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資金調達とは?3つの方法のメリット・デメリットと注意点を解説!

経営における資金調達の重要性

投稿日:2023年01月19日

更新日:2023年05月08日

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この記事を読むのに必要な時間は約 12 分です。

開業や事業の拡大には資金が必要です。資金を調達するには、様々な方法が存在します。本記事では、資金調達の3つの方法の特徴やメリット・デメリットについて紹介します。

資金調達をする上での注意点や個人事業主の資金調達方法も紹介するので、ぜひ資金調達を検討する際の参考にしてみてください。

資金調達とは?

開業時や事業拡大時に欠かせないのが、資金調達です。そもそも資金調達とは何を指すのでしょうか?ファイナンスとの違いや資金調達のタイミングを解説します。

資金調達はファイナンスの一種

「資金調達」は、事業を行うために必要な資金を調達することです。資金調達とよく混合して使われる言葉として「ファイナンス」があります。ファイナンスとは、企業が事業のために資金を調達したり運用したりすることです。そのため、資金調達はファイナンスの一種となります。

資金調達のタイミング

企業は、様々なタイミングで資金調達を行います。主に資金調達が必要となるタイミングは以下の通りです。

開業時
一般的に、新しく事業を始める際には資金が必要です。飲食業であれば店舗の改装費や調理器具、スタッフの採用コストなどがかかります。製造業であれば機械の購入費用などもかかるでしょう。また、事業の種類によっては売上が上がってから入金までに時間がかかるため、一定期間事業を継続させるための資金が必要です。

事業拡大時
既存の事業を拡大する際に、資金調達を行います。新たな人員の採用コストや設備投資費用などが挙げられます。

運転資金の不足時
大量にモノを仕入れた際、仕入れたものを売り上げるまでの間、運転資金が不足する場合があります。この場合にも、事業を継続するための資金調達が必要です。

資金調達の3つの方法

資金調達には様々な方法が存在しますが、その性質上、主に以下の3つに分類されます。

  • 負債(デッドファイナンス)
  • 出資(エクイティファイナンス)
  • 資産現金化(アセットファイナンス)

それぞれの調達方法の詳細やメリット・デメリットを解説します。

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負債(デッドファイナンス)

負債は借金をして資金を調達する方法で、このことを「融資を受ける」といいます。調達した資金は返済が必要です。負債のメリット・デメリットは以下の通りとなります。

負債のメリット

  • 資金調達先の候補が豊富である
  • 支払利息を経費計上するため節税効果が得られる
  • 資金の貸し手から経営に介入されない

負債のデメリット

  • 返済義務がある
  • 元本に加えて利息を返済する必要がある

資金調達とは?3つの方法のメリット・デメリットと注意点を解説!

負債で資金調達をする際、一般的に検討される調達先を紹介します。

日本政策金融金庫からの融資

日本政策金融公庫は、国が100%株式を保有している会社です。国の中小企業・小規模事業者政策に基づき事業を行っていて、個人企業や中小企業が利用しやすい融資先となっています。

国民生活事業と中小企業事業を行っていて、国民生活事業は個人や小規模企業向けの融資で融資残高の平均は約1000万円です。中小企業事業は、中小企業向けの長期事業資金を融資していて、融資残高の平均は約1億3,000万円となっています。

国民生活事業の新創業融資制度(無担保・無保証人)の基準年利は2.45%~3.45%(2023年1月4日時点)です。融資方法や担保の有無などにより利率は変動するため、詳細は日本政策金融公庫に問い合わせてみてください。

民間の一般的な金融機関よりも金利が低く、返済期間が長いのが特徴です。審査のために提出書類などを揃える必要がありますが、起業相談などもできるため開業や起業をする方はまず日本政策金融公庫を検討してみてください。

銀行からの融資

一般的な民間の銀行から融資を受ける方法です。融資を受ける方法は、「プロパー融資」と「信用保証つき融資」の2つがあります。

プロパー融資は、銀行から直接資金を借り入れる方法です。資金を返済できなかった場合のリスクを銀行が直接負います。審査基準が厳しいのが特徴で、起業時や創業時の利用は一般的に難しいでしょう。

信用保証つき融資は、全国信用保証協会連合会が保証人となることで銀行から融資を受ける方法です。仮に資金の返済ができなかった際に、返済額の80%~100%を全国信用保証協会連合会が負担します。貸した資金を返済できない場合に銀行が被る損失が少なくなるため、比較的融資の審査に通りやすい制度です。

金利は金融機関により異なりますが、低く設定されることが多いです。ただし、金融機関に支払う金利とは別に、各信用保証協会が定める保証料を支払う必要があります。地域によっては保証料の補助を行っている地域もあるため確認してみてください。

ノンバンクのローン

消費者金融やリース会社、クレジットカード会社などの銀行以外の金融機関から資金を借り入れる方法です。比較的審査に通過しやすく審査期間も短いことが特徴ですが、融資の限度額が低く金利も高くなっています。

ノンバンクで初めて融資を受ける際には、利率が10%代で設定されることも少なくないです。特に長期の借入を検討する場合には、利息の支払いが高額になるため、注意が必要です。

社債の発行

企業が自ら社債(債券)を発行し、投資家に購入してもらうことで資金を調達する方法です。発行した100万円の社債を投資家が購入した場合、企業はその投資家に100万円の借金をしたことになります。

借金ですので、期日が来たら投資家への元本の返済が必要です。また、社債発行時に定めた利率に応じて投資家へ利息を支払います。

社債には証券会社を通じて投資家を募る「公募債」と、特定の投資家へ直接債権を発行して購入してもらう「私募債」があります。

親族や友人からの借り入れ

親族や友人から資金を借り入れる方法です。問題なく返済できればいいですが、事業が確実にうまくいく保証はありません。仮に返済ができなかった際に、人間関係に影響する可能性があります。

また、正式な契約をせずに借り入れをした場合、贈与とみなされ贈与税が課される場合があります。親族や友人から借り入れをする際には、借用証や金銭消費貸借契約を必ず作成してください。

出資(エクイティファイナンス)

出資は、発行した株式を投資家に交付して資金を調達する方法で、このことを「出資を受ける」といいます。多額の資金を集めたい際に用いられることが多く、資金の返済義務はありません。出資を受けた企業は、株価の上昇や配当金などで出資者にリターンを還元します。出資のメリット・デメリットは以下の通りです。

出資のメリット

  • 資金の返済義務がない
  • 出資者(投資家)から経営のアドバイスが受けられることがある
  • 自己資本比率を高めることで財務基盤が安定する

出資のデメリット

  • 配当金を支払わなければならない可能性が高い
  • 出資者に経営権を握られ、意思決定が自由にできない可能性がある

出資で資金調達をする際に一般的に検討する調達先を解説します。

ベンチャーキャピタルからの出資

ベンチャーキャピタルは、未上場のベンチャー企業への出資を目的とした投資ファンドです。株式を購入した未上場企業が上場した際の株価の値上がりを目的に、未上場ベンチャー企業に出資します。

自社のビジネスが、将来上場できる可能性が高い魅力的なビジネスであれば、ベンチャーキャピタルは出資を検討するでしょう。また、ベンチャーキャピタルは出資と同時に、専門人材が経営コンサルを行う場合が多いです。

出資を受けるハードルは高いですが、メリットも大きいのでぜひ検討してみてください。

コーポレートベンチャーキャピタルからの出資

コーポレートベンチャーキャピタルとは、本業が他にある事業会社が行うベンチャーキャピタル事業です。自社と関連性の高いベンチャー企業やシナジー効果が得られそうなベンチャー企業に出資します。

IT業界やインフラ業界、製造業界などの様々な企業がコーポレートベンチャーキャピタルに取り組んでいて、現在注目を浴びている資金調達方法です。

エンジェル投資家からの出資

個人でベンチャー企業などへ出資する投資家をエンジェル投資家と呼びます。エンジェル投資家の投資目的はベンチャーキャピタルと同じで、投資した企業が上場した際の株価の値上がりです。

個人投資家は個人で意思決定をするため、出資までの決定スピードが速いのが特徴です。ただし、個人での出資のため出資額は一般的に少額になります。

公募増資

公募増資は、投資家を特定せずに幅広く募集する方法です。上場企業が株式を発行して投資家を募る場合などがあげられます。事業規模の大きい企業が実施する資金調達方法です。

個人事業主の資金調達

資金調達先を選ぶ。都市銀行、地方銀行、信用金庫。それぞれの特徴について。

資産現金化(アセットファイナンス)

資産現金化は、自社の資産を売却して資金を調達する方法です。負債や出資では企業の信用力が必要ですが、資産現金化は資産を保有していれば資金調達ができます。資産現金化のメリット・デメリットは以下の通りです。

資産現金化のメリット

  • 企業の信用力に関係なく資金の調達が可能
  • 返済の必要がない

資産現金化のデメリット

  • 売却資産によっては、事業の稼ぐ力が減る可能性がある
  • 税務処理が複雑

売却する資産ごとの特徴を解説します。

固定資産売却

固定資産を売却して資金を調達する方法です。資金調達のために売却することが多い固定資産は以下の通りとなっています。

  • 役員車や営業車
  • 土地
  • 建物
  • 機械設備
  • 特許権

事業に深く関係する固定資産を売却してしまうと、事業で売上をあげられなくなります。できるだけ、売却しても事業に影響が少ない固定資産から売却しましょう。土地や建物は、売却すれば維持費や税金などのランニングコストの削減にも繋がります。

また、固定資産を売却した際の所得は、原則、事業所得でなく譲渡所得となるため注意してください。

ファクタリング

ファクタリングとは、売掛金(売掛債権)をその支払期日前に一定の手数料を徴収してファクタリング業者等に買い取ってもらい現金化する方法です。製造業や商社など、掛金でやり取りをする業種では、売り上げてから代金の入金までに1か月~2か月ほど期間を要します。

売掛金の入金を待っていたら資金繰りが悪化してしまう場合に便利なのがファクタリングです。ただし、ファクタリングを利用する場合には、売掛金額から手数料を差し引かれて現金化されるケースが多いので注意が必要です。

ファクタリングは、買い取ってもらった売掛金が回収不能となった場合には、その分の損失をファクタリング業者が負うことになります。

手形割引

手形割引とは、売上の代金回収として受け取った受取手形(為替手形も含む、以下、「手形」といいます)を銀行等に買い取ってもらい現金化する方法です。

手形は原則として手形に記載している支払期日が来るまでは決済(現金化)することができません。
そこでその手形を銀行または手形割引業者に手数料(割引料ともいう)を支払うことで、期日到来前の手形を現金化することができます。これを手形割引といいます。

実際には手形の額面金額から手数料を差し引かれて現金化されるのですが、この額面金額から手数料を差し引くことを「割り引く」というため、手形割引といいます。
尚、割り引いてもらった手形が万一に不渡りなった場合は、その手形を買い戻す義務が生じますので注意が必要です。

リースバック

リースバックは、不動産を売却してまとまった資金を得た後に、賃料を払い続けて不動産を利用し続ける方法です。工場などの不動産を使い続けたいけれど、資金が必要な場合などに利用します。

一時的にまとまった資金が得られますが、賃料の支払いが生じることでランニングコストが発生するため注意が必要です。

その他の資金調達方法

「負債」「出資」「固定資産売却」の3つの方法を解説しましたが、他にも資金調達の方法は存在します。今まで紹介したもの以外にも利用されることがある資金調達方法を紹介します。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、近年注目を集めている資金調達方法です。インターネットを通して不特定多数の支援者から少額ずつ資金を調達します。クラウドファンディングには様々な種類があり、それぞれの特徴は以下の通りです。

購入型クラウドファンディング
プロジェクトに支援者がお金を拠出し、プロジェクトの実施者はそのお礼としてサービスやモノを配る仕組みです。金銭的なリターンは発生しません。

寄付型クラウドファンディング
支援者はお金を拠出するのみで、リターンを求めないクラウドファンディングです。災害支援の際などによく利用されます。

融資型クラウドファンディング
事業者は、支援者へ資金の返済が必要です。負債と同じ仕組みで、支援者へ元本の返済と利息の支払いを行います。

株式投資型クラウドファンディング
株式会社が利用するクラウドファンディングです。個人投資家へ非公開株を提供して資金を募ります。

ファンド型クラウドファンディング
企業の特定の事業への出資を募るクラウドファンディングです。事業の実績に応じて、金銭的なリターンやその事業で生産したモノやサービスを投資家へ還元します。

自己資金

特に開業時などは、自己資金も重要な資金調達方法の一つです。また、金融機関などから融資を受ける際には、自己資金がいくらあるかも審査での重要なポイントとなります。

自己資金は自分の資金のため返済義務がなく、経営権を他の人に握られることもないため有力な資金調達方法です。

補助金・助成金

資金調達には、補助金や助成金を利用する方法もあります。補助金や助成金は原則返済不要のため、自社が受給できる補助金や助成金がないか確認してみてください。
支払が起きた後、入金があるので資金繰りには注意が必要です。

代表的な補助金や助成金は、以下の通りです。

  • 小規模事業者持続化補助金
  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • IT導入補助金
  • 事業再構築補助金
  • 働き方改革推進支援助成金
売上代金を回収するまでが大切。クレジット決済の導入について説明します。

個人事業主の資金調達

今まで企業の資金調達をメインに説明してきましたが、個人事業主はどのような資金調達方法があるのでしょうか?個人事業主が一般的に利用する資金調達方法は以下の通りです。

  • 日本政策金融公庫からの融資
  • 銀行からの融資
  • クラウドファンディングの利用
  • 補助金や助成金の活用
  • 自己資金の活用

個人事業主は株式を発行できないため出資での資金調達は難しいですが、他の資金調達方法に企業と大きな違いはありません。

資金調達する上での心構え

資金調達で大切なポイントは、「事業のためにいくら必要か」を考えることです。ついつい、いくら資金を調達できるかを考えがちですが、本来の目的である事業の継続や発展はいくら資金が必要なのかを考えましょう。

金融機関や投資家が融資や出資の判断をする際には、事業計画を確認する場合がほとんどです。調達した資金をどのように使うかを事前に明確にしておけば、融資先候補や出資先候補から信用を得られ、資金調達に成功する可能性が上がるでしょう。

消費税の増税と軽減税率導入の対策はできていますか?商品によって複数の税率を使い分けなければいけないケースも

まとめ

この記事では、資金調達について解説しました。一言に資金調達と言っても、その方法は様々です。それぞれのメリット・デメリットを把握して自社に適した資産調達方法を検討してみてください。

また、資金調達は事業を大きく左右する問題のため、専門家にアドバイスを求めてみてもいいかもしれません。

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このコラムの著者 : 小川弘郎

中小企業診断士 金融機関OB 20年勤務した金融機関在籍時には融資担当や企業改善支援担当を歴任、融資現場における多数の経営支援や事業再生の実践経験を持つ。会計業界に転身後は経営計画に基づく経営サポートを行っている。経営戦略、経営管理、資金繰りが専門。

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