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経営改善計画書の作り方|405事業・早期経営改善計画策定支援の違いも解説

投稿日:2026年05月11日

更新日:2026年05月11日

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この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

資金繰りが厳しい、借入返済が重い、利益は出ているのにお金が残らない。こうした状況で重要になるのが「経営改善計画書」です。

経営改善計画書は、単なる売上目標ではなく、会社の現状、課題、改善策、資金繰りの見通しを金融機関や専門家に説明するための実務資料です。この「経営改善計画書」を金融機関に提出することで金融支援を受けやすくなる可能性が高まります。自社で経営改善計画をつくることが難しい場合は中小企業診断士や税理士といった専門家の支援を受けることも検討しましょう。

支援を受ける場合費用が発生することが想定されますが、国の経営改善計画策定支援事業(通称405事業)や早期経営改善計画策定支援事業を利用するとよいでしょう。
この事業を利用することによって経営改善計画作成費用について一部補助が出ます。

以下では、国の経営改善計画策定支援事業(通称405事業)や早期経営改善計画策定支援事業の制度内容を中心に、経営改善計画書の作り方について説明していきます。

制度概要

経営改善計画とは、会社の財務状況や収益構造を整理し、今後どのように利益と資金繰りを改善していくかをまとめた計画です。中小企業庁の経営改善計画策定支援事業では、借入金の返済負担など財務上の問題を抱え、自社だけで計画を作ることが難しい中小企業・小規模事業者を対象に、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)による計画策定を支援するとされています。

主な制度には、早期経営改善計画策定支援事業と、経営改善計画策定支援事業いわゆる405事業があります。早期経営改善計画は、資金繰り管理や自社の経営状況の把握など、比較的早い段階での改善に向いています。一方、405事業は、金融機関の条件変更など金融支援を伴う本格的な経営改善が必要な場合に検討されます。

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制度のポイント

経営改善計画書で重要なのは、「今後頑張ります」という説明ではなく、数字と行動を結びつけることです。具体的には、ビジネスモデル俯瞰図、経営課題、アクションプラン、損益計画、資金繰り表などを整理します。中小企業庁の早期経営改善計画でも、収益の仕組みの見える化、課題と基本方針、行動計画、損益計画、資金繰り表が計画内容として示されています。

また、制度を利用する場合、専門家費用の一部が補助対象となる場合があります。早期経営改善計画策定支援では、計画策定支援費用が2/3(上限50万円)、伴走支援費用が2/3(上限30万円)とされています。経営改善計画策定支援の通常枠では、DD・計画策定支援費用が2/3(上限200万円)、伴走支援費用が2/3(上限100万円)、金融機関交渉費用が2/3(上限10万円)とされています。

中小企業への影響

中小企業にとって、経営改善計画書は金融機関との信頼関係を維持するための重要な資料になります。返済条件の見直しを相談する場合、金融機関は「なぜ資金繰りが悪化したのか」「今後どのように改善するのか」「返済原資はどこから生まれるのか」を確認します。

そのため、計画書には売上増加だけでなく、粗利益率の改善、固定費の見直し、在庫や売掛金の管理、借入返済額とキャッシュフローの関係まで入れる必要があります。特に2026年改定では、伴走支援の強化や通常枠での数値基準導入が示されており、計画を作って終わりではなく、実績との差を確認しながら改善を続ける姿勢がより重要になります。

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経営者がやるべき対応

まずは、直近の試算表、決算書、借入金返済予定表、資金繰り表をそろえましょう。次に、売上減少、利益率低下、人件費増加、在庫過多、借入返済負担など、業績低迷や資金繰り悪化の原因を整理します。
そのうえで、次の3つを計画に落とし込みます。

1つ目は「数値計画」です。売上、粗利益、営業利益、借入返済、手元資金残高などを月別および年別に整理します。
2つ目は「行動計画」です。数値計画を実現するために誰が、いつまでに、何を実行するかを明確にします。
3つ目は「金融機関への支援依頼」です。返済条件の変更を希望する場合は、希望内容と改善見込みを具体的に説明できるようにします。

自社だけで作成すると、売上見込みが楽観的になったり、資金繰りへの影響が抜けたりすることがあります。借入返済や条件変更が関係する場合は、税理士、中小企業診断士、金融機関OBなどの専門家に早めに相談することをおすすめします。

具体事例

たとえば、飲食店を3店舗運営する会社で、売上は回復しているものの、コロナ禍で増えた借入金の返済が重く、毎月の資金繰りが厳しいケースを考えます。

この場合、まず店舗別の売上、粗利益、人件費、家賃を整理します。次に、赤字店舗の営業時間見直し、メニュー価格の改定、仕入先の見直し、不要在庫の削減を行動計画に入れます。さらに、借入金返済予定表をもとに、今後12か月の資金繰り表を作成します。

金融機関に相談する際は、「返済が厳しいので待ってほしい」ではなく、「この改善策を実行すれば、6か月後に営業利益が改善し、返済原資を確保できる見込みです」のように改善目途や返済の可能性を説明できる状態を目指します。こうした資料があることで、金融機関も会社の改善可能性を判断しやすくなります。

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まとめ

経営改善計画書は、資金繰りに不安がある会社が、現状を整理し、金融機関や専門家と改善に向けて話し合うための重要な資料です。特に405事業や早期経営改善計画策定支援事業の2026年制度改定により、早期相談、計画策定、伴走支援の重要性を国は今まで以上に重視しています。

経営改善は、計画を作るだけでは不十分です。毎月の試算表や資金繰り表を確認し、計画と実績の差を見ながら行動の修正を続けることが大切です。計画改善計画書は作っただけでは絵に描いた餅です。経営改善計画書に記載した事項を実行していくことで初めて意味があり効果が表れます。借入返済、資金繰り、金融機関対応に不安がある場合は、早い段階で税理士等の専門家に相談し、業績や資金繰りの改善を進めましょう。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 経営改善 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

経営改善計画書と事業計画書は何が違いますか?

事業計画書は新規事業や成長戦略を説明する資料として使われることが多い一方、経営改善計画書は現在の課題を整理し、利益や資金繰りをどう改善するかを示す資料です。特に金融機関対応では、返済原資や資金繰りの見通しが重視されます。

赤字でも経営改善計画は作るべきですか?

赤字だからこそ、早めに作成すべきです。赤字の原因が一時的なものなのか、構造的なものなのかを整理しなければ、業績や資金繰りの改善は見込めませんし、金融支援が必要な場合金融機関への説明も難しくなります。特に、返済条件の変更や金融支援が必要な場合は、専門的な判断が必要となる場合が多いので専門家の支援を受けて作成するほうがよいでしょう。

405事業と早期経営改善計画はどちらを使うべきですか?

基本的な資金繰り管理や採算管理の見直しであれば早期経営改善計画、本格的な金融支援や条件変更を伴う場合は405事業を検討するのが一般的です。ただし、会社の財務状況や金融機関との関係によって判断が変わるため、認定支援機関に相談することが重要です

経営改善計画書は自社だけで作れますか?

「経営改善計画書」の作成自体は可能ですが、金融機関に提出する場合は、専門家の支援を受けることをお勧めします。金融機関は数字の整合性や実現可能性をきわめて重要視するのですが、この点を金融機関に納得してもらえる経営改善計画書にするためには、専門的な知識が不可欠です。資金繰り表、借入返済計画、改善アクションの根拠に不安がある場合は、税理士などの専門家と一緒に作成した方が安心です。

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このコラムの著者 : 小川 弘郎

中小企業診断士 金融機関OB 20年勤務した金融機関在籍時には融資担当や企業改善支援担当を歴任、融資現場における多数の経営支援や事業再生の実践経験を持つ。会計業界に転身後は経営計画に基づく経営サポートを行っている。経営戦略、経営管理、資金繰りが専門。

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