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企業型確定拠出年金のメリットは節税と採用力|会社側のデメリットも解説

投稿日:2026年04月16日

更新日:2026年04月30日

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この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

企業型確定拠出年金(企業型DC)は、会社の経営にとって多くのメリットをもたらす退職金制度です。
掛金が全額損金算入できることによる法人税の節税効果や、福利厚生の充実による採用力の強化が主な利点として挙げられます。

一方で、導入や維持にはコストや事務的な負担が伴うという側面も存在します。
本記事では、企業型確定拠出年金の導入を検討している会社に向けて、メリットとデメリットを多角的に解説します。

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは企業の退職金制度の一つ

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、企業が掛金を拠出し、従業員(加入者)自身がその資金を運用して将来の年金資産を形成する制度です。
会社が拠出した掛金と、その運用によって得られた収益の合計額が、将来従業員に給付されます。

従来の確定給付年金と異なり、運用成績によって将来の給付額が変動するのが特徴で、従業員の自己責任で運用が行われます。
企業にとっては、掛金を拠出した時点で退職給付に関する義務が完了するため、将来の追加負担リスクがないという利点があります。

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【企業側】企業型確定拠出年金を導入する5つのメリット

企業型確定拠出年金の導入は、企業側にとって税制面や人事戦略面で大きな利点があります。
企業側のメリットとして特に注目されるのは、掛金の損金算入による節税効果や、選択制DCを活用した場合の固定費の適正化です。

また、将来の追加負担リスクがないため財務計画が立てやすく、福利厚生の充実をアピールすることで人材確保にも繋がります。
この制度は、企業側の経営基盤を安定させつつ、従業員の満足度向上にも貢献する有効な施策といえます。

掛金は全額損金算入でき法人税の節税につながる

企業型確定拠出年金において、会社が負担する掛金は全額を損金として計上できます。
これは福利厚生費として扱われるため、企業の課税対象所得を圧縮し、結果として法人税の負担を軽減する効果があります。
例えば、他の退職金制度である中小企業退職金共済(中退共)も同様に掛金が全額損金算入の対象です。

役員や従業員のために拠出した掛金が非課税で処理されることは、企業のキャッシュフローを改善し、経営の安定化に寄与する大きなメリットです。
税制上の優遇措置は、企業がこの制度を導入する強い動機の一つとなっています。

選択制DCなら会社の固定費を軽減できる

選択制DCは、従業員が自身の給与の一部を掛金として拠出するか、従来通り給与として受け取るかを選べる仕組みです。
従業員が掛金の拠出を選択した場合、その金額分だけ給与額が減少します。
給与が減少すると、自己負担額の算定基準となる標準報酬月額が下がる可能性があり、その結果、会社が負担する厚生年金保険料や健康保険料などの給与コストが効率化されます。

この効果は従業員側にも及び、自身の自己負担額も減ることになります。
ただし、将来受け取る公的年金額が減少する可能性もあるため、制度設計時には従業員への丁寧な説明が不可欠です。

将来の追加負担(退職給付債務)が発生しない

企業型確定拠出年金は、確定給付企業年金(DB)と異なり、将来の追加負担が発生するリスクがありません。
DB制度では、あらかじめ定めた給付額を保証するため、年金資産の運用実績が悪化した場合、企業はその不足分を補填する義務(退職給付債務)を負います。
一方、企業型DCは掛金を拠出した時点で企業の責任は完了し、その後の運用は従業員自身の責任で行われます。

そのため、運用結果によって給付額が変動し、企業が将来的に予測不能な追加拠出を求められることはありません。
この点は、企業の財務計画を立てやすくし、経営の安定性を高める上で非常に重要な利点です。

福利厚生の充実をアピールでき採用活動で有利になる

退職金制度の有無は、求職者が企業を選ぶ際の重要な判断基準の一つです。
企業型確定拠出年金を導入することで、求人情報に「退職金制度あり」と明記でき、福利厚生が充実している企業であることを対外的にアピールできます。
特に、優秀な人材の獲得競争が激化する中で、手厚い福利厚生は他社との差別化を図る上で強力な武器となります。

従業員の長期的な資産形成を支援する姿勢を示すことは、企業の魅力を高め、採用活動を有利に進める効果が期待できます。
これは、企業の規模に関わらず、人材確保を目指す上で有効な戦略です。

従業員の資産形成支援は人材の定着促進に貢献する

企業型確定拠出年金制度は、従業員が老後の生活資金を計画的に準備するための有効な手段です。
企業がこの制度を導入し、従業員の資産形成を積極的に支援する姿勢を示すことは、従業員のエンゲージメントや企業への帰属意識を高めることにつながります。

従業員は、自身の将来を考えてくれる企業に対して安心感や満足感を抱きやすくなり、これが離職率の低下と人材の定着促進に貢献します。
優秀な人材を長期間にわたって確保することは、企業の持続的な成長に不可欠であり、そのための人事戦略としてこの制度は重要な役割を果たします。

【企業側】企業型確定拠出年金の導入前に把握すべき3つのデメリット

企業型確定拠出年金の導入はメリットばかりではありません。
企業側のデメリットとして、制度の導入や維持にかかる手数料、従業員への投資教育の義務、そして事務的な負担の増加が挙げられます。
これらのデメリットは、特にリソースが限られる中小企業にとっては見過ごせない課題となる可能性があります。

導入を決定する前に、これらのコストや手間を正確に把握し、メリットと比較検討することが重要です。
企業側のデメリットを理解した上で、自社にとって最適な選択であるかを慎重に判断する必要があります。

制度の導入と維持に手数料(コスト)がかかる

企業型確定拠出年金を導入し、維持していくためには、継続的にコストが発生します。
具体的には、制度を導入する際の初期費用や、運営管理機関に対して支払う口座管理手数料、運営事務手数料などが挙げられます。
これらの手数料は基本的に企業負担となり、企業の財務状況によっては負担が大きくなる可能性も否定できません。

特に、加入者である従業員数が少ない場合、一人当たりの運営コストが割高になる傾向があります。
導入を検討する際は、複数の運営管理機関から見積もりを取り、手数料の体系や金額を事前に比較検討することが不可欠です。

従業員への継続的な投資教育をおこなう必要がある

企業型確定拠出年金では、従業員が自己責任で金融商品を選び、資産を運用します。
そのため、導入企業には従業員に対して継続的な投資教育を実施するよう求められています。これは厚生労働省のウェブサイトで「義務」とされている一方、他の情報源では「努力義務」と説明されています。
具体的には、資産運用の基礎知識、各運用商品のリスクとリターンに関する情報提供などが求められます。

この投資教育を怠ると、従業員が適切な資産形成を行えず、制度の恩恵を十分に受けられない可能性があります。
企業は、セミナーの開催やeラーニングの提供、個別相談会の設置など、従業員の金融リテラシー向上を支援するための体制を整え、継続的に運用していく必要があります。

導入や運営に関する事務的な負担が増加する

企業型確定拠出年金を導入すると、人事・総務部門の事務的な負担が増加します。
まず、導入時には就業規則や退職金規程の改定、労働基準監督署への届出、厚生労働省からの規約承認など、煩雑な手続きが必要です。
導入後も、新規採用者の加入手続きや退職者の資格喪失手続き、掛金の拠出データの管理といった日常的な事務作業が発生します。

これらの業務は運営管理機関からサポートを受けられる部分もありますが、社内での対応が必須となる業務も多く、担当部署の業務負荷が増えることは避けられません。
事前に業務フローを確認し、体制を整えておくことが求められます。

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企業型確定拠出年金とiDeCo(個人型)の主な違い

企業型確定拠出年金(企業型DC)とiDeCo(個人型確定拠出年金)は、どちらも私的年金制度ですが、いくつかの重要な違いがあります。
最も大きな違いは、実施主体と加入対象者です。
企業型DCは企業が導入し、その企業の従業員が加入します。

一方、iDeCoは国民年金基金連合会が実施主体であり、原則として20歳以上65歳未満の公的年金の被保険者であれば個人で加入できます。
また、掛金の拠出者も異なり、企業型DCでは主に企業が拠出しますが、iDeCoでは加入者本人が全額を拠出します。
掛金の上限額や手数料の負担者などにも違いがあるため、両者の特徴を理解することが重要です。

まとめ

企業型確定拠出年金は、企業にとって掛金の損金算入による法人税の節税や、固定費の適正化といった財務的なメリットをもたらします。
同時に、福利厚生の充実をアピールすることで採用力を高め、人材の定着を促進する人事戦略上の有効な手段でもあります。

一方で、制度の導入と維持には手数料がかかり、従業員への投資教育や事務的な負担が増加するという側面も考慮しなければなりません。
これらのメリットとデメリットを総合的に比較し、自社の経営状況や人材戦略と照らし合わせながら、導入の可否を慎重に判断することが求められます。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 確定拠出年金導入 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

退職金制度が全くない中小企業でも、導入する価値はある?

大いにあります。 福利厚生に「退職金あり」と書けるだけで採用力は格段に上がります。また、役員自身も加入できるため、自己負担額や所得税を抑えながら効率的に「役員退職金」を積み立てるスキームとしても非常に優秀です。

会社の固定費が安くなる「選択制DC」って、魔法のような話だけど裏はないの?

会社負担分が減るメリットの反面、従業員の将来の「厚生年金」がわずかに減るという注意点があります。これを隠すとトラブルの元になるため、「今の手取りを増やすか、将来の公的年金を優先するか」を従業員自身に選ばせる丁寧な説明が不可欠です。

投資教育の「義務」って、具体的に何をどこまでやればいい?

導入時の初期教育と、その後の継続教育(努力義務)が必要です。自社で講師をする必要はなく、運営管理機関(金融機関)が提供する動画教材やWEBセミナーを活用するのが一般的です。受講記録を残しておくことで、コンプライアンス上の対応は十分可能です。

導入コスト(手数料)は、節税メリットで相殺できるもの?

従業員の加入率によります。 選択制DCの場合、加入者が多いほど会社の固定費負担が減るため、その削減額で月々の運営手数料を賄えるケースが多々あります。実質的な「持ち出しゼロ」で制度を維持できる企業も少なくありません。

すでに「中退共(中小企業退職金共済)」に入っているけど、乗り換えは可能?

はい、可能です。 中退共から企業型DCへ資産を移換する「ポータビリティ」の仕組みがあります。中退共にはない「マッチング拠出(従業員の上乗せ)」や「投資教育」のメリットを求めて、企業型DCへ移行する中小企業も増えています。

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このコラムの著者 : 宍戸沙綾

株式会社SMC総研:株式会社日本企業型確定拠出年金センター 企業型DC導入支援グループ
AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/DCプランナー2級 
前職で税理士法人グループの保険代理店に所属し、税務の観点から企業にとっての最適な金融商品の提案を実施。その経験を活かし、現在は企業型確定拠出年金の導入を多数支援。提携先の税理士事務所や大手保険会社との共催セミナーの主催や社内勉強会を実施。経営者の想いに寄り添い、「経営者と従業員の資産最大化」をサポートしている。

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