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インボイス制度にメリットはない?メリット・デメリットをわかりやすく解説!

インボイス制度「誰のため?」メリット・デメリットの総まとめ

投稿日:2023年08月31日

更新日:2023年08月31日

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この記事を読むのに必要な時間は約 14 分です。

2023年10月から始まるインボイス制度ですが、「インボイス制度はひどい」「インボイスに反対」など、ネガティブな声を聞くことが多いです。では、インボイス制度にメリットはないのでしょうか。

本記事では、インボイス制度によるメリットとデメリットを発注側と受注側にわけてわかりやすく解説します。インボイス制度の影響を受けやすい業種やインボイス制度の経過措置についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

インボイス制度とは

2023年10月から始まるインボイス制度は「適格請求書保存方式」と言い、仕入税額控除をおこなうための要件を新たに定めた制度です。インボイス制度開始後の2023年10月からは、発注先や外注先からの適格請求書(インボイス)がなければ仕入税額控除をおこなえません。

仕入税額控除とは、課税事業者が納める消費税を算出する際に仕入れや外注に要した消費税を差し引く方法です。例えば、建設業者が5,000万円(税抜)で一軒家の建設を受注したとします。この際、建設業者が受け取る消費税は500万円(5,000万円×10%)です。

仕事を受注した建設業者は、業務の一部を提携先の一人親方に300万円(税抜)で発注したとします。この際、建設業者が一人親方に対して支払う消費税は30万円(300万円×10%)です。仕入税額控除を使えば、建設業者は一人親方に仕事を外注した際に支払った消費税30万円を受け取った消費税500万円から差し引けます。そのため、建設業者が最終的に国に納める消費税は470万円(500万円―30万円)です。

ただし、インボイス制度が始まると上記の仕入税額控除を建設業者がおこなうには、外注先の一人親方が建設業者に対して適格請求書(インボイス)を発行しなくてはいけません。そして、適格請求書(インボイス)を発行できる条件は「課税事業者」であることです。

一人親方などの年間売上が1,000万円以下の事業者は「免税事業者」であることが多く、免税事業者は適格請求書(インボイス)を発行できないため、免税事業者である一人親方に仕事を発注した建設業者は仕入税額控除ができずに、消費税500万円を国に納める必要があります。

また、一人親方が適格請求書(インボイス)を発行するために課税事業者になれば、今まで納めていなかった消費税を納める義務が生じるため、実質的な収益が減少する仕組みです。

上記のとおり、インボイス制度は免税事業者に不利な制度であるため、「インボイス制度はひどい」と一般的に言われています。

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インボイス制度のメリット

デメリットやネガティブなイメージが強いインボイス制度ですが、メリットは何かあるのでしょうか。インボイス制度のメリットを発注側・受注側にわけて解説します。

発注側のメリット

インボイス制度開始による発注側のメリットを紹介します。

電子インボイスにより業務を効率化できる

インボイス制度開始に伴う発注側のメリット1つ目は、電子インボイスにより業務を効率化できることです。

電子インボイスは「デジタルインボイス」とも呼ばれ、適格請求書を電子データ化したものをさします。デジタル庁は、日本のデジタルインボイスの標準仕様に「Peppol」を採用しています。

「Peppol」の仕様に則ったデジタルインボイスが発注先や外注先から送られてきた場合、利用システムが違う企業が発行したデジタルインボイスでも、自社の会計システムに自動で取り込むことが可能です。そのため、複雑な仕入税額控除の計算もシステムを使って自動でおこなうことができ、業務を効率化できるでしょう。

電子インボイスにより経費削減・ペーパーレスを促進できる

インボイス制度開始に伴う発注側のメリット2つ目は、電子インボイスにより経費削減・ペーパーレスを促進できることです。

国は、インボイス制度開始に伴い電子インボイス(デジタルインボイス)の普及を促進しています。そのため、今後は紙の請求書ではなく電子インボイスの利用が増えていくでしょう。

電子インボイスが普及すれば、従来の紙の請求書を保管するスペースが必要なくなります。また、業務効率化により人件費の削減も可能です。さらに、紙でのやりとりがなくなるためペーパーレスを促進できるでしょう。

受注側のメリット

インボイス制度開始による受注側のメリットは主に2つです。

課税事業者になれば仕事を受注しやすくなる

インボイス制度による受注側のメリット1つ目は、課税事業者になれば仕事を受注しやすくなることです。

インボイス制度開始後、免税事業者は適格請求書(インボイス)を発行できません。インボイスが発行できないと、仕事を発注する取引先は仕入税額控除がおこなえずに損失を被ります。

例えば、5,000万円(税抜)で仕事を受注した建設業者が、インボイスを発行できる課税事業者の一人親方に300万円(税抜)の仕事を外注した場合、建設業者が国に納める消費税は470万円(5000万円×10%―300万円×10%)です。

一方で、免税事業者である一人親方に仕事を外注した場合、仕入税額控除ができないため500万円の消費税を納める必要があります。建設業者にとっては、同じ発注金額でも免税事業者に発注すると30万円の損失が出るため、インボイスが発行できる課税事業者に仕事を依頼したいと思うでしょう。

そのため、課税事業者はインボイス制度開始後に仕事を受注しやすくなる可能性が高いです。

海外企業とも取引がしやすい

インボイス制度による受注側のメリット3つ目は、海外企業とも取引がしやすくなることです。

電子インボイス(デジタルインボイス)で日本の標準仕様となる「Peppol」はグローバルな標準仕様を採用しています。そのため、海外企業と同基準の電子インボイスを発行でき、スムーズに海外企業との取引が可能です。

インボイス制度のデメリット

インボイス制度は、基本的にデメリットが注目される場面が多いです。では、具体的にどのようなデメリットがあるのでしょうか。発注側と受注側にわけて、インボイス制度が与えるデメリットを確認しましょう。

発注側のデメリット

インボイス制度開始による発注側のデメリットは主に4つです。それぞれ解説します。

免税事業者に発注した場合に仕入税額控除ができない

発注側にとってのインボイス制度のデメリット1つ目は、免税事業者に発注した場合に仕入税額控除ができないことです。

インボイス制度開始後は、発注先や外注先が発行したインボイスがなければ仕入税額控除がおこなえません。そして、インボイスを発行できるのは課税事業者のみとなっています。

インボイスを発行できない免税事業者に仕事を発注すると、支払った消費税分の実質的な損失が発生する仕組みです。そのため、発注先や外注先に免税事業者の個人事業主や小規模事業者が多い場合は、インボイス制度によるマイナスの影響が大きいでしょう。

インボイス制度開始に伴い、発注先や外注先が課税事業者になるのかを事前に確認し収支計画を見直す必要があります。

業務フローを見直す必要がある

発注側にとってのインボイス制度のデメリット2つ目は、業務フローを見直す必要があることです。インボイス制度開始後は、適格請求書とそうでない請求書とで経理処理が変わります。

そのため、請求書の仕訳などの業務フローを見直すことが必要です。また、電子インボイスの利用も増えることが予想されるため、電子インボイスと紙の請求書、それぞれどのように対応するかの整理も必要となります。できるだけ早く業務フローを見直し、インボイス制度導入後に混乱が生じないようにしましょう。対応方法などは、事前に顧問税理士に相談しておくことがおすすめです。

仕入税額控除の計算が複雑になる

発注側にとってのインボイス制度のデメリット3つ目は、仕入税額控除の計算が複雑になることです。インボイス制度開始に伴い、適格請求書とそうでない請求書とで仕入税額控除の有無が異なります。

そのため、請求書によって仕入税額控除の経理処理をおこなうかおこなわないかの区別が必要です。

また、後述しますがインボイス制度開始後の数年間は経過措置がもうけられます。経過措置は、インボイス制度開始後の混乱を避けるために免税事業者からの仕入税額控除による損失を軽減する仕組みです。

損失の軽減という意味ではメリットのある経過措置ですが、経理処理という意味ではさらに手続きを複雑化させるでしょう。インボイス制度の経過措置を正しく理解し、正確に経理処理をおこなうことが重要です。経過措置への細かな対応方法などは、事前に税理士へ相談してみてください。

免税事業者への交渉が必要となる

発注側にとってのインボイス制度のデメリット4つ目は、免税事業者への交渉が必要となることです。免税事業者からの仕入れは仕入税額控除ができないため、発生者にとっては実質的な損失となります。そのため、免税事業者に対して課税事業者になるよう要請や交渉をすることも考えられるでしょう。

ただし、免税事業者へのこういった要請や交渉をおこなう際には独占禁止法や下請法への配慮も必要です。「課税事業者にならなければ取引を中止する」などの一方的な通達は独占禁止法や下請法の観点で、問題になるおそれがあります。

要請や交渉自体は可能ですが、発注側が有利となるような一方的な通達とならないように注意しましょう。

受注側のデメリット

インボイス制度開始による受注側のデメリットは主に4つです。それぞれ解説します。

新たに課税事業者になれば収益が減る

インボイス制度による受注側のデメリット1つ目は、新たに課税事業者になれば収益が減ることです。

インボイス制度開始後に、インボイスを発行できるのは課税事業者のみとなります。そのため、免税事業者がインボイスを発行するには新たに課税事業者になることが必要です。ただし、課税事業者になれば今まで納めていなかった消費税を国に納める必要があります。

仮に外注や仕入れを一切していない年間売上が800万円(税抜)の免税事業者が課税事業者になれば、今までもらえていた年間80万円(800万円×10%)の消費税がまるまるもらえなくなります。

年間80万円も収益が減ることは、かなり大きな影響を与えるでしょう。後述する経過措置によってインボイス制度開始後の数年間は影響が緩和されますが、最終的には上記のように大きなマイナスの影響が出ることを覚えておいてください。

免税事業者は仕事を受注しづらい

インボイス制度による受注側のデメリット2つ目は、免税事業者は仕事を受注しづらくなることです。

発注者からすると、免税事業者に仕事を発注すると仕入税額控除ができないため、実質的な損失を被ります。そのため、できれば免税事業者ではなく課税事業者に仕事を発注したいと思うでしょう。

独占禁止法や下請法があるため、すぐに既存の取引先との取引がなくなることは少ないかもしれません。ただし、新規での受注などには影響が出る可能性が高いです。直接的には言われなくても、できればインボイスを発行できる課税事業者に仕事を発注したいと思うのが発注者側の本音です。

しかし、仕事を受注しやすくするために課税事業者になれば、今まで納めていなかった消費税を納めることとなるため収益は大きく減少します。

免税事業者が課税事業者になるべきか免税事業者のままでいるべきかの判断は難しいです。判断する際には、税理士へ相談しながらさまざまな観点を踏まえて総合的に決定しましょう。

請求書のフォーマットを変更する必要がある

インボイス制度による受注側のデメリット3つ目は、請求書のフォーマットを変更する必要があることです。

インボイス制度開始後に発行するインボイス(適格請求書)では従来の請求書に加えて、以下の3点の記載が必要となります。
・登録番号
・税抜価格または税込価格を税率ごとに区分した合計額および適用税率
・消費税額等

請求書を発行することがある各部署に、新たなフォーマットの共有が必要です。インボイス制度開始前に、請求書フォーマットの見直しと各部署への連携をおこないましょう。

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インボイス制度の影響を受ける業種

インボイス制度の影響を受けやすい業種を紹介します。

企業から仕事を受注する個人事業主や小規模事業者

インボイス制度の影響を主に受けるのは、個人事業主や小規模事業者などの免税事業者です。

免税事業者は、売上高が1,000万円以下などの要件を満たす小規模事業者のみが認定されます。個人事業主や小規模事業者のなかには、免税事業者が数多く存在するのが実態です。

免税事業者でも、お客さんが個人の会社員などで仕入税額控除がそもそも不要な場合にはインボイス制度開始後も免税事業者のままで問題ないでしょう。ただし、取引先が企業の場合は、免税事業者のままでいると取引先が仕入税額控除をできずに損失を被ります。

そのため、企業から仕事を受注するエンジニアやWebデザイナーなどのフリーランス、一人親方などは、インボイス制度開始により課税事業者になるのか免税事業者のままでいるのかの判断を迫られるでしょう。

個人事業主や小規模事業者に仕事を発注する企業

フリーランスエンジニアやWebデザイナー、一人親方などに仕事を外注する企業もインボイス制度の影響を受けやすいです。外注先が免税事業者であれば、仕入税額控除ができずに損失を被ります。

そのため、免税事業者への対応方針の決定が必要です。新たな外注先や仕入れ先を探す際も、課税事業者か免税事業者かを事前に確認する必要があるでしょう。

インボイス制度の目的

インボイス制度の主な目的は、本来納めるべき税金を徴収することです。今まで免税事業者は消費税を国に納める必要がなかったため、消費税を納めている課税事業者との間に不公平が生じていました。この不公平を少しでも解消するために、インボイス制度が導入されます。

また、複数税率への対応もインボイス制度導入の目的の一つです。2019年10月の軽減税率導入により、現在10%と8%の2種類の消費税が存在します。正確な納税額を算出するには、2種類の税率をわけた計算が必要です。インボイス(適格請求書)では、納税額を税率ごとにわけて記載するようになるため、納税額のより正確な計算が可能となります。

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インボイス制度の経過措置

インボイス制度は、制度導入後の混乱を避けるために経過措置がもうけられます。インボイス制度開始後の数年間は、インボイス制度による影響が緩和される仕組みです。

免税事業者からの仕入れにおける緩和措置

インボイス制度開始後から2029年9月30日までは、免税事業者からの仕入れや外注でも一定額を仕入税額控除可能です。仕入税額控除が可能な金額は以下のとおりとなります。

期間
割合
2023年10月1日~2026年9月30日 仕入税額相当額の80%
2026年10月1日~2029年9月30日 仕入税額相当額の50%

例えば、2024年に免税事業者に300万円(税抜)の仕事を外注した場合、消費税30万円(300万円×10%)のうち24万円(30万円×80%)を仕入税額控除ができます。外注した年が2028年の場合は、消費税30万円のうち仕入税額控除できる金額は15万円(30万円×50%)です。

そのため、2023年10月からすぐに、免税事業者からの仕入れに関する消費税分すべてが仕入税額控除できなくなるわけではないことを覚えておきましょう。

新たに課税事業者になった場合の緩和措置

インボイス制度開始に伴い、今まで免税事業者だったフリーランスや事業者が課税事業者になった場合は支援措置が適用されます。

2026年9月30日までは、納める消費税が売上税額の20%に減額となる仕組みです。例えば、年間売上が700万円の免税事業者が課税事業者になった場合、発生する消費税70万円(700万円×10%)のうち14万円(70万円×20%)を納めれば問題ありません。

そのため、課税事業者になったことによる急激な収益減少を避けることが可能です。

少額取引に関する経過措置

2029年11月30日までは、1万円未満の仕入れに限りインボイスなしでも仕入税額控除が可能です。

本経過措置の対象となる事業者は、以下のいずれかを満たす事業者のみとなっています。
・2年前の課税売上が1億円以下
・1年前の上半期の課税売上が5,000万円以下

そのため、比較的少額な商品を小規模な企業に販売する小売業者などは課税事業者にならなくても2029年11月30日までは取引先に損失を与えることはありません。そのため、免税事業者のままでいても問題はないでしょう。また、1万円未満の少額でのスポット受注が多いフリーランスなどもインボイス制度の登録は不要です。

3つの経過措置を紹介しましたが、これらはあくまでも一時的な措置にすぎません。経過措置終了後は免税事業者からの仕入れや外注は消費税全額が仕入税額控除できなくなり、免税事業者から課税事業者になれば消費税をそのまま納めなくてはいけないことを覚えておきましょう。そのため、免税事業者が課税事業者になるかどうかは慎重な判断が必要です。

まとめ

インボイス制度のメリットやデメリット、経過措置を紹介しました。

インボイス制度は、基本的にデメリットが多い制度です。免税事業者や免税事業者と取引をしている企業は、インボイス制度開始に伴い収益が減ったり、交渉の対応に追われたりするでしょう。

また、インボイス制度開始に伴い請求書のフォーマット変更や経理処理の対応変更が必要となるため、社内フローの整理が必要です。できるだけ早くインボイス制度への対応方針を決めて、動き出しましょう。

また、免税事業者が課税事業者になるか免税事業者のままでいるかは総合的な判断が必要です。課税事業者になることで減る収益と免税事業者のままでいることによる取引先への影響を同時に考えながら、判断しなくてはなりません。

これらの判断を、一人でおこなうのは難しいです。そのため、インボイス制度に関する対応は税理士へ相談してみてください。税理士は、税金のプロフェッショナルとしてさまざまな観点から相談者にとって最適な解決策を提示します。

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このコラムの著者 : SMC グループ

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