投稿日:2026年06月12日
更新日:2026年06月12日
この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。
2026年に施行される企業型DC・iDeCoの制度改正は、経営者・役員・従業員の資産形成を加速させる大きなチャンスです。特に12月施行の拠出限度額引き上げは、これまで以上の節税効果と資産形成機会をもたらします。
この記事では、2026年施行の改正ポイントを税務・資産形成の視点から解説します。
目次
今回の改正は「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」(令和7年6月13日成立)に基づきます。
AFPとして注目すべきは、今回の改正が「老後資産形成の天井を引き上げる」改正だという点です。従来の制度では、
という「制約」がありました。これらが撤廃・緩和されることで、税制優遇を活用した資産形成の上限が実質的に引き上げられます。
このセクションのポイント
- 根拠法:「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」(令和7年6月成立)
- 施行は2段階:2026年4月1日と2026年12月1日
- FPの視点:老後資産形成の「天井」を引き上げる改正
改正内容:「加入者掛金は事業主掛金を超えてはならない」という制限が撤廃されます。
資産形成・節税への影響:従業員が自分の意志で拠出額を増やせるようになります。マッチング拠出の加入者掛金は、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となるため、個人の所得税・住民税の節税効果も生まれます。
経営者へのアドバイス:事業主掛金が少額でも、従業員が自助努力で積み上げられる額が増えます。従業員の資産形成意識を高める良い機会として、継続教育の場で改正内容を積極的に説明することをお勧めします。
改正内容:簡易型DC(中小企業向け手続き簡素化プラン)が通常企業型DCに統合されます。
資産形成・節税への影響:中小企業の経営者にとって企業型DCの導入ハードルが下がります。「手続きが面倒で後回しにしていた」という企業の導入好機です。
改正内容:iDeCo+(100人以下の中小企業が従業員のiDeCoに上乗せ拠出できる制度)の届出先が国基連のみになります。
資産形成・節税への影響:企業年金を持てない小規模企業でも、iDeCo+を活用して従業員の資産形成支援と掛金の損金算入(一定の条件下)を実現しやすくなります。
企業型確定拠出年金の税金計算|一時金・年金受取を比較シミュレーションこのセクションのポイント
- マッチング拠出制限撤廃で従業員の自助努力による積み立て拡大→所得控除の拡大
- 簡易型DC統合でDC導入ハードルが低下。未導入企業の参入好機
- iDeCo+が使いやすくなり、企業年金のない中小企業でも活用しやすくなる
- 根拠:確定拠出年金法施行令の一部を改正する政令(令和7年政令第431号)
現行制度では、会社員(第2号加入者)のiDeCo拠出限度額は企業年金の有無によって月1.2万円〜2.3万円と大きな差がありました。これが2026年12月1日から月額6.2万円(企業型DC・DB掛金等との合算上限)に統一されます。
| 区分 | 改正前(月額) | 改正後(月額) |
|---|---|---|
| 企業型DCのみ加入 | 2.0万円 | 6.2万円(合計上限) |
| 確定給付型のみ加入 | 1.2万円 | 6.2万円(合計上限) |
| 企業年金なし | 2.3万円 | 6.2万円 |
拠出限度額2.0万円→6.2万円への増加の場合(企業型DCのみ加入のケース)
| 試算項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| iDeCo月額上限 | 2.0万円 | 6.2万円(合計上限) |
| 年間最大拠出(iDeCo) | 24万円 | 74.4万円(合計上限) |
| 所得控除(年間・iDeCo分) | 最大24万円 | 最大74.4万円(合計) |
| 税率20%の場合の節税効果 | 最大4.8万円/年 | 最大14.9万円/年 |
| 20年間の非課税運用効果 | 大 | より大きく拡大 |
📌 上記は試算です。実際の拠出可能額は企業型DC掛金との合算計算が必要です。個人の状況によって異なります。
重要な注意点:「6.2万円」はあくまで合算上限です。企業型DCで事業主が月2万円を拠出している場合、残り4.2万円がiDeCo等で拠出できる上限になります。実際の拠出可能額の計算には個別の確認が必要です。
資産形成への影響:60歳以降も現役で経営を続ける経営者・役員にとって、長期の税制優遇運用期間が延長されます。60歳以上70歳未満(一定条件・経過措置あり)で、iDeCoへの拠出継続が可能になります。
AFPとして強調したい点:運用期間が長くなればなるほど、複利効果が資産形成に貢献します。70歳近くまで非課税で運用を続けられることは、老後資産形成の観点から非常に大きな意味を持ちます。
このセクションのポイント
- 第2号加入者のiDeCo限度額が月額6.2万円(合計上限)に統一・引き上げ
- 拠出限度額拡大で年間の所得控除・節税効果が大幅拡大
- iDeCoの加入年齢拡大で経営者の運用期間が延長。複利効果が拡大
- 根拠:国民年金基金令等の一部を改正する政令(令和7年政令第442号)
宍戸沙綾(AFP・DCプランナー)が、改正後に中小企業経営者に提案する資産形成の基本戦略です。
Step 1:企業型DCの掛金設定を見直す 2026年4月以降、手続き簡素化でDC導入が容易になります。未導入の経営者はこのタイミングでの導入を検討してください。すでに導入済みの場合は、マッチング拠出の設定と従業員への周知を見直しましょう。
Step 2:役員自身のiDeCo活用を最大化する 2026年12月以降、iDeCoとの合算上限が月額6.2万円になります。企業型DCの事業主掛金と合わせた拠出設計を最適化することで、節税効果と資産形成効果を最大化できます。
Step 3:運用商品の見直し 拠出額が増える場合、運用商品の配分も見直すタイミングです。長期運用を前提としたコストの低いインデックスファンドを中心に、年齢・リスク許容度に応じたポートフォリオを設計することをお勧めします。
FPとして強調したいのは、拠出限度額の引き上げは「選択肢が広がった」ことを意味するものの、最大限に拠出することが必ずしも全員に最適ではない点です。会社のキャッシュフロー・経営者の当面の生活資金・他の投資との兼ね合いを総合的に考える必要があります。
企業型確定拠出年金の投資信託の選び方|初心者向けおすすめ商品と組み合わせ状況:企業型DCで事業主掛金を月1.5万円に設定している。iDeCoも活用したい。
AFPの回答:2026年12月以降、企業型DC掛金とiDeCoの合算上限が月6.2万円になります。事業主掛金1.5万円の場合、残り4.7万円がiDeCoで拠出できる上限の目安です(詳細は運営管理機関に確認が必要)。55歳から70歳まで15年間で積み立て・運用した場合の資産シミュレーションをSMC総研で試算できます。
状況:現在iDeCoに加入中。60歳以降も現役で経営を続ける予定。
AFPの回答:2026年12月施行の経過措置(施行後3年間)を活用することで、60歳以降も継続拠出が可能になる見込みです。老齢基礎年金を受給していない、マッチング拠出を実施していないなどの条件を確認した上で、継続プランを設計します。
SMC税理士法人では、以下のサポートを提供しています。
「2026年改正後の自分の拠出戦略を試算してほしい」「企業型DCとiDeCoを最大活用したい」という経営者の方はお気軽にご相談ください。
企業型確定拠出年金の投資信託の選び方|初心者向けおすすめ商品と組み合わせ2026年の企業型DC・iDeCo制度改正は、経営者・役員・従業員すべてにとって「税制優遇を活用した資産形成の上限が拡大する」改正です。特に12月施行の拠出限度額引き上げは、節税効果と複利運用による資産形成に大きくプラスに働きます。SMC税理士法人では、株式会社日本企業型確定拠出年金センターと連携して個別の資産形成プランをご提案します。お気軽にご相談ください。
出典・参考情報
SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 確定拠出年金導入 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
いいえ。「6.2万円」は第2号加入者の共通上限であり、実際の拠出可能額は企業型DC・確定給付型年金等の掛金との合算計算が必要です。企業型DCで2万円の事業主掛金がある場合、残り4.2万円がiDeCoで拠出できる上限の目安になります(簡略化した例)。
マッチング拠出の加入者掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除になります。拠出可能額が増えることで、所得税・住民税の節税効果も拡大します。
はい。施行後3年間の経過措置期間は広い対象で加入継続できますが、老齢基礎年金の受給開始前・マッチング拠出を実施していないなどの条件があります。個別の状況を確認した上でプランを設計することをお勧めします。
はい。2026年4月1日以降、届出先が国基連のみに一本化され、事務負担が軽減されます。100人以下の中小企業で企業年金がない場合、iDeCo+の活用を検討する価値があります。