちりと作成されていたとしても、相手に金がないと回収は難しいのです。金のない相手に対して未収金が発生した場合には、回収できない可能性が高いということです。
では、どうすればよいのでしょう。中小企業が自らの力で未然に防ぐしかありません。

3.泣きっ面に蜂の「取り込み詐欺」

資金繰りが苦しい会社があったとします。不良在庫をたくさん抱えてしまってなかなかさばけない。借入金も返済しなくてはならない。何とか不良在庫を処分して短いサイトで現金を得ようと考えます。
そんなときタイムリーに現れるのが「取り込み詐欺」です。

焦っているときに限って、処分したい在庫を大量に買い取ってくれる白馬の騎士が現れたように思いますが、それは錯覚です。

取り込み詐欺師は、大きなことを言って金があるかのように装いますが、一方で取引を急ぎます。
10日後に振り込むと言って、1回目は振り込みます。2回目も振り込みます。
取引額が3倍になった3回目頃から入金がされず、問い合わせると電話が通じません。営業所に行くとシャッターが閉まっています。そして一か月後に弁護士から債務整理や破産申立の準備中などといった通知が来ます。

詐欺だから告訴してやる!と憤慨して、警察に行ってもあまり相手にされません。
それは民事の問題でしょう、などと言われてしまいます。そんなケースが非常に多いのです。
こういうご相談に多く遭遇しますが、まず回収はできません。

次回は、具体的な与信管理の仕方についてお話ししましょう。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 経営改善 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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このコラムの著者 : 白木智巳

ロータックス法律会計事務所 代表弁護士 昭和45年12月生まれ(いて座のA型)•大阪府豊中市出身 平成元年 • 大阪府立豊中高校卒業(豊陵会41期) 平成6年 • 同志社大学経済学部卒業 平成14年 • 弁護士登録(大阪弁護士会)(修習期55期) 平成19年 • 中国留学(上海復旦大学)・上海協力法律事務所で執務(現日本法顧問) 平成22年 • 白木法律事務所開設 • 桃山学院大学大学院 経営学研究科 講師(平成27年まで) • 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 国際化支援アドバイザー就任 • 大阪商工会議所 国際部 中国ビジネス支援室 外部相談員 • 京都企業支援ネットワーク 中国法分野相談担当 平成24年 • 近畿税理士会へ税理士登録 • 白木法律会計事務所に名称変更 平成28年 • ロータックス法律会計事務所へ名称変更

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