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選択制DC(選択制確定拠出年金)とは?マッチング拠出との違いと経営者が知るべきポイント

投稿日:2026年06月12日

更新日:2026年06月12日

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この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

企業型確定拠出年金(企業型DC)の導入を検討する経営者から、「選択制DCとマッチング拠出はどう違うのか」というご質問を数多くいただきます。DCプランナーの資格を持つ筆者が、両制度の仕組みと経営者が押さえるべきポイントを、厚生労働省の公式情報をもとに正確にご説明します。制度の本質を理解することで、自社に合った退職給付設計の選択肢が広がります。

結論:選択制DCとは何か

選択制DC(選択制確定拠出年金)とは、従業員が給与の一部を「賃金として受け取る」か「企業型DCの掛金として拠出する」かを自分で選択できる仕組みです。

通常の企業型DCでは、会社が全額掛金を拠出します。一方、選択制DCでは、従業員がいわば「給与の一部を老後資産の積立に振り替える」という自主的な選択が制度の核心にあります。拠出された掛金は、運用商品(投資信託・定期預金等)を通じて個人口座で管理され、原則60歳以降に年金または一時金として受け取ることができます(厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」より)。

このセクションのポイント

  • 選択制DCは、従業員が「給与受取」か「DC掛金拠出」かを選択できる企業型DCの一形態
  • 通常の企業型DCは会社が全額拠出するのに対し、選択制DCは従業員の意思による拠出が特徴
  • 掛金は個人別に管理・運用され、原則60歳以降に受給できる
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選択制DCとマッチング拠出の違いは?

選択制DCとよく混同されるのが「マッチング拠出」です。どちらも従業員が拠出に関与する点は共通していますが、制度の構造が大きく異なります。

選択制DCとマッチング拠出の比較

項目 選択制DC マッチング拠出
制度の位置づけ 企業型DCの一形態(給与の一部をDC掛金に振り替え) 企業型DCの上乗せ拠出制度
会社の掛金 会社が規約に基づく掛金を拠出(設計による) 会社が事業主掛金を拠出(必須)
従業員の掛金 給与の一部を掛金として拠出(選択制) 会社の掛金額を上限として上乗せ拠出
従業員の拠出可否 参加・不参加を従業員が選択 規約で認められた場合に拠出可能
iDeCoとの併用 選択制DCの加入者掛金を拠出しない場合はiDeCo併用も検討可能 加入者掛金を拠出している場合はiDeCoとの同時拠出は不可
適用場面 退職金を廃止・減額してDCに切り替える際などに活用 既存の企業型DCを維持しつつ従業員の積立を上乗せしたい場合

厚生労働省の制度概要では、「企業型年金規約に定めた場合は加入者も拠出可能(マッチング拠出)」と明記されており、マッチング拠出はあくまで既存の企業型DCに付加する仕組みです。選択制DCは、これとは別に給与設計や退職金制度の見直しと組み合わせて導入されることが多い形態です。

このセクションのポイント

  • マッチング拠出は会社の事業主掛金に従業員が上乗せする仕組みで、選択制DCとは構造が異なる
  • 選択制DCは給与の一部をDC掛金に振り替えるため、退職給付制度の再設計と一体で検討する必要がある
  • 従業員がiDeCoを活用したい場合は、企業型DCの規約設計と拠出状況の確認が不可欠

経営者にとっての選択制DCの活用メリット

選択制DCは、中小企業の経営者が退職給付制度を整備・見直す際に有効な選択肢のひとつです。節税と従業員の資産形成支援の両面からメリットを整理します。

法人の税務メリット

会社が拠出した掛金は全額損金算入が認められます(確定拠出年金法および法人税法の規定による)。従来の退職一時金制度では、退職給付引当金の積立が税務上の損金として認められないケースも多く、企業型DCへの移行により拠出時点で確実に損金処理できる点は経営上の大きなメリットです。

従業員の資産形成と福利厚生の充実

従業員が拠出した掛金は小規模企業共済等掛金控除として全額所得控除の対象となります。また、運用中の利益は非課税、受給時も公的年金等控除または退職所得控除が適用されます。これらの優遇税制は、従業員にとって給与として受け取る場合と比べ、長期的な手取りの向上につながります。経営者が「選べる退職給付」を提供することで、採用・定着面での競争力強化にもつながります。

従業員の自律的な老後設計を促進

従業員が自分で掛金額や運用商品を選ぶため、老後資産形成への意識が高まります。企業型DCでは事業主に投資教育の実施が義務付けられており(確定拠出年金法第22条)、従業員の金融リテラシー向上を会社が後押しすることができます。

このセクションのポイント

  • 会社が拠出した掛金は全額損金算入が可能で、法人税負担の適正化につながる
  • 従業員の拠出掛金は全額所得控除対象となり、長期的な資産形成に有利な税制が適用される
  • 福利厚生の充実と従業員の金融リテラシー向上を同時に実現できる
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SMC税理士法人からのアドバイス

選択制DCの導入を検討される経営者の方には、以下の3点を今すぐ確認することをお勧めします。

  1. 現在の退職金・退職給付制度を棚卸しする 退職一時金規程の有無、退職金の積立方法(中退共・生命保険等)を整理し、DCへの移行可能性を検討します。現行制度との整合性を確認することが、スムーズな導入への第一歩です。
  2. 従業員構成と拠出限度額を確認する 企業型DCの拠出限度額は、他の企業年金制度(DB等)の有無によって異なります(他制度がない場合の上限は月額55,000円 ※2026年12月より月額62,000円に変更)。自社の制度構成を確認したうえで、適切な掛金設計を行う必要があります。
  3. 税理士・DCの専門家に相談する 選択制DCの設計は、給与規程・就業規則の改定、規約の作成・承認申請、従業員への説明など、複数の手続きが伴います。SMC税理士法人では、税務・労務の両面から経営者のご状況に合った制度設計をサポートしています。

 

まとめ

選択制DCは、従業員が給与の一部をDC掛金に振り替えて老後資産を形成できる企業型DCの一形態であり、マッチング拠出とは制度の構造が異なります。法人の損金処理と従業員の所得控除という税制メリットを両立できる点が、多くの経営者に注目されている理由です。自社への導入可否や具体的な設計方法については、SMC税理士法人にお気軽にご相談ください。

出典・参考情報

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 確定拠出年金導入 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

選択制DCは中小企業でも導入できますか?

はい、導入できます。企業規模の制限はなく、厚生年金保険の被保険者がいる事業主であれば規約の承認を受けることで実施可能です。ただし設計・運営には一定のコストがかかるため、専門家への相談が推奨されます。

従業員が全員参加しなければなりませんか?

いいえ、選択制DCでは各従業員が参加・不参加を選択できます。参加しない従業員は従来どおり給与として受け取り、DCには拠出されません。従業員の意思を尊重した制度設計が可能です。

選択制DCに加入した従業員はiDeCoも使えますか?

加入者掛金(従業員拠出)を拠出していない場合は、一定の要件のもとでiDeCoの活用も検討できます。ただし拠出限度額の兼ね合いがあるため、具体的な設計は専門家にご確認ください。

マッチング拠出と選択制DCを同時に実施できますか?

企業型DCの加入者掛金(マッチング拠出)と選択制DCは、制度上の位置づけが異なりますが、規約の設計によっては組み合わせが可能な場合もあります。制度の詳細設計は専門家にご相談ください。

掛金の運用はどこで行いますか?

運営管理機関(金融機関等)が選定・提示する運用商品(投資信託・定期預金・保険商品等)の中から、従業員が自分で選択します。事業主は3以上の商品を従業員に提示することが法令で定められています。

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このコラムの著者 : 宍戸沙綾

株式会社SMC総研:株式会社日本企業型確定拠出年金センター 企業型DC導入支援グループ
AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/DCプランナー2級 
前職で税理士法人グループの保険代理店に所属し、税務の観点から企業にとっての最適な金融商品の提案を実施。その経験を活かし、現在は企業型確定拠出年金の導入を多数支援。提携先の税理士事務所や大手保険会社との共催セミナーの主催や社内勉強会を実施。経営者の想いに寄り添い、「経営者と従業員の資産最大化」をサポートしている。

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