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未収収益、未払費用、前払費用、前受収益とは|スッキリわかるシリーズ!

未収収益・未払い費用・前払費用・前受け収益は違う?

投稿日:2022年08月22日

更新日:2023年08月24日

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この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

経理のお仕事を始めたばかりの新人さんにとって、勘定科目は似たようなものが多く、正しく理解するのは難しいものです。とはいえ覚えなければ仕事にならないので、似たような勘定科目との違いを理解しましょう。
この記事では、勘定科目のうち経過勘定科目の「未収収益」「前受収益」「未払費用」「前払費用」という4つについて、似ていて紛らわしい勘定科目との違いを含めて解説します。

経過勘定科目について

経過勘定科目は、経過勘定を処理するための勘定科目です。経過勘定というのは継続してなされるサービスの提供や受領について、現金による収支と収益や費用に計上すべきタイミングのズレを調整するものです。
例えば毎月10万円の費用が発生しているが、その支払いが半年ごとに60万円の後払いのようなケースでは、経過勘定で調整しなければ毎月の正しい収支計算ができません。
この調整に使われる代表的な勘定科目が、「未収収益」「前受収益」「未払費用」「前払費用」なのです。

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未収収益とは?

「未収収益」は流動資産の勘定科目です。名前からして未回収の債権であることは分かるでしょう。しかし同じような分類の勘定科目に「売掛金」や「未収入金」との違いは何なのでしょうか?
まずは未収収益の意味を説明し、似たような勘定科目との違いを明確にしましょう。

どのような取引に未収収益を使うのか

未収収益とは、「未収収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、既に提供した役務に対していまだその対価の支払を受けていないものをいう」とされています。
またこの対価について「時間の経過に伴い既に当期の収益として発生しているもの」と定義されていて、これらは企業会計原則注解において定められたものです。また未収収益は、本来の営業活動に関わる取引に使われる勘定科目になります。
契約に基づいて時間の経過とともに本業で売上があがるものの代表的なものは、不動産業における地代・家賃収入や、貸金業における利息収入などです。

未収入金との違い

「未収」という文字が同じであることから未収収益と混同しやすいのが「未収入金(未収金)」です。まずはっきりとした違いから説明しますが、未収入金を使うのは「営業活動以外の取引による未回収の債権」に対してです。
固定資産や有価証券の売却や、本業外での不動産の貸付代金などが該当します。基本的には一時的な取引による金銭債権です。

売掛金との違い

売掛金も本業の売上に対して使われる勘定科目ですが、未収収益との違いはどこにあるのでしょうか。売掛金は「ものの販売の売上の対価として将来的に金銭を受け取る権利」で、その発生は「ものが相手に渡ったとき」となります。つまり時間の経過ではなく、ものやサービスが受領されたが未決済の債権です。
売掛金は継続取引である必要がないことも大きな違いといえます。

前受収益とは?

「前受収益」は流動負債の勘定科目で、未収収益と関連のある内容となります。察しの良い方はもう分かると思いますが、まだ支払いを受けていない未収収益の逆で、先に支払いを受けてしまったものが前受収益となります。

前受収益を使う取引

「前受収益」とは、「一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、提供前の役務について支払いを受けたもの」です。つまり先払いを受け、サービスの提供はまだしていない金銭を流動負債に計上します。
この勘定科目も、金融業や不動産業、保険業などで多く見られるもので、未収収益より使われる頻度は高いといえます。銀行の貸付利息や賃貸物件の家賃は、ほとんどの場合前払いが基本なので、受け取る側はそれを前受収益に計上します。
この前受収益も本来の営業活動に関わる取引に使われる勘定科目となります。

前受金や仮受金との違い

前受金は、未収入金や売掛金と裏表の関係にある勘定科目で、売上代金や営業外の収益の先払い(手付金のようなもの)を受けた場合に流動負債へ計上します。
前受金も売掛金と同様に継続取引である必要はないものです。
仮受金は、入金金額の内容が不明なときや、最終金額が未確定なときに一時的に使う勘定科目です。内容や金額が判明した段階で、本来の勘定科目へ振替える必要があるので、残高としていつまでも残さないように注意しましょう。

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未払費用とは?

「未払費用」は流動負債の勘定科目です。つまりこれから払わなければならない債務ですが、どのような債務に対して使われる勘定科目なのでしょうか。
未払費用と混同されやすい「未払金」との違いを含めて説明します。

未払費用が使われる取引内容

未払費用は、字のごとく「未だに払っていない費用」なのですが、その費用とはどのような内容の取引かを知れば、先ほどの未収収益や前受収益との関連から分かりやすくなります。
前払費用に計上する費用とは、「一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、ある時点で支払いがされていなくても、時間の経過に応じて費用が発生しているものと考えられる金額」のことです。
つまりサービス提供者が計上する未収収益に対して、未払費用はサービスを受け支払う側が計上する勘定科目ということになります。
これに該当するものは、保険料や継続広告、給料やリース料など契約に基づく継続取引です。

未払金との違い

未払金も流動負債の勘定科目ですが、未払費用が「役務の提供が全て終わっていないもの」を計上するのに対し、「すでに確定した債務」という違いがあります。
購入した固定資産や消耗品の代金や、設備の修理費用などは未払金として計上します。
すこしややこしいのですが、継続広告が終了した場合は債務が確定するので未払金になります。

前払費用とは?

「前払費用」は、流動資産の勘定科目になりますが、ここまでくればお分かりでしょう。未収収益と前受収益の関係のように、未払費用と強い関連性があります。
最後は、前払費用について説明します。

前払費用が使われる取引内容

前払費用は、「一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける前に支払った金額」です。つまり支払っていても費用に計上できないものになります。
経理をしていると意外と見かける取引で、年払や一括払いの保険料、前払い家賃などが該当します。
また前払費用として処理した金額のうち、1年を超える部分は「長期前払費用」として固定資産の「投資その他の資産」へ振替えましょう。
先ほどの未収収益と未払費用の関係に似ていますが、サービス提供者が計上する前受収益に対して、前払費用はサービスを受け支払う側が計上する勘定科目ということになります。

前払金との違い

前払費用の要件は「一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける」取引の先払いですが、それ以外の取引には「前払金」を使うことになります。ともに流動資産ですが、明確に区分する必要があり、企業会計原則注解にも「前払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別しなければならない。」とあるので注意しましょう。

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まとめ

使い分けが分かりづらい、「未収収益」「前受収益」「未払費用」「前払費用」ですが、よく見ていくと経過勘定科目に属する仲間のような勘定科目です。
これらの関連も含めて覚えることで、勘定科目に関す理解も深まります。とくに決算に関係する期末処理では避けて通れないので、日ごろから慣れ親しむことをおすすめします。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 帳簿・決算書作成 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

未収収益が回収できない場合はどうすればよいでしょうか?

取引先へ督促を行い、個別に回収するのが基本です。それでも回収できない場合には法的措置を検討するのも1つの方法です。

未払い費用を仕訳する際の期間はいつからいつまででしょうか

費用が発生した日から決算日までの期間でいくら費用が発生したのかを計算して仕訳処理を行います。

未払消費税とはなんですか?

仮受消費税と仮払消費税を比較して仮受けした消費税の方が多い場合に発生する、納税する必要のある消費税のことです。

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このコラムの著者 : 舩田 卓

1972年愛媛県生まれのA型。 愛媛県立松山商業高校卒業後、東京IT会計専門学校に進学。 在学中に税理士試験を全国最年少20歳で合格。 そのまま専門学校の専任講師となり、税理士試験の受験指導を担当。 22年間務めた講師の道から飛び出しSMC税理士法人に入社。

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