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当座比率とは?計算方法や安全な目安をわかりやすく解説!

当座比率とは?

投稿日:2022年07月14日

更新日:2023年05月29日

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この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

企業の財務状況を示す指標は多いのですが、その中に「当座比率」というものがあります。この記事では、当座比率がどのようなものなのか基本的なことと、その計算方法や実践的な活用方法について、わかりやすく解説します。

当座比率とは?その意味と計算方法

当座比率とは、会社の支払い能力を示す指標の一つで、とくに短期間の支払い能力を示しています。流動比率とともに金融機関が重視するもので、企業経営者や財務担当者にとっても重要な指標です。
まずは当座資産や当座比率について理解し、その計算方法について見ていきましょう。

当座資産とはなにか

貸借対照表には会社が保有している資産を表す「資産の部」があります。資産のうち1年以内に現金かまたは費用化するものは「流動資産」に分類され、長期にわたり保有または1年以上先に現金化または費用化するものは「固定資産」、そして本来は費用に分類されるもののうち支出効果が1年以上に及ぶ「繰延資産」に分類されます。
流動資産のなかでも現金・預金と、短期(1年以内)に現金化できるものを当座資産と言い、以下のものが該当します。

  • 現金・預金
  • 売掛金
  • 受取手形
  • 売買を目的とした有価証券
  • その他1年以内に回収予定の債券など

これを見ても分かりますが、在庫回転率が高い場合であっても、当座比率の計算上「棚卸資産」は外さなければなりません。

当座比率の計算方法

当座比率は短期の支払い能力を示す指標です。短期(1年以内)に支払時期が到来する債務は「流動負債」として計上されているので、当座比率は以下の計算式で求められます。
当座比率(%)=当座資産÷流動負債
つまり1年以内に支払わなければならない債務にたいし、ほぼ現金といえる当座資産をどれくらい保有しているかを表す数値となり、当座比率が高いほど「支払い能力に余裕がある」と認識されます。

流動比率との違いとは?

流動比率もよく財務の健全性を判断する指標として利用されますが、当座比率の特徴は流動負債と対比する資産の範囲を絞り込むことで、より現実的で厳しい指標となることです。
それというのも流動資産の中には、現金化できず費用になる「前払費用」や、売れる当てもないような在庫が入っている可能性もあります。また小規模事業所などでは、「仮払金」「立替金」や「短期貸付金」に疑われるような支出が含まれがちです。
経営者としても当座比率で財務判断をしたほうが、単純かつ現実的な支払い能力の把握に役立ちます。

回収困難な債権はどうするのか

先ほど現金化できるものに絞り込むと言いましたが、じつは当座資産のなかにも「怪しい」勘定科目があります。それは「回収困難な債権(売掛金)」が入っている可能性です。
この点に関しては「会計基準に沿って経理」しなければ、当座比率が信用できない数値となってしまいます。つまり回収困難な債権があるとき、貸倒れの引当をするか場合によっては貸倒れ処理をしなければなりません。もちろん税法上の損金にならない可能性もありますが、債権者へ財務諸表を開示するのであれば、リスクも表示したほうが良いでしょう。

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当座比率を経営に生かす方法

当座比率の意味や計算方法は分かりましたが、指標は経営に生かしてこそ価値があるものです。ここからは当座比率をどのように理解し、会社経営に役立てるかを考えていきましょう。

当座比率はどのくらいの数値が適正なのか

当座比率が高ければ資金繰りに余裕があることになりますが、その適正水準はどれくらいなのでしょうか。一つの基準は100%を上回るか下回るとなります。 一般的には120%を上回っていれば優良とみなされますが、それで安心とは言えません。
当座比率や流動比率は、事業を継続していることが前提になるので、何らかの事情で事業が停止または、事業が縮小するようなケースでは、当座比率だけで判断は出来なくなります。
とはいえ財務の健全性を判断する大事な指標なので、100%を下回っている場合は、改善策を考えなければなりません。

当座比率を高める経営方法

当座比率を高めるということは、当座資産を増やすか流動負債を減らすか、またはその両方しかありません。
もっともスタンダードかつ正しい進め方は、ズバリ「事業で利益を出す」ことで、営業利益率を高めることです。利益を出し、現金預金を貯めることです。言うのは簡単ですが、そもそも当座比率が低い状態であれば、営業利益率に問題を抱えていることが多いものです。利益率の高い売上げを増やし、販管費に無駄がないのか考え続けることは経営の基本です。
基本的に利益を上げれば当座比率は良くなるのですが、それと同時に営業債権の回収サイクルを早めることも重要になってきます。不良債権の発生を防ぐ意味でも、売掛金などのチェックも進めましょう。

指標はバランスよく活用しよう

当座比率は数ある指標の一つなので、それだけを考えていてもいけません。極端な話をすれば、例えば銀行から運転資金のため長期借入をした場合、貸借対照表では当座資産が増加し、流動負債は変動しません。そのため、一時的に当座比率は上がります。
短期の支払い余力は増しますが、それは支払利息という経費を伴いながら、返済金として毎月当座資産の減少をもたらします。つまり当座比率は、あくまで短期的な指標だと理解して、その他の指標や経営的要素を加味しながら、財務を考えねばなりません。

まとめ

当座比率は短期的な財務体質を見るために優れた指標です。数値が高ければ「不測の事態に強い」という証明にもなり、金融機関からの評価も上がります。
ただ強い財務基盤を作るためには、利益を上げる営業基盤が基本なので、当座比率はその結果を示す指標の一つだということを理解しておきましょう。

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このコラムの著者 : 浅田 和利

SMCグループ (株)SMC総研 経営コンサルタント 1968年大阪府生まれのB型 東京・千葉の会計事務所を経て、2008年SMCグループに入社。 先行経営(MAS監査)を通じてお客様の経営支援を行っている。

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