投稿日:2026年07月06日
更新日:2026年08月10日
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「退職した従業員の企業型確定拠出年金(企業型DC)の資産が、手続きされないまま放置されている」という問題は、実は多くの企業で見過ごされがちな課題です。結論として、退職者が資産移換の手続きを行わないと資産は自動的に国民年金基金連合会に移換され、様々な不利益が生じます。しかも2026年4月からは、事業主側の説明義務のタイミングが見直され、より早い段階での案内が求められるようになります。本記事では、自動移換の仕組みと、企業(事業主)側が実務上どのように対応すべきかを解説します。
企業型DCの加入者が60歳未満で退職等により資格を喪失した場合、原則として資格喪失後6ヶ月以内に他の確定拠出年金制度へ資産を移換する必要があります。この手続きが行われないと、資産は自動的に国民年金基金連合会に移換され、運用されない状態になるなどの不利益が生じます。2026年4月施行の改正では、事業主が加入者の資格喪失が見込まれる段階、あるいは企業型DCを終了しようとする段階で、事前に説明を行うことが義務として明確化されました。企業側は、退職手続きのフローに移換案内を組み込むなど、実務対応を見直す必要があります。
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- 自動移換は「手続きを知らなかった」ことが主な原因です。事業主が退職時に確実に案内することが、最も効果的な予防策になります。
企業型DCの加入者が退職等により60歳未満で資格を喪失した場合、その後は新たな掛金の拠出を受けられなくなります。この場合、原則として資格喪失後6ヶ月以内に、企業型DC、確定給付企業年金、iDeCo、通算企業年金のいずれかに資産を移換する手続きを行う必要があります。
しかし、転職先で企業型DCがない、退職後にiDeCoへの加入手続きを失念してしまう、といった理由で、この6ヶ月以内の移換手続きが行われないケースが生じます。手続きが行われないまま放置されると、資産は自動的に国民年金基金連合会に移換されます。これが「自動移換」と呼ばれる状態です。
このセクションのポイント
自動移換されると、一般的に次のような不利益が生じるとされています。
| 項目 | 自動移換後の状態 |
|---|---|
| 運用 | 資産が運用されない状態になる(現金化されたまま放置される) |
| 手数料 | 管理手数料が発生する |
| 加入者等期間の通算 | 確定拠出年金の通算加入者等期間としてカウントされなくなる |
これらは、退職者本人の将来の年金資産形成にとって明らかにマイナスに働きます。特に「通算加入者等期間としてカウントされなくなる」という点は、将来受給できる年金の要件などにも影響しうる重要な論点です。具体的な手数料額や制度の細部については、国民年金基金連合会や運営管理機関の公式情報をご確認ください。
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- 自動移換は「資産が消える」わけではありませんが、運用されず手数料だけがかかり、将来の受給要件にも影響しうる状態です。企業として看過できない問題です。
2025年の制度改正により、2026年4月1日から事業主の説明義務のタイミングが見直されます。
従来は、加入者が資格を喪失したとき、または企業型DCが終了したときに説明を行うものとされていました。つまり「退職後・終了後」の事後的な説明が前提でした。
改正後は、「加入者の資格の喪失することが見込まれるとき」または「企業型DCを終了しようとするとき」に説明を行うものとされ、退職等により資格喪失が見込まれる従業員や、終了予定の企業型DCの加入者等に対して、事前に説明を行うことが事業主の義務として明確化されます。
これは、自動移換を減らすことを目的とした改正であり、企業側の実務対応にも直接影響します。退職が決まった時点、あるいは退職の意向が固まった段階で、できるだけ早く企業型DCの移換手続きについて説明する体制を整えることが求められます。
このセクションのポイント
- 2026年4月からは「辞めた後」ではなく「辞める前」に説明することが事業主の義務になります。退職手続きのタイミング設計を見直す契機になります。
2026年4月の改正を踏まえ、企業(事業主)が実務上取り組むべき対応の例を挙げます。
こうした対応は、法令遵守という観点だけでなく、従業員に対する福利厚生・老後資産形成支援の一環としても意味のある取り組みです。退職時の事務手続きが多忙な中でも、企業型DCの案内を漏らさない仕組み作りが重要になります。
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- 実務対応のポイントは「退職手続きのフローに組み込む」ことです。個別の担当者の注意力に頼らない仕組み化が、法改正対応の本質です。
SMC税理士法人では、企業型DCの導入支援だけでなく、導入後の運用・実務体制についてもご相談をお受けしています。自動移換の問題は、企業にとって直接的な金銭的負担が生じるものではないため軽視されがちですが、従業員の将来の資産形成に関わる重要な論点であり、また2026年4月の法改正により事業主の説明義務が明確化される以上、対応を怠ることは望ましくありません。
退職手続きのフローを見直す際は、就業規則や退職時の事務手続きマニュアルに、企業型DCの移換案内を組み込むことをお勧めします。実際の説明資料の内容や配布方法については、運営管理機関と相談しながら整備するのが効率的です。制度全体の設計や運用体制について不安がある場合は、私どもへご相談ください。
SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 確定拠出年金導入 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
退職等により企業型DCの資格を喪失した従業員が、6ヶ月以内に他の制度への移換手続きを行わなかった場合に、資産が自動的に国民年金基金連合会に移換される制度です。
資産が運用されない状態になり、管理手数料が発生するほか、確定拠出年金の通算加入者等期間としてカウントされなくなるといった不利益が一般的に知られています。
加入者の資格喪失が見込まれる段階、または企業型DCを終了しようとする段階で、事前に説明を行うことが事業主の義務として明確化されます。退職手続きのフローの見直しが必要になります。
改正後の趣旨を踏まえると、退職が決まった時点、できるだけ早い段階で説明を行うことが望ましいと考えられます。具体的なタイミングの運用は運営管理機関にもご確認ください。
自動移換後も、本人が改めて移換手続きを行うことで他の制度へ資産を移すことは可能とされています。詳細な手続きは国民年金基金連合会や運営管理機関にご確認ください。
企業規模にかかわらず、企業型DCを導入している以上、退職者への説明義務は事業主として課される可能性があります。従業員数が少ない企業ほど個別対応がしやすい面もあるため、早めの体制整備をお勧めします。