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「利益剰余金」と「内部留保」の違いと内容を簡単に解説

利益余剰金と内部留保の意味を理解する

投稿日:2022年08月23日

更新日:2023年08月28日

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この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

よく企業の決算に関するニュースで目にする「利益剰余金」や「内部留保」という言葉ですが、一部の報道では世間をミスリードするような内容が見られます。
この記事では、これらの言葉の意味を整理して正しい知識を持つとともに、誤解を与えるような論調を整理するため、企業にとっての利益剰余金について解説します。

利益剰余金と内部留保の意味を整理しよう

利益剰余金と内部留保という二つの言葉は、人によっては都合のいいように使われています。しかし意味を知り、企業にとっての重要性を考えると、違った見え方になるでしょう。
まずは利益剰余金と内部留保という言葉が何を表しているのか説明します。

利益剰余金とは

利益剰余金とは、会社法によって定義される「剰余金」のひとつで、貸借対照表の純資産の部に区分されます。分かりやすく言えば「企業が長年利益をだしてきた積み重ね」のようなもので、逆に赤字経営が続くとマイナスにもなり得ます。
利益剰余金を含む純資産が大きいほど、企業の財務内容は良くなることは、貸借対照表を見れば一目瞭然ですが、資産の部の構成によっては必ずしも健全性が担保されるわけではありません。

極端な例でいえば、これまで稼いできた利益を株式投資に回していて、株価が取得価額を大きく下回っている場合など、じつは大きな損失を抱えている可能性もあります。
会計に疎い人にとっては、利益剰余金がたくさんある企業は「お金をたくさん抱え込んでいる」と誤解しがちですが、大企業になるほど利益を次の設備投資などに回しているので、現預金が積みあがっているわけではないのです。

いろいろな解釈がある「内部留保」

内部留保という言葉は、会計上の明確な定義があるものではなく、ある意味抽象的な概念です。そのためか利益剰余金より、多くの誤解を受けているのが内部留保です。
狭義の意味では、「企業活動による当期純利益のうち配当に回されない部分」ということで、法人税における「特定同族会社の留保金課税」でいう内部留保は、この考え方に近いものです。

ところが近年は「内部留保=企業が給料を出し惜しんで貯め込んでいるお金」という、マイナスのイメージで語られることが多くなりました。これは広義の意味の内部留保になるのですが、マスコミが「企業の内部留保が過去最高」と報道するのも、このようなニュアンスです。
しかし実際には利益剰余金と同じで、決算期ごとに利益をだせば税金や配当金を支払い、残った内部留保が全て現預金として存在しているわけではありません。

二つの言葉は同じ意味?

利益剰余金と内部留保の意味を説明しましたが、結局のところほとんど同じ意味だということが分かるでしょう。一部の報道では全く同じ意味として扱っていて、読売新聞の配信でも「内部留保は売上高から人件費や原材料費などの費用を差し引き、更に法人税や配当を支払った後に残った利益を積み上げたものを指す。企業の貸借対照表には「利益剰余金」として計上されている。」とされています。

誤った理解による暴論

先ほども触れたとおり、利益剰余金や内部留保を「企業が無駄に貯め込んでいる現預金」という前提で語られることがあり、国会の議論でもそのような見解が見られます。
ある政党は「内部留保を取り崩せば、賃上げに充てられる」と主張していますが、これは内部留保が現預金として貯めこまれている前提で言っているとしか思えない発言です。
もし内部留保(利益剰余金)が5億円ある企業が未来のために5億円の工場を建てたとして、工場の壁や天井を給与として渡せとでも言うのでしょうか?ナンセンスです。

本来は「単年度の利益を少し削ってでも、労働者に分配しろ」としか言いようがありません。

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企業経営における利益剰余金と内部留保

企業にとって利益を出すことは至上命題といえます。そしてその積み重ねが利益剰余金として貸借対照表に現れるのですが、この数値は企業規模に係わらず非常に重要なものです。
ここからは企業経営における利益剰余金と内部留保について考えてみましょう。

利益剰余金(内部留保)の重要性

利益剰余金の大きな企業は2つの特徴を持っています。一つは利益を出し続けていることで、もう一つは創業年数が長いことです。この二点をあわせもつ企業を考えると、明らかに信用度の高い企業だと想像がつくでしょう。
このことから利益剰余金を増やすほど信用スコアが上がることが分かります。資金調達が金融機関からの借入金に偏りがちな中小企業にとって、信用スコアが上がることは極めて重要です。銀行からプロパーの融資を受けやすいうえ、金利なども優遇されることになります。
また資金繰りの重要な指標である「流動比率(当座比率)」も、イコールではありませんが利益剰余金の多さと相関関係があります。とくに中小企業においては顕著で、利益剰余金に対する現預金の比率が高い傾向があります。
この理由を考えると「まさかのときの備えとして資金をストックする」ということです。昨今はコロナウィルスの蔓延から事業規模の急縮小を強いられた企業も多かったのですが、流動比率の低い企業ほど長くは持ちこたえられなくなっています。まだ各種助成金や緊急融資などで生き延びた企業も、それがなくなったこれからは内部留保がなければ長続きしないでしょう。

利益剰余金を増やす方法

利益剰余金を増やすことは極めて重要なことですが、大企業と小企業では事情が少し異なります。単年度の決算で利益をだすことは最低限の条件になりますが、利益から支払う配当金を減らすほど内部留保される金額が増えます。
同族会社などは配当金を求める圧力など感じないので良いのですが、大企業はそうはいきません。正当な理由もなく配当率を下げすぎると、株価に影響するか、最悪取締役の解任動議など出されるかもしれないのです。
中小企業で気を付けなければならないのは「特定同族会社の留保金課税」です。貯め過ぎとして課税されるのは、資本金が1億円を超え、オーナー社長とその家族で株式の50%超を保有している法人ですが、このような法人はすでに対策をしているでしょう。

利益剰余金が多すぎで困ること

企業の安定経営のために大事な利益剰余金ですが、これが多いと企業価値が上がります。それは結構なことでも、企業価値と共に株価が上がると、相続時に多額の相続税が課税されることもあります。
相続税対策は短期間で終わらないので、利益剰余金が増え続ける優良企業の方は、かなり早い段階で相続税に詳しい税理士に相談しましょう。

まとめ

利益剰余金と内部留保について解説しましたが、これらの使い分けは悪く言うかどうかで決まっているのが現実です。しかし企業経営においては、そのようなうわべだけのことではなく、安定経営のための大事な数値なので惑わされないようにしましょう。
ある意味で利益剰余金と内部留保は、企業経営の通信簿ともいえるものです。むしろ大きな利益剰余金を誇るくらいの気持ちでいることが正解なのです。

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このコラムの著者 : 浅田 和利

SMCグループ (株)SMC総研 経営コンサルタント 1968年大阪府生まれのB型 東京・千葉の会計事務所を経て、2008年SMCグループに入社。 先行経営(MAS監査)を通じてお客様の経営支援を行っている。

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