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令和4年度税制改正における電子帳簿保存法に関する改正点を解説

電子取引の印刷保存、認められない

投稿日:2022年01月28日

更新日:2023年03月17日

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2022年1月1日から令和3年税制改正で改正された電子帳簿保存法が施行されましたが、2021年12月10日に令和4年度税制改正大綱が公表され、電子取引データの保存義務については令和5年(2023年)12月31日まで猶予期間が設けられています。
この記事では令和4年度税制改正における電子帳簿保存法に関する改正点をご紹介するとともに、令和3年度税制改正での改正電子帳簿保存法を簡単に振り返り、今回の改正を踏まえて今後何を準備していくべきかを見ていきましょう。

令和4年度税制改正における内容

改正電子帳簿保存法の施行により電子で受け取った取引データは電子データのままの保存が義務化されましたが、令和4年度税制改正で以下の内容が示されました。

  • 電子取引につき、納税地の所轄税務署長が上記でご説明した改正電子帳簿保存法に従って保存することができなかったことについてやむを得ない事情が認められること
  • 保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査等の際に提示できるようにしていること

以上の条件を両方あてはまる場合には、令和5年(2023年)12月31日まで電子取引データの保存義務を猶予し、プリントアウトしての保存でよいとする経過措置を講ずることになりました。
この経過措置を適用するために、特に事前に税務署に申請をする必要はありません。

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やむを得ない事情とは?

ここで、税務署長が認める「やむを得ない事情」とはどのような事情でしょうか?具体的な事例の公表はありませんが、「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に係るシステム等や社内でのワークフローの整備未済等、保存要件に従って電磁的記録の保存を行うための準備を整えることが困難であることをいう」とあります(電子帳簿保存法取扱通達7-10)。
また「この宥恕措置の適用にあたっては、保存要件に従って保存をすることができなかったことに関するやむを得ない事情を確認させていただく場合もありますが、仮に税務調査等の際に、税務職員から確認等があった場合には、各事業者における対応状況や今後の見通しなどを、具体的でなくても結構ですので適宜お知らせいただければ差し支えありません」とのこと(電子帳簿保存法一問一答問41-2)で、あまり厳しく追及されるものではないと推測されます。

電子取引データの保存方法の改正

では令和4年度税制改正で2年間の猶予期間が設けられた「電子データの保存方法」の改正の内容はどのようなものでしょうか?
電子帳簿保存法は帳簿書類を電子のデータで保存する際の取り決め(条件)を定めている法律です。電子のデータで保存するにはさまざまな要件がありますが、改正電子帳簿保存法では要件を基本的に緩和しています。しかし電子取引データの保存方法は逆に新しく義務化された事項があります。この義務化部分にまだ準備が必要であるとされ、令和4年度税制改正で2年間の猶予期間が設けられたところです。詳しく見ていきます。

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義務化された改正は?

ポイントは、今までは取引の電子データを紙で出力して保存することが認められていましたが、今回の改正では一切認められなくなったことです。電子で受け取った取引のデータはそのまま電子保存しなければなりません。紙で出力せずに電子で保存することで、帳簿の電子保存を促進するためと考えられます。
しかし電子データを保存するためには、ただ保存しておけば良いのではなく、真実性や可視性の確保が必要になります。
真実性の要件は以下のいずれかを満たす必要があります。

  1. 発行者か受領者がタイムスタンプを付与する
  2. 訂正・削除履歴の確保できるシステムを利用する
  3. 訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定める

可視性の要件は以下のすべてを満たす必要があります。

  1. 保存場所にパソコン等の操作マニュアルを備え付け、速やかに出力できるようにしておくこと
  2. 電子計算機処理システムの概要書を備え付けること
  3. 検索機能を確保すること(ただし真実性の要件(1),(2)を満たしている場合は必要なし)

タイムスタンプやシステムを用意するか、できない場合には事務処理規程>/a>を定めたうえで可視化要件を満たす必要があります。
事務処理規程は、サンプルが公表されていますので参考になるでしょう。
そして可視化要件は、マニュアルの備え付けなどは比較的容易にできると思われるので、対応に時間がかかるのは検索機能の確保です。そのためには日付、金額、取引先名が検索できるようにルール化して任意のフォルダに保存します。簡易的な方法として、ファイル名に「日付、金額、取引先名」の情報を入れ込む方法、索引簿を作る方法などが
紹介されています。

電子取引データとは

具体的に電子取引データとはどのようなものがあるのでしょうか。一般的に考えられるものは以下になります。

  • 電子メールの添付で受け取った書類(請求書、領収書、契約書、見積書など)
  • 請求書が紙で発行されずWeb上でのみ確認できる請求書(携帯代、楽天、Amazonでの購入など)
  • スマートフォンアプリで決済され、スマートフォンの画面上のみで確認できる領収証

自社にあてはまるものを洗い出しておきましょう。

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まとめ

以上、令和4年度税制改正における電子帳簿保存法に関する改正点と電子データの保存方法についてご紹介しました。電子データの保存に対する対応が2年間猶予されましたが、いずれは対応する必要があります。この期間にしっかり内容を確認して準備していきましょう。
ご不明点などがありましたら税理士へご相談ください。

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このコラムの著者 : 舩田 卓

1972年愛媛県生まれのA型。 愛媛県立松山商業高校卒業後、東京IT会計専門学校に進学。 在学中に税理士試験を全国最年少20歳で合格。 そのまま専門学校の専任講師となり、税理士試験の受験指導を担当。 22年間務めた講師の道から飛び出しSMC税理士法人に入社。

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